森崎ウィンが明かす“S・スピルバーグの映画術”とは?「監督は“ぼくをビッグダディだと思ってほしい”って」

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ライター:BANGER!!! 編集部
森崎ウィンが明かす“S・スピルバーグの映画術”とは?「監督は“ぼくをビッグダディだと思ってほしい”って」
森崎ウィン

世界中で大ヒットを記録したSF映画『レディ・プレイヤー1』(2018年)に、メインキャラクターの一人トシロウ(ダイトウ)として出演した俳優/歌手・森崎ウィン。巨匠スティーヴン・スピルバーグの撮影現場を実際に体験しSF映画史上に残る名台詞「俺はガンダムでいく!」を放った森崎に、CS映画専門チャンネル ムービープラスの新作映画情報番組「映画館へ行こう」のMC・小林麗菜が話を聞いた。

なおムービープラスでは、『レディ・プレイヤー1』が2021年2月放送されることに合わせて、森崎ウィンが本作の見どころを語るほか歌声や絵も披露!?する「森崎ウィンの“俺は「レディ・プレイヤー1」で行く!”」が放送される。そして、SF映画界の名匠ジェームズ・キャメロンが、スピルバーグをはじめリドリー・スコットやクリストファー・ノーランら錚々たる面々と対談形式で“映画作り”を紐解くドキュメンタリー『ジェームズ・キャメロンのSF映画術』(2018年)が放送中だ。

「ハリウッドの撮影現場は“今日これを撮らないとまずい”と時間で追い込まれることはない」

『レディ・プレイヤー1』© Warner Bros. Entertainment Inc.

小林:スティーヴン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』の撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

森崎:いま思うと夢のような瞬間だったなっていうのはもちろんなんですけど、監督の想いなどが語られている『ジェームズ・キャメロンのSF映画術』を観させていただいて、監督の素の部分というか、喋り方などが現場を思い出させてくれました。「こういう感じだったな」って思い出して、1人で勝手にニヤニヤしていましたね。

現場は、撮影している瞬間はもちろんピリッとするんですけど、基本的には「飛び込んでおいで」って、すごく大きな器で……。器という言葉を使うのも失礼な感覚があるんですが、懐を開いて待っていてくださっていたんだなと感じましたね。

小林:日本では怒号が飛び交う撮影現場もあったりしますが、スピルバーグ監督の現場ではそういうこともなく?

森崎:ぼくが見たのは1回だけですね。ライティングのスタッフに「何やってるの!」と監督が怒ったことがあって。でもその一瞬だけでしたね。

『レディ・プレイヤー1』© Warner Bros. Entertainment Inc.

小林:基本的に温厚な方なんですね。

森崎:長年一緒のチームで制作されているみたいで、撮りたい画や意図が一致しているなかでやられていますし、時間に追われないと言いますか、「今日はここまでしか撮れなかった」「じゃあ明日やろうよ」という感じです。もちろん毎日ではないですが、日本みたいに「今日はこれを撮らないとまずい」と時間で追い込まれることがないので、役者もそれを感じることがまったくないんですよ。そこは日本と違いますね。

ぼくは日本の感覚なので「この時間で終わるはずなのにまだやってるけど、この後のシーンどうなるの?」って思ってしまうんですけど、向こうはそんなの関係ないんです。次のシーンにいけなかったら、「うん、明日やろう」みたいな感じでみんな帰っていくんですよね。

『レディ・プレイヤー1』© Warner Bros. Entertainment Inc.

小林:スピルバーグ監督は早撮りでも有名ですが、1発OKなどが多かったですか?

森崎:1発OKのときもありますし、撮りたい画が定まるまではミリ単位でカメラに指示をされてましたね。それこそ顔の角度や手の場所だったり、肩から出ているスタント用のワイヤーの位置を微調整したり。本当に細かいところまで画作りをされる方なので、それが決まったら早いですけど、決まるまでのセッティングにはすごく時間をかけていたなという印象です。

小林:そうなんですね。私の勝手なイメージですが、ハリウッド作品って動きも含めてすごく自然体に見えるんですよね。なので、そこまで緻密に決まっていると聞いてびっくりしました。

森崎:もちろんシーンによって違いますけど、自然に振る舞うところはそのままでよくて、それ以外のちゃんと決めなくちゃいけない所とかは、すごく画にこだわるっていうイメージです。

『レディ・プレイヤー1』© Warner Bros. Entertainment Inc.

「スピルバーグ監督は純粋に“一緒に映画を作っている”という姿勢だった」

小林:森崎さんから見て、スピルバーグ監督の何が一番すごかったですか?

森崎:純粋に雲の上の存在でレジェンドですし、簡単に会えないということも重々分かった上で、すごい人と喋ってるんだなと感じていたんですが、いざスタジオに入ったらそういうことを感じさせない方でした。監督自身が純粋に映画作りを楽しんでいて、ぼくらのことも自分の子どものように扱ってくれて。逆に監督の周りにいる人たちが厳しかったり、スタジオに入る直前までSPがついてきたりすることに驚きましたね。

監督自身は本当に純粋に“一緒に映画を作っている”っていう姿勢で、「ぼくをビッグダディだと思ってほしい」っておっしゃってました。あれだけの巨匠であっても、相手を緊張させないで自分の世界に飛び込ませることができるのが、すごいと思いましたね。

小林:現場でもいろいろお話をされたと思いますが、印象に残っている会話はありますか?

森崎:道を1本貸し切りにして撮影して、ただ後日、その撮影ぶんが微妙だったのでもう1回撮り直すことになったんです。それもすごいことなんですけど。そのときは土曜日か日曜日に急に呼ばれたんですが、土日は絶対にオフなのでそんなことはほぼないんです。だから前日は「明日はオフだ!」と思って、ちょっと夜更かししようと思ってたところに電話がかかってきて……。翌日「ちょっと飲みすぎたな」と思いながら行ったんですけど(笑)。もちろんぼくはオフだと思っていて、ほかのスタッフさんにも何人か同じような人がいました。

そうしたら、その日に限って監督に呼ばれて。娘さんが現場に遊びに来ていて何かアニメのキャラクターを描いていたんですけど、「この日本のアニメのキャラクター分かる?」って聞かれました。ただ、それが何とも言えないキャラクターで、セーラームーンでもないし、どの女性キャラクターなんだろうと思って考えるんですけど、寝不足で頭も回らないし、何も出てこないまま終わったのがすごく印象的でした(笑)。

小林:ハリウッド大作の撮影現場でしたが、最も感動したポイントはどういったところでしょうか?

森崎:もちろん現場のスケール大きさとかには毎日感動させられて、こんなセットまで作っちゃうんだ! っていう驚きはありました。あと、これはいまだから言えるんですが、二次オーディションのときにLAに呼ばれたんです。そのオーディションの移動が全部ビジネスクラスだし、ハイヤーが家に迎えに来るんですよ。ロングフライトだからスウェットの方がいいかなって、かなりリラックスした格好で用意してたんですけど、まさかそんな席が用意されているとは思わなくて……スウェットでビジネスクラスに乗ることになりました(笑)。最初からハリウッドのすごさを感じて、すごい経験をさせてもらったなと思います。

森崎ウィン 東京コミコン2020

「どれだけ自分を追い込んで頑張れるかで引き出しも増えるし、そこで得たものは絶対に後から役に立つ」

小林:『レディ・プレイヤー1』に出演されてから、いまだに交流のあるキャストやスタッフはいらっしゃいますか?

森崎:日本のある番組で、主演のタイ・シェリダンに出演してもらったりしましたね。番組サイドから「今の時代、こういう状況だからこそリモートで世界とつながるってことをやりたいんです、だれかいませんか?」って言われて、タイに連絡してみたら「ああ、いいよ!」みたいな感じで快く出てくれました。ほかにはプロデューサーからインスタで「こういう状況だけど大丈夫?」みたいなメッセージが来て、「元気だよ」って返事したら、「『レディ・プレイヤー1』の続編ができたんだ。もうすぐ発売されるから、もしよかったら日本でTwitterか何かに載せてよ」って言われて、思わず「宣伝かい!」って突っ込みましたね(笑)。

森崎ウィン 東京コミコン2020

小林:森崎さんは「10年以内にオスカーを獲る」という目標を掲げられていますが、そのために何か準備をされていることはありますか?

森崎:もちろん語学の勉強はしています。本当はちょっとした時間を見つけてアメリカに行って、リアルな英語だったり生活感、向こうの風を浴びたいんですけど、なかなか今の状況では行けないですね。ほかに意識して準備していることは、正直なところあまりないんです。いま目の前にある仕事に対して、どれだけ自分を追い込んで頑張れるかで引き出しも増えていきますし、そこで得たものは絶対に後から役に立つので。

なので、そこに向けてというよりも、いま与えられている自分のやるべきことをクリアできるか、というところで勝負しなきゃいけないのかなと思っています。どんなキャラクターを演じようが、普段の生き方とかが画面に出ると思うんですよね。だからこそ、この人にこのキャラクターを演じてほしい、というオファーが生まれるんだと思っています。だから、普段の生き方や仕事に対する姿勢などを磨くことが一番じゃないかなと思うので、そこに対して全力でやるだけです。

森崎ウィン 東京コミコン2020

撮影:落合由夏

『ジェームズ・キャメロンのSF映画術』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで独占放送中

【森崎ウィン プロフィール】

1990年8月20日生まれ。小学校4年生の時に日本へ渡る。2020年夏「MORISAKI WIN」として世界進出を掲げメジャーデビュー。俳優としても様々な映画、ドラマ、舞台に出演。2014年には『シェリー』で映画初主演を務め、母国ミャンマーでは様々な広告に出演するなど大ブレイク。2018年、スティーブン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー1』でメインキャストであるダイトウ/トシロウ役を演じ、ハリウッドデビューを果たした。2019年公開の映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。2020年は世界中で再演を重ねているミュージカルの金字塔「ウエスト・サイド・ストーリー」の日本キャスト版Season2(主演:トニー役)に出演。また、主演を務めたメ〜テレ制作の連続ドラマ『本気のしるし』の劇場版は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection 2020」作品に選出された。2020年放送のNHK総合のよるドラ「彼女が成仏できない理由」ではNHKドラマ初の主演を演じる。

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『ジェームズ・キャメロンのSF映画術』

S・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、リドリー・スコットら名だたる巨匠たちや、A・シュワルツェネッガー、キアヌ・リーヴスほか人気俳優が出演! 彼らとのインタビューを通して、SFのアイデアがどこから来たのか、そしてどこへ行こうとしているのかを探る。

制作年: 2018
出演:
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