トラック野郎リーアム・ニーソン出陣!『アイス・ロード』 長距離ドライバーの矜恃をカントリー音楽と熱い劇伴で描く

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ライター:森本康治
トラック野郎リーアム・ニーソン出陣!『アイス・ロード』 長距離ドライバーの矜恃をカントリー音楽と熱い劇伴で描く
『アイス・ロード』©2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

御意見無用! トラック野郎リーアム・ニーソン

『96時間』(2008年)の大ヒットでアクションスターとしての地位を確立したリーアム・ニーソン。御年69歳の現在も数々のアクション映画で“リーアム無双”を見せつける一方、彼が演じるキャラクターは微妙に変化している。元CIA工作員、航空保安官、ギリシャ神話の最高神などの明らかに只者ではないキャラから、近年はリストラされた保険セールスマン、あるいは模範市民賞の除雪作業員のように、より身近な存在となった最強中年キャラで映画ファンの心を掴んでいるのだ。

そんなニーソンが2021年11月12日(金)公開のアクション映画『アイス・ロード』で演じるのは、ガス爆発が起きたダイヤモンド鉱山まで氷の道を走行して救出装置を運ぶ、ベテランのトラック運転手である。

『アイス・ロード』©2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

『恐怖の報酬』と「二十日鼠と人間」と“リーアム無双”が奇跡の融合

ニトログリセリンの代わりに30トンもの救出装置を運び、南米の密林や山岳地帯ではなく、寒冷地の氷で出来た危険な道<アイスロード>を大型トラックで突っ走る。この設定だけ聞くと『恐怖の報酬』(1953年)の亜流作品のように思ってしまうものの、本作の監督/脚本を手掛けたジョナサン・ヘンズリーは、『恐怖の報酬』のサスペンスに加えて、スタインベックの名作「二十日鼠と人間」のドラマにインスパイアされて脚本を書いたという。うまく組み合わせるのが難しそうな題材だが、ここでポイントとなるのが、ニーソン演じるマイクの弟ガーディ(マーカス・トーマス)の存在だ。

『アイス・ロード』©2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

彼はイラク戦争で負傷して以来、失語症を患っていて、整備士として働く職場では嫌がらせを受け、医者からもぞんざいに扱われている。マイクはそんな弟との関係に頭を悩ませながらも、辛抱強く面倒を見続けている。この「二十日鼠と人間」のジョージとレニーを彷彿とさせる両者のドラマによって、マイクの実直な人柄が伝わり、危険な仕事の報酬20万ドルが必要な理由にも切実さと説得力が生まれてきて、マイクが観客の共感を呼ぶ人物になっていくのである。

『アイス・ロード』©2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

ヘンズリーは脚本を担当した『アルマゲドン』(1998年)で、石油採掘のスペシャリストたちが地球の危機を救う破天荒かつ熱いドラマを見せてくれていたが、今回の『アイス・ロード』でも、事故に遭った鉱山作業員を救うべく、大型トラックで春に氷上を走るという命がけの任務に挑む凄腕ドライバーたちの矜恃を描き出している。トラックとスノーモービルを使った豪快なカーアクションを見せつつ、弟を馬鹿にした職場の同僚や、救出作戦を妨害する悪党たちに“リーアム拳”を叩き込む痛快な展開も用意されており、労働者の底力に胸が熱くなる快作に仕上がっている。

『アイス・ロード』©2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

選りすぐりのカントリー音楽と、巨匠のもとで学んだ若手作曲家の劇伴がドラマを盛り上げる!

本作のサウンドトラックアルバムは「ソングコンピレーションアルバム」と「スコアアルバム」の二種類が発売になっている。

ソングコンピレーションアルバムには劇中で使われた歌曲――ジェイソン・イズベルの「All I Do Is Drive」、L.A.ラッツの「I’ve Been Everywhere」、ザ・キャデラック・スリーの「Six Days On the Road」、ミランダ・ランバートの「I’m Movin’ On」、ゲイリー・レボックスの「We Got Fight」、アリソン・ムーラー&マーク・コリーの「All Coming Down」の6曲と、劇中未使用のイメージソング6曲を収録。ジョニー・キャッシュやハンク・スノウらカントリーの名曲のカヴァーなど、アメリカの豪放な大型トラック運転手が実際に聴いていそうな楽曲群となっている。ちなみにL.A.ラッツはニッキー・シックス(モトリー・クルー)、ロブ・ゾンビ、ジョン5、トミー・クルフェトスが一堂に会した新プロジェクトである。

そしてスコアアルバムには、『クロール -凶暴領域-』(2019年)の音楽を担当した作曲家マックス・アルジの劇伴を26曲収録。アルジはハンス・ジマーの『ダークナイト ライジング』(2012年)やローン・バルフの『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)、『ジェミニマン』(2019年)などのレコーディング現場でアシスタントを務めて経験を積んだ作曲家であり、彼らの作品を愛聴するサントラリスナーには興味をそそられる人物ではないかと思う。

ジマーやバルフと同様に、アルジは本作で「オーケストラ+シンセ」の勇壮なアクション音楽を聴かせてくれている。ヒロイックなメインテーマに加えて、マイクとガーディの「兄弟のテーマ」も作曲しているあたり、「アクションの中で人間ドラマをしっかり描きたい」というヘンズリー監督の意向を汲み取っていると言えるだろう。

『アイス・ロード』©2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

そしてもうひとつ、アルジはある“悪役”のためのテーマ曲も用意している。運輸会社の経営者ジム(ローレンス・フィッシュバーン)、彼の元部下タントゥー(アンバー・ミッドサンダー)、マイクたちに同行する保険数理士バルネイ(ベンジャミン・ウォーカー)、カトカ社の重役シックル(マット・マッコイ)、鉱山作業員のランバード(ホルト・マッキャラニー)ら演技派俳優が顔を揃える中、誰がマイクたちのミッションを妨害するのか、いつ歪んだ本性を現すのか、ぜひ映画本編を観て確かめて頂きたいと思う。

『アイス・ロード』©2021 ICE ROAD PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

文:森本康治

『アイス・ロード』は2021年11月12日(金)より全国公開

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『アイス・ロード』

爆発事故で鉱山の地下に閉じ込められた26人の作業員。救出装置を運ぶため、4人のトラックドライバーが集められる。30tの巨大トラック3台が走る最短ルートは、氷の道〈アイス・ロード〉。スピードが速すぎれば衝撃で、遅すぎれば重量で、氷が割れて水に沈む。地下の酸素が尽きるタイムリミットは30時間。4人はドライブテクニックと強いハートで、名誉と報酬を手にするはずだった。ところが、事故には危険な陰謀が隠されていた──。チームとしての絆を結び始めたドライバーたちは、大自然と陰謀に打ち勝つことができるのか?

制作年: 2021
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