EXILE魂とは? 三代目JSB・小林直己が自伝「選択と奇跡」に込めた想い― 夢を叶える“軌跡と奇跡”

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ライター:加賀谷 健
EXILE魂とは? 三代目JSB・小林直己が自伝「選択と奇跡」に込めた想い― 夢を叶える“軌跡と奇跡”
小林直己

あの日、僕の名字はEXILEになった

2010年のデビュー以来、圧倒的人気を誇るダンス&ヴォーカルグループ「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」(以下、三代目JSB)。5人のパフォーマーとツインヴォーカルで構成される7人組のリーダーを務めるのが、パフォーマーの小林直己だ。

2020年はコロナ禍で10周年記念ツアーを断念。アニヴァーサリーイヤーを11周年となる2021年にスライドし、三代目JSB恒例のドームツアーにこぎ着けた。メンバー7人それぞれが想いを胸に刻む中、2021年11月25日に小林が初の自伝「選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった」を刊行。発売日に合わせて都内で記者会見が行なわれた。

小林直己「選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった」(文藝春秋刊)

今回は、LDHと三代目JSBをこよなく愛する筆者が、記者会見の模様を交えながら、小林が自伝に込めた「EXILE魂」、そして「夢を叶えること」への直向きさと映画俳優としての並々ならぬ努力の軌跡(奇跡)を紐解く。

小林直己

「EXILEがくれた夢、それはEXILEになること」

「Love,Dream,Happiness」――LDHが掲げるこのモットーが、これまでEXILE TRIBE内で数々の「夢」を実現してきた。

2001年に「J Soul Brothers」から「EXILE」に改名され、LDH JAPANの長であるHIROの想いが脈々と継承されてきた20年以上もの長い歴史がある。この歴史の歩み自体、奇跡に等しいのだが、さらに驚くのは、この一大エンターテインメント集団が、15年間で11回にも及ぶオーディションを開催し、日本中に夢を掴むチャンスを提供し続けてきたことだ。

2006年、EXILEはヴォーカルのSHUN脱退によって空席となったツインヴォーカルの一枠を担う新たな才能を発見するべく、「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION」を開催。1万3000人の観客が見守る武道館で行なわれた最終審査で、TAKAHIROが選ばれたことは周知の通りだ。だが、実はその観客席にまだ無名の小林がいたことはあまり知られていない。

その日の武道館は、TAKAHIROの合格発表だけでなくパフォーマー・AKIRAのお披露目も兼ねていた。「ついこのあいだ隣にいた人が、今日は手の届かないステージの上でスポットライトを浴び、大歓声に包まれていた」と、小林は自著でAKIRAのソロパフォーマンスの瞬間を描写し、筆致に熱を込める。

「あのステージに立ちたい」――小林の脳裏で確かな願望が凝固した。小林は「EXILEがくれた夢。それはEXILEになること」と続ける。それからおよそ3年、小林は2009年の春にパフォーマーとしてEXILEに加入することとなった。

小林直己

ハリウッドスケールの精神性

記者会見での小林は、三代目JSBのリーダーに相応しく毅然とした態度でありながら、質問者ひとりひとりに向き合い、優しげな表情を浮かべつつ目線は逸らさない。そこで筆者は、まず「夢を叶えるために一番大事なこと」を尋ねてみた。

「叶った夢があり、叶えられなかった夢もある中で、振り返って考えると、叶った夢は「諦めなかったもの」だけだった」

簡潔でいて的を射た回答は、自著にある通りだ。

小林は憧れのEXILEに加入し、翌2010年11月10日には三代目JSBのリーダーとしてデビュー。彼が矢継ぎ早に夢を叶えていったのは、徹底した現実主義に根ざし、血の滲む努力によって必達目標をクリアできたからだろう。多くの夢を実現するLDHの秘訣は、この現実主義にこそあるのだと思う。そうした確かな努力が、パフォーマー活動だけにとどまらないのも小林らしい。

兼ねてから海外での俳優活動を視野に入れていた小林は、どんな名優でも避けて通れないオーディションを考慮に入れ、英語話者になることがマスト事項だと理解していた。そして、武士道精神に裏打ちされた侍姿で出演した映画『たたら侍』(2016年)の米プレミア上映では“必ず英語でスピーチする”という目標を立てる。目標を必達すべく毎週4日以上、1日5時間の英語レッスンを開始した小林。その甲斐あって見事な英語スピーチを披露し、同作はモントリオール世界映画祭など各国で高い評価を得る。

そんな小林にエージェントが持ち込んできたのが、Netflixオリジナル映画『アースクエイク バード』(2019年)のオーディションだった。製作総指揮は『エイリアン』(1979年)などの巨匠リドリー・スコット。監督は『アリスのままで』(2014年)のウォッシュ・ウェストモアランドが担当。ハリウッド映画に憧れる小林には、またとないビッグチャンスである。

国内でのオンライン・オーディションを経て、ウェストモアランド監督の信頼を得た小林は、アリシア・ヴィキャンデル扮するヒロインの相手役に大抜擢された。ロンドン国際映画祭で行なわれたワールドプレミアでは、リドリー・スコット監督から「君は映画に必要な存在感がある。これからも続けたほうがいい」と祝福を受ける。

俳優としての大きな夢をも掴んだ小林だったが、「あぁ、ここからが“始まり”なんだ」と高ぶる気持ちを抑えたという。なんと潔く切実で、前向きな思考コントロールの持ち主だろうか。小林が養ってきた「EXILE魂」は、彼にハリウッドスケールの気骨を備えさせていたのだ。

「EXILE魂」を体現する鏡

夢の原点であり源泉となっているEXILEのパフォーマーとしても、HIROの遺伝子を継ぐ三代目JSBのリーダー兼パフォーマーとしても、そして国内外で活躍する映画俳優としても実直な精神性を持ち続ける小林直己。その人間力は、「EXILE PRIDE」に支えられた「EXILE魂」を体現する鏡である。

そんな小林に、筆者は記者会見の最後で「EXILE魂とは?」とストレートな質問を投げかけた。それを彼は、「あの日、僕の名字はEXILEになった」という自伝タイトルを付けた理由でもあるとして、「生き方のこと」だと断言した。「自分を見つめ直すきっかけ」となったEXILEは、小林にとってはスタイルであり、精神性そのもののことを指している。

EXILEというスタイルを貫き、ひとつひとつの夢(目標)を着実に叶え、達成してきた小林の言葉には重みがある。その重みは、応援してくれるファンへの“責任”と置き換えてもいいだろう。「R.Y.U.S.E.I.」の大ヒットから初の単独ドームツアーを行なった三代目JSBのパーフェクトイヤー(2015年)を追ったドキュメンタリー映画『Born in the EXILE 〜三代目 J Soul Brothersの奇跡〜』(2016年)では、120万人もの観客を動員したツアーの夢を叶えた小林の、ファンへ向けた夢祈願を込めたコメント場面が印象的だった。

「EXILEがくれた夢」、それを今度は「Love,Dream,Happiness」としてファンへ返す。三代目JSBのライブではおなじみの客席へ放たれる銀テープは、夢の共有であり、交換となる。

小林直己

小林にとって「夢を叶えること」の最終目標は、ファンへの敬意だ。ファンが存在する限り、ライブやツアーは毎年連続的に開催される。そうした小林の一連の想いと精神性を考えると、全5幕で構成される自伝の巻末章冒頭に置かれた「人生は奇跡の連続だ」という一言が非常に力強く迫ってくるようだ。

文:加賀谷健

撮影:三好孝徳

小林直己の半自伝的エッセイ「選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった」(文藝春秋刊)は2021年11月24日(水)より発売中

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