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岩田剛典のキャラ崩壊!?『ウェディング・ハイ』 豪快な脱ぎっぷりとドタバタかつ繊細な演技に悶絶

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ライター:#加賀谷 健
岩田剛典のキャラ崩壊!?『ウェディング・ハイ』 豪快な脱ぎっぷりとドタバタかつ繊細な演技に悶絶
『ウェディング・ハイ』©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

中村倫也と関水渚が演じる新郎新婦の披露宴で巻き起こる珍騒動を群像劇として描いた映画『ウェディング・ハイ』が、2022年3月12日(土)から全国公開される。

『ウェディング・ハイ』©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

一癖も二癖もある出席者たちの個性豊かな顔ぶれだけでも楽しめてしまう本作だが、中でも衝撃的だったのは、EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのパフォーマーとして活躍する岩田剛典だ。

岩田がキャラ崩壊覚悟で挑んだ新婦の元カレ役について、「LDHとイケメン」をテーマに考察を続ける筆者が、話題のNetflixドラマ『金魚妻』など、岩田出演作品を振り返りながら解説する。

『金魚妻』以後のビジョン

最近、岩ちゃんの脱ぎっぷりが気になる……。Netflixで独占配信中の『金魚妻』の衝撃たるや、言葉を失う迫力があった。篠原涼子演じる優雅なタワーマンション暮らしの人妻が不倫する相手役を演じて大きな話題となった同作で岩田は、近所にある金魚屋の店主・春斗を演じ、本格的な濡れ場に初挑戦。第3話冒頭のシャワー場面や最終話でのあまりに官能的なベッドシーンに悶絶したのは、何も筆者だけではないだろう。

タワマンと言えば、青山真治監督作『空に住む』(2020年)で岩田が演じた人気若手俳優・時戸役も記憶に新しい。多部未華子演じる主人公以外にも複数の女性と奔放で身勝手な性愛を重ねる時戸と違い、あくまでひとりの相手との純愛を貫こうとする春斗の誠実さがドラマ全体に漂う官能性とは裏腹にプラトニックな潔癖さを体現したのは、ひとえに岩田の功績だろう。

コメディキャラでイメージ崩壊!?『ウェディング・ハイ』

2021年末にはソロデビューを果たした岩田の並々ならない覚悟を感じた、文字通り体当たりの春斗役で助走をつけ、『金魚妻』以後の新たなビジョンが加速度的に描かれる予感がするこの春、全国公開されるのが映画『ウェディング・ハイ』だ。

『ウェディング・ハイ』©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

再び篠原との共演作となる本作で、岩田は新たに観客の度肝を抜く痛快キャラを熱演。これがまた、かなり衝撃的なのだ。

『新解釈・三國志』(2020年)では、福田雄一監督特有のコメディ(ギャグ)スタイルの作風の洗礼を受け、超絶ナルシストなイケメン将軍・趙雲を、ダンスパファーマーらしいセンスで軽快なステップを踏みながらコミカルに演じていたが、『ウェディング・ハイ』ではさらにキャラ崩壊を恐れない全身全霊、全力投球のコメディキャラが非常に清々しく映る。

元カノの披露宴に乗り込んで行って花嫁を奪還する八代の役回りは、当然ダスティン・ホフマン主演の名作『卒業』(1967年)の爽快さを匂わせるのだが、それよりも旅行先の温泉地で露になる岩田の裸身に心を掻き乱される。仲間たちと裸の付き合いでじゃれ合う瑞々しい姿。ひとり朝風呂では、何やら考えごとをしながら一点を見つめているかと思いきや、仁王立ちの全身バックというお宝級のショットが拝める。客室内でもテンポよく浴衣を脱ぎ捨てる流麗な着脱シーンなど、サービスショットの連鎖に悶絶必至だ。

花嫁奪還の物語が思わぬ方向へ進んでしまう本作の展開は、ドタバタな笑いをふんだんに盛り込んだ群像劇スタイルだが、バカリズムによる脚本とはいえ、まさかあんな破廉恥な姿を晒すことになるなんて……。しかも、それでいてキラキラ王子様のイメージは崩れない根っこの部分の品の良さが、やはり岩田剛典という人の稀有な才能なのだろう。

ソロアーティスト・岩田剛典の刻印

さて、そんな岩田が演じる八代の花嫁奪還作戦の勝敗については、ぜひ劇場で確認いただくとして、八代が結婚式場を後にする瞬間の美しさについても特筆しておきたい。

何がそんなに美しいのかと言えば、ここぞとばかりに際立つ岩田の表情だ。走行する車の後部座席から見える教会が車窓を流れようとする瞬間、それに合わせて岩田の視線がゆらりと流れる。このさり気ないカットバックの後、身を乗り出すように移ろう風景を見つめる彼の視線に、どんなエモーションを汲み取るべきなのか。

心なしか画面のトーンが淡く感じられるのは、朝風呂での仁王立ちの瞬間もそうだが、岩田出演パートに、まるでミュージックビデオの一片でも見ているかのような不思議な錯覚を覚えるからだろう。その瞬間のひとつひとつが、ソロアーティスト・岩田剛典の刻印であり、この場面は彼の繊細で緻密さを極めた演技のひとつの頂点だと言える、紛れもない証なのだ。

『ウェディング・ハイ』©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

何でも演じられる安定期

初主演映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016年)の日下部にしろ、『空に住む』の時戸にしろ、これまでどこか潔癖な役柄を演じることが多かった岩田だったが、筋金入りの脱力タイプである本作の八代は当然、新境地を開いている。

おそらく今、岩田はどんな役でも演じられる俳優になったのだと思う。俳優としてどこか吹っ切れた感じがあるのは、もちろん『金魚妻』や本作での大胆な脱ぎっぷりが象徴しているのだけれど、俳優としてのキャリアが安定期に入ったからこそどんな役柄でもコンスタントに、かつ非常に丁寧に職人的に演じていけるのだろう。

2022年2月28日(月)には、内田康夫原作「浅見光彦」シリーズの新作ドラマ『軽井沢殺人事件』も放送された(テレビ東京系)。今までにはないキュートな仕草が自然体で、爽やかな令和版浅見光彦を好演しており、早くも岩田の俳優活動から目が離せなくなりそうだなと感じた、上半期の好発進だった。

その意味でも『ウェディング・ハイ』は、さらなる挑戦的な役柄を演じていく2022年の岩田にとっての重要な前哨戦となりそうだ。

文:加賀谷健

『ウェディング・ハイ』は2022年3月12日(土)より全国公開

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『ウェディング・ハイ』

結婚式、それは新郎新婦にとって人生最大のイベント!お茶目だけど根は真面目な石川彰人といつも明るい新田遥のカップルも、担当ウェディング・プランナーの中越に支えられながら準備を済ませ、ようやく式当日を迎えていた。しかし……結婚式に人生を賭けていたのは2人だけじゃなかった!?
新郎新婦の紹介VTRや主賓挨拶、乾杯の発声など、結婚式お決まりの演目に並々ならぬ情熱を注ぐ参列者たち。熱すぎる思いが暴走し、式は思わぬ方向へ……。中越は新郎新婦のSOSを受け、披露宴スタッフと力を合わせ様々な問題を解決しようと奔走する。しかし、更に式場に遥の元カレや、招かれざる闖入者も現れて——!?
果たして絶対に「NO」と言わない敏腕ウェディング・プランナーは、全ての難題を解決し、最高の結婚式を2人に贈ることが出来るのか——?

監督:大九明子
脚本:バカリズム

出演:篠原涼子
   中村倫也 関水渚 岩田剛典
   中尾明慶 浅利陽介 前野朋哉 泉澤祐希 佐藤晴美 宮尾俊太郎
   六角精児 尾美としのり 池田鉄洋 臼田あさ美 片桐はいり
   皆川猿時 向井理 高橋克実

制作年: 2022