堤下敦&A.rik×松尾豪監督クロスインタビュー!! LINE NEWS VISION『おっさんが眠るまで』 映像コンテンツの未来を語る

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ライター:加賀谷 健
堤下敦&A.rik×松尾豪監督クロスインタビュー!! LINE NEWS VISION『おっさんが眠るまで』 映像コンテンツの未来を語る
A.rik 松尾豪 堤下敦 『おっさんが眠るまで』

LINEの連続ドラマ、知ってる?

LINE株式会社が運営するLINE NEWS内の動画コンテンツ「VISION」が今、注目を集めている。

「VISION」はスマートフォンに特化した新たな映像表現を目指し、「LINE」アプリの「ニュースタブ」内に掲出される縦型動画コンテンツで、従来の横型画面によるドラマ作品に比べ、視聴者がスマホで手軽に日常の延長として作品世界を楽しめるのが大きな特徴。1話につき約5~10分ほどで鑑賞でき、LINEアプリの「ニュースタブ」上から気軽に視聴が可能でバックナンバーも常時公開されている。「VISION」の2周年企画として2021年7月に配信されたドラマ『上下関係』は、あの窪塚洋介が19年ぶりに主演するドラマとして大きな話題を呼んだ。

そんな「VISION」が贈る新シリーズ『おっさんが眠るまで』が、2021年10月25日から毎週月曜日18時より配信中。事故で入院することになったスランプ中のラノベ作家・語は、なかなか寝付けない同室のおっさん・鉄五郎のリクエストにより、毎晩おっさんが“眠るまで”即興で物語を聞かせる羽目になる……。という、ちょっとヘンテコかつ、ほっこりさせてくれる凸凹コンビの物語だ。

今回は本作でW主演を務める、お笑いコンビ「インパルス」の堤下敦さんと、パフォーマンスユニット「円神」のメンバー・A.rikさん、そして松尾豪監督にインタビューを敢行。『おっさんが眠るまで』の撮影秘話、そして「VISION」が先駆ける縦型ドラマの未来について聞いた。

松尾豪 堤下敦 A.rik

 

「ちぐはぐなキャラクターの方が面白いと思った」

―「円神」のパフォーマーとしてご活躍中のA.rikさんですが、初めてのドラマ出演はいかがでしたか?

A.rik:お話をいただいた時は嬉しくて、ワクワクでした。演技経験のあるメンバーにアドバイスしてもらおうと思ったんですが、その人の主観が入ると思い、僕自身で語先生と向き合うことにしました。松尾監督と丁寧にコミュニケーションを取り、何より堤下さんとご一緒にできたことが嬉しかったです。

―メンバーのみなさんは作品をご覧になりましたか?

A.rik:みんな、作品のLINE公式アカウントを友だち登録してくれました。僕が演技もできることに驚いていました。

―堤下さんはA.rikさんと共演されて、いかがでしたか?

堤下敦(以下、堤下):A.rikくんが初めて演技をするということで、とにかく緊張が伝わってきました。

松尾豪(以下、松尾):本読みの時、堤下さんのパワーに負けちゃって、どんどん萎縮しているのが(笑)。

堤下:僕は敢えて語先生が気弱に映るように強く演じていました。A.rikくんの穏やかな性格を、逆にうまく使えたのかなと思います。

松尾:鉄五郎と語先生のバランスの話はよくしましたね。どういうパワーバランスで、この二人が一番面白くなるのか? と。

堤下敦 A.rik

 

―松尾監督は脚本も担当されていますが、鉄五郎と語先生のキャラクターを、どのように構想されたんですか?

松尾:ちぐはぐなキャラクターの方が面白いと思ったんです。日常生活の中で、絶対に一言も言葉を交わさないだろう二人を同じ病室にさせたくて。キャラクターを考える時は、どこかしら自分の内部にあるものが投影されています。語先生には自分のクリエイティブな精神を入れ、鉄五郎には自分のお喋りなところを入れています。

―実際に堤下さんとA.rikさんをキャスティングされて、現場での強弱のバランスによって、どんどん面白いキャラクターになっていったわけですね。

松尾:それぞれに堤下さんのDNAとA.rikさんのDNAが入り、自分の想像を超えるキャラクターに変化しました。初稿では語先生は冷たい人だったんです。鉄五郎はもっと無軌道にめちゃくちゃやるタイプで。お二人のパーソナリティによって血の通ったキャラクターになり、脚本を書いた身としては、それが現場で体感できたことが嬉しいです。

―スマホの縦型画面によって、クローズアップの強弱がつけやすかったように思いました。

堤下:そうですね、鉄五郎と語先生の寄りと引きが多かったです。

松尾:縦型画面なので、物理的にどうしても奥行きと手前の空間が多くなってしまいます。真横で並行に均等に二人を描くことができないため、演技の強弱はモニターを見ながら入念に調整していきました。

『おっさんが眠るまで』

「“A.rikくんの泣き待ち”がありました(笑)」

―堤下さんは鉄五郎のことを、どのような人物だと思われますか?

堤下:僕自身に近いなと思いました。僕も入院したことがありますが、まさにあんな感じだったので。病室でひとりで寂しいし、語先生みたいな人がいたらいいな、と思いましたね。自分が入院していた時の鬱憤を鉄五郎として投影、反映しながら発散できたので、僕としては楽しい役になりました。

―A.rikさんはいかがですか?

A.rik:第7話までの脚本を読んだ時に泣けてきました。僕は今28歳ですが、事務所に入る前の苦労やオーディション番組での挫折の経験など、語先生と境遇がリンクしたんです。

松尾:一番最初にA.rikさんと本読みをした時に、7話の時に涙ぐみながら読んでいましたね。僕は監督としてフラットな感情でしたが、そんな姿を見てグッときたことを覚えています。

A.rik:でも撮影当日になったら、ぜんぜん泣けなくて困りました(笑)。

堤下:15分間の“A.rikくんの泣き待ち”がありましたね。

A.rik

―A.rikさんの泣くシーンは、どのあたりの撮影日程で撮られたんですか?

松尾:3日間の撮影中の2日目の夕方です。そこで今日は止めておこうということになり、翌日の朝に撮りました。

堤下:代わりに翌日の予定だった僕のシーンを撮ることにしたので、翌朝は休めるかなと思ったら変わらず朝7時入りだったので、松尾監督は鬼だなと思いました(笑)。今だから言える愚痴ですが。

でもA.rikくんの気持ちはよく分かります。『樹海のふたり』(2012年)という映画で泣くシーンがあったんですが、僕の泣き待ち20分の間、ずっとカメラが回ってるんです。泣くのは本当に難しいですね。A.rikくんは「エンタの神様」世代で、僕と共演する緊張感もあったんですよね。その時は何も言いませんでしたが、後から「無理しなくていいんだよ」とは伝えました。

A.rik:インパルスさん世代なので、本当に緊張しました。

松尾:僕も同い年だから分かります。小学5年生くらいの時に「エンタの神様」をよく見てましたね。

堤下:A.rikくんと松尾監督が同い年って、おかしいでしょ(笑)。僕と年が同じなら納得だけど、貫禄が……。でも、そんなお2人が「エンタの神様」を見てくれていたというのは、ありがたいことですね。

A.rik

―そんな憧れの存在が3日間ずっと一緒にいてくれたことで、勇気づけられたのではないでしょうか?

A.rik:堤下さんの存在は大きかったです。泣く演技のためにYouTubeを見たり、他のものに頼ろうとしていたんですが、それでも結局泣けなくて。最終的には時間を作ってもらって、台本を一から読み返しました。すると自然と涙が出てきて、その瞬間を押さえてもらいました。

松尾:緊張感ありましたね、あの現場は。

松尾豪

作品全体の“キモ”となった第4話

―みなさんのお話を聞いて、ますます鉄五郎と語先生の関係性が面白いと思いました。第4話で、看護師が「何だこいつら……」と言いますが、あの二人の独特な関係性については、どのように思われますか?

松尾:客観的に見たら「何だこいつら」と思いますよね(笑)。

堤下:僕はよくサウナに行くんですが、そこで仲良くなったおじさんがいるんです。出身校や、どこで野球をやってるとか、僕のことに詳しいんですよ。相手のことに詳しいのが、おっさんの特徴です。予備知識がえげつない。そのおじさんをイメージしながら鉄五郎を演じました。

松尾:鉄五郎は語先生のプロフィールを全部知ってますからね(笑)。

堤下:おっさんは会った時の糸口を探してくるんです。全部調べて、その中から話す内容を決めてくる。

―それが鉄五郎役のリアリティに繋がったんですね(笑)。

堤下:そうです。語先生のことを全部知っていて、まさにサウナのおじさんみたいに、今日はここまで、明日はこれ、と事前に決めて話したいんです。

―撮影の後に、そのサウナおじさんと会いましたか?

堤下:何度も会ってます。おっさんの一番の特徴って、物語がなくならないことですよね。オリンピックなど旬なニュースにも詳しいし、何でも知ってるんです。極端な話、タピオカはおっさんが呑んでるんです。

松尾:最先端を知るために(笑)。

堤下:そうそう、だから僕はそのイメージです。それが僕の中でのおっさん像です。

松尾:鉄五郎は日中、絶対にスマホで色んなこと調べてますね(笑)。

―語先生についてはいかがですか?

A.rik:初対面では鉄五郎にイラついていた語先生の、心の距離感を大事にしました。最初はあまり堤下さんとコミュニケーションを取らずに、現場でどんどん仲良くなれたらいいなと思い、役柄とリンクさせていました。

松尾:SNSで視聴者の皆さんの反応を見ていると、4話目でふたりの立場が逆転したことに気づいていました。今まで鉄五郎が物語を欲しがっていたのに、今度は語先生が能動的に物語を語り始める。明らかな関係性の変化が、回を追うごとに見えたんです。迷惑そうにしている立場から、一線を超えて変わってきている関係性が、脚本のキャラクターを超えて撮影現場でのお2人から感じました。

A.rik

堤下:それが松尾監督の妙なんです。ストーリーは今どきの作品で、1話5~6分間で4話まで合計30分くらいでひっくり返せると、いうのが素晴らしい。これは深読みですが、二人の関係がなぜひっくり返ったかというと、モールス信号を送ったからです。あのシーンに全てが集約されているんです。語先生がモールス信号を送ることで、語先生の心情として鉄五郎に1回返してるよ、と。語先生が鉄五郎に協力的になってるんです。あのシーンをひとつ入れるだけで、松尾監督の魂が宿っているなと感じました。4話が起承転結の転の瞬間で、そこから物語は最終章に入っていく。ここが、この作品の素晴らしさです。監督的にはどうでした?

松尾:4話は賭けでしたね。今までと全然違うパターンなので、めちゃくちゃつまらなくなる可能性もありました。1~3話で積み上げたものをぶっ壊すので怖かったんですが、意外にしんみりした場面になりました。語先生が能動的に行動を起こした初めのきっかけです。撮影・照明スタッフが優秀なので、画的に映像映えしたことも功を奏しました。

堤下:“窓と窓”だった。

松尾:そう、光がうまく窓と窓に反射しています。4話は象徴的な回になりましたね。

松尾豪

堤下:あれは素晴らしいですよ。縦型をうまく使った撮り方の妙ですね。あの回で松尾監督のこと、好きになりました。

松尾:なんだか嬉しいな(笑)。賭けに勝ちましたね。窓越しの鉄五郎の顔が、やっぱりいいんですよ。

A.rik:鉄五郎さんの笑顔が素敵でした。

堤下:A.rikくんの表情も素晴らしかったよ。懐中電灯のモールス信号でやり取りをして、鉄五郎は先に寝て、一安心して電気を消して終わるんです。語先生が鉄五郎に心を許した第4話。全8話の本作のキモですね。

堤下敦 A.rik

「いざ画面を見てみると縦型の良さに気づかされました」

―窓枠の縦型構図の素晴らしさについてお話に挙がりましたが、LINE NEWSの「VISION」は新しい可能性がある映像コンテンツだと思います。現場の皆さんは慣れない縦型画面で大変だったと思うのですが、新しいことに挑戦しているという意識はありましたか?

A.rik:初主演が縦型だったので驚きました(笑)。ドラマは横型のイメージが強いので不安でしたが、いざ画面を見てみると縦型の良さに気づかされました。縦型画面は近くで見られるし、移動中も見やすく、距離感が伝わりやすいと思いました。

―スマホを横にしなくても、すっと見られますね。堤下さんはいかがですか?

堤下:ここ数年で、縦型の時代が来ていますね。YouTubeは基本的に横型ですが、縦型動画のプラットフォームはたくさん出来ていて、もはや縦型が当たり前になってきています。縦型の良さは、ワンショットです。今回の作品は縦型じゃないと撮れないものばかりで、雷のシーンや窓越しのシーンは横型では見せられないんです。画面のスペースが余ってしまいますから。

そもそも「VISION」は縦型撮影という縛りはあるにせよ、だからこその見せどころがあります。僕も初の縦型ドラマ出演でしたが、縦型の使い方には未来があって、あと数年もすれば縦型が主流になってくるんじゃないかと思います。

堤下敦

―縦型のワンショット切り返しは、視聴者が物語の中にいる気ような分になりますよね。

堤下:そうですね。縦型の未来は、視聴者がとても近くに感じられることです。あらゆる可能性があると思います。

松尾:画的な話をすると、先ほど堤下さんが仰ってくれたように、撮影監督の入江とかなり入念に打ち合せをして、どうせやるなら縦型のハンデをいい方に持っていって、縦型だからこそできることを、と考えました。時間をかけて画コンテを書きつつ、病室の場面で構図のバリエーションがない中で可能性を探りました。

堤下:16:9の縦型バージョンってことですよね?

松尾:そうです。単純に、横画面で撮るカメラを縦にしただけですが、縦型の良さを見つけるチャレンジができました。もうひとつ、画の構図よりも注目したかったのは“出口”です。映画館等ではなく、スマホでリアルタイムで見られること。テレビドラマもSNSのハッシュタグ機能で大人数でのリアルタイム視聴が可能ですが、今回の作品が特殊だったのは、画面をスクショしてSNSにリアルタイムで投稿できることです。それは今までにない動きですし、しかも本編がタイムラインで画像として流れてくるので、興味が湧く比率が高いわけです。

これは現に製作者側として、SNSのタイムラインを見ていて楽しんでいます。どのショットを気に入ってくれたのかが分かるし、ここで鉄五郎と語先生の関係性が変わったよね、などとピンポイントの指摘も書ける。これは映画では書けない感想なんです。普通なら著作権がありますが、スクショを撮ることを許可したことのスピード感に、僕は何よりも可能性を感じました。さらに、これは映画の2時間の尺では不可能なんです。各話が6分くらいだから丁度いい。

松尾豪

堤下:“2駅分”だよね。

松尾:そうですね、僕も電車の中で作品を見ました。

―配信時間もちょうど仕事から帰宅する頃ですよね。

松尾:月曜日の18時、これもうまいんです。週の初めで憂鬱な月曜日に、LINEに通知が来て帰り際に見られる。映画よりも日常に溶け込んだコンテンツとして、めちゃくちゃハマっていると思います。

『おっさんが眠るまで』

『おっさんが眠るまで』最終話は12月13日(月)より配信!

―いよいよ12月13日(月)に最終話(第8話)が配信されますが、見どころと視聴者へのメッセージをお願いします。

A.rik:今まで見てくださって、ありがとうございます。ぜひ最終話の結末を見届けてください。

堤下:1話から8話までの鉄五郎の心の移り変わりや、喜怒哀楽が全部詰まった最終話です。表情の変化や、どんな感情が出るのかに注目しつつ楽しんでいただけたらと思いますし、何よりも最終話ならではのお話が待っているので、ぜひ楽しんでください。

松尾:僕はもともとこの企画で「物語賛歌」というテーマを掲げて、物語というものを色んな方面で書きたいと思っていました。8話には、まさに自分が描きたかったことや答えが詰まっているので、最後にそれを体感していただき、物語ってやっぱり素敵だなと、鉄五郎さんとともに見届けていただけたらと思います。

A.rik

取材・文:加賀谷健

『おっさんが眠るまで』は2021年12月13日(月)よりLINE NEWS VISIONで最終話配信。バックナンバーも鑑賞可能。

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『おっさんが眠るまで』

スランプ真っただ中のラノベ作家の語は、とある事故により入院することに。だが、同室のおっさん・鉄五郎がうなされてなかなか寝付けず、鉄五郎のリクエストにより毎晩おっさんが眠るまで即興で物語を聞かせる羽目に……。

制作年: 2021
監督:
出演:
  • BANGER!!!
  • ドラマ
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