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白濱亜嵐のダンスで培われた表現力! 映画『昨日より赤く明日より青く』主演短編で魅せた繊細な表情演技

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ライター:#加賀谷 健
白濱亜嵐のダンスで培われた表現力! 映画『昨日より赤く明日より青く』主演短編で魅せた繊細な表情演技
『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』©2021 CINEMA FIGHTERS project

パフォーマー・俳優:白濱亜嵐

「EXILE TRIBE」の楽曲作詞を多く手掛ける作詞家・小竹正人の詞の世界を映像化するショートフィルム企画「CINEMA FIGHTERS project」の第4弾『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』が、2021年11月26日(金)から全国公開される。

『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』©2021 CINEMA FIGHTERS project

『昨日より赤く明日より青く』には、2022年でデビュー10周年を迎える人気ダンス&ヴォーカルグループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」(以下、GENERATIONS)のメンバー7人が全員参加。主題歌担当のヴォーカリスト・数原龍友を除く6人が、作家性に富んだ名匠たちと6作品の「リリックシネマ」を紡ぐ。

ライブパフォーマンス以外にも、メンバーそれぞれ俳優業やTV出演など多彩な活動を展開しているGENERATIONS。当コラムでは今回、「LDH」をこよなく愛する筆者が、リーダーを務める白濱亜嵐の足跡を追いながら『昨日より赤く明日より青く』の一篇『言えない二人』で相手役の門脇麦とともに魅せた、繊細な名演について解説していく。

ダンスとの出会いから生まれる「サクセス・ストーリー」

小~中学校までサッカー少年だった白濱。地元・愛媛県でミュージカルに出演する経験などはあったものの、GNERATIONSのパフォーマーメンバー5人の中では、比較的ダンスとの出会いが遅かったという。

そんな彼の人生を決定付けたのは、人生で初めて観に行ったライブだった。2008年、当時の「二代目 J SOUL BROTHERS」(以下、二代目JSB)が地元の松山市に“武者修行”で全国を回っていたタイミングだ。中学2年生だった白濱は、二代目JSBのライブパフォーマンスに圧倒され、ダンスに興味を持つようになる。もちろんこの時は、後に憧れの「EXILE」に加入することなど想像していなかったはずだ。

夢を抱いた中学生は、15歳の時、LDHの育成スクール「EXPG」松山校に入学。持ち前の身体能力を活かしてメキメキとダンス・スキルを身に付け、2009年に行なわれた「第1回劇団EXILEオーディション」に見事合格。2010年には「劇団EXILE」風組に加入するが、2011年夏、新たなダンス&ヴォーカルグループ結成のため“夢者修行”に参加し、GENERATIONSメンバー候補となり劇団EXILEを脱退。2012年4月にGENERATIONSの正式メンバーとなり、同年11月21日、シングル「BRAVE IT OUT」でメジャーデビューを果たした。

中学3年でダンスを始め、5年弱という怒濤の勢いで“夢”を掴んだ白濱だが、その物語にはまだ続きがある。2014年、LDHの母体であるEXILEの新メンバーを決定するオーディション「EXILE PERFORMER BARRLE AUDITION」で、念願だったEXILEのパフォーマーに選ばれるのだ。それは、これまでのLDHオーディションの歴史が生み出してきた正真正銘のサクセス・ストーリーが、またひとつ刻まれた瞬間だった。

ダンス表現を活かした演技スタイル

「EXILE PERFORMER BARRLE AUDITION」が開催された2014年にEXILE HIROからGENERATIONSのリーダーに任命された白濱は、グループ全体をまとめあげながら、パフォーマーだけでなく映画やドラマでの演技、TV番組出演やDJなど、活動は多岐にわたる。その中でも俳優としての活躍は、ひときわ目を引くところがある。

パフォーマーとしての白濱が得意としているのはスタイルヒップホップ(L.A.スタイル)。スタイルヒップホップは楽曲の歌詞が持つ世界観を表現するダンスで、白濱は歌詞に合わせて自在に感情をコントロールする表現性に富んだパフォーマンスを披露する。そうしたリズミカルなダンス表現は、そのまま彼の演技スタイルにも活かされているのだ。

映画初主演作『セブンデイズ リポート』(2014年)のオタクキャラに始まり、少女漫画原作映画の中でも指折りのキラキラ度を誇る『ひるなかの流星』(2017年)では、イケメンなのに異性に臆病な性格の高校生役を鮮やかな表情で好演。まるでギリシア彫刻のような均整美の肉体と気障で圧倒的なイケメンキャラを演じ切った『貴族降臨 –PRINCE OF LEGEND-』(2020年)での伝説のホスト役は、俳優としてのバイタリティを感じさせた。

『昨日より赤く明日より青く』で見せた名演

映画/ドラマ問わず、その他の作品にも共通して言えるのは、何より“表情の演技”だろう。それこそ、歌詞の世界に合わせて身体を躍動させるスタイルヒップホップの表現性を踏襲する演技スタイルと言える。そして『昨日より赤く明日より青く』では、GENERATIONSメンバー7人全員参加で気合いを込めたのか、第2弾に続き2度目の出演となる白濱が非常に繊細で印象に残る名演を見せている。

『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』©2021 CINEMA FIGHTERS project

LDH所属、DEEP SQUADの「そんなことキミに言えない」をモティーフにした短編『言えない二人』は、大学の友人の恋人・柊子(門脇麦)に友人に代わって別れ話を伝えなければならないという、損な役回りのあゆむ(白濱亜嵐)の1日が描かれている。何も知らない様子の柊子が、恋人への誕生日プレゼントの買い物に付き添う間、あゆむはどうしても別れ話を切り出せない。ふたりのやり取りのもどかしさが、切なくも何ともピュアで、不思議な心地よさを与える。

『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』©2021 CINEMA FIGHTERS project

本作の監督を務めるのは、『リンダ リンダ リンダ』(2005年)や『天然コケッコー』(2007年)など特有の空気感に定評のある山下敦弘。リアリズム志向の山下監督は、基本的にロングショットで柊子とあゆむの関係性を描きつつ距離感を捉えていくのだが、あゆむが柊子を遠目に見つめるシーンなどはクローズアップで切り取ることで、白濱の繊細な表情演技を見事に捉えている。

街中を歩くロングショットや居酒屋でのバストショットなど、どのショットサイズにも的確なポジショニングで応える白濱。研ぎ澄まされた感性によって、「そんなことキミに言えない なんて言うか…」という歌詞に共振し、相手に本心を伝えられない微妙な心理を見事に体現してみせる。

2021年11月18日に中野サンプラザで行なわれた本作のプレミア上映会では、登壇したGENERATIONSメンバーによってテーマソング「昨日より赤く明日より青く」がLIVEで披露された。2番のサビで白濱がちょうどセンターに位置した瞬間、スタイルヒップホップを得意とするGENERATIONSのパフォーマーとしても、そのダンスジャンルを踏襲したスタイルの演技でキャラクターの心情を具体化する俳優としても、稀有な輝きを放っているように見えた。

文:加賀谷健

『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』は2021年11月26日(金)より公開

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『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』

作詞家 小竹正人の詞の世界観を脚本、映像(ショートフィルム)化。 新進気鋭から著名な監督をむかえ、主演 キャストにLDHメンバーが参加、EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサー、SSFF&ASIA代表、別所哲也の企画・プロデュースでショートフィルムを製作し、LDH×SSFF&ASIAがタッグを組むプロジェクト。

制作年: 2021
監督:
出演: