三谷大河3作目『鎌倉殿の13人』に早くも号泣! まるで『西部警察』な“舘ひろし信長”ほか過去の名作大河も振り返る

三谷大河3作目『鎌倉殿の13人』に早くも号泣! まるで『西部警察』な“舘ひろし信長”ほか過去の名作大河も振り返る
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

人の数だけ大河ドラマがある

2021年も終わり2022年が幕を開けたわけだが、新年1発目のコラムは何を書こうかと迷っていたら、編集部から「今期の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』はどうですか?」とのお話をもらい、ならばと書かせてもらうことに。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

戦国好きの私にとって大河ドラマは生活の一部、と以前このコラムでも書いているのだが、あの時はコロナ禍で撮影がストップした『麒麟がくる』(2020~2021年)を題材に、明智光秀の雑学も披露させてもらった。

振り返ると、今まで数々の大河ドラマを楽しんできた。というよりも、大河ドラマで多くのことを学んできたと言うべきだろう。“基本の”織田信長、豊臣秀吉、徳川家康とはどんな人物だったのかを、子供の頃から大河ドラマで学び、そして戦国時代や歴史に興味を持ち、今では歴史絡みのお仕事までさせてもらっているのだ。

そんな私が特に印象に残っている大河ドラマが、第41作目の『利家とまつ 加賀百万石物語』(2002年)。唐沢寿明さんが前田利家を演じ、その妻、まつを松嶋菜々子さんが演じた作品で、夫婦で仲睦まじく助け合いながら、戦国の世を乗り切って行く話にテレビの前で釘付けになったのだ。

この作品では反町隆史さんが信長を演じ、夫婦で共演されていた。反町さん演じる信長は、家臣に何を報告されても低い声で、「で、あるか。」が口癖という、いかにも信長らしくてカッコいいものだった。また、明智光秀を演じるのがショーケンこと萩原健一さんで、声を裏返らせた鬼気迫るセリフ回しが強く印象に残っている。

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この頃から大河ドラマでは、戦国三英傑(信長、秀吉、家康)が脇役にまわり、その家臣を主役に描かれはじめる。その一つが第45作目の『功名が辻』(2006年)で、原作は我らが司馬遼太郎先生だ。物語は豊臣秀吉の家臣であり、明治まで続く高知は土佐藩の開祖・山内一豊の半生を描く。内助の功の妻・千代を仲間由紀恵さんが演じ、山内一豊を上川隆也さんが演じた。同作では舘ひろしさんが信長を演じており、家臣に向けて必ず最後に「励めー!!」とドスの効いた声で叫ぶ姿が強烈。あんな怖い顔で言われたら、絶対に張り切って信長のために働くだろうな……と思ったのを今でも覚えている。

そして、この舘ひろしさんバージョンの信長は、まるで『西部警察』(1979~1982年)さながらの銃撃戦を披露するという、戦国映画・ドラマ史上に残る<本能寺の変>シーンであった。さらに一番印象に残っているのが、秀吉と家康。柄本明さん演じる秀吉は、信長がつけたあだ名“ハゲネズミ”を見事に表現し、一方の“狸オヤジ”な家康を、西田敏行さんがこれまた完璧に演じていらっしゃるのだ。この名優二人のやりとりは凄まじいものがあり、私の中ではこの秀吉と家康が大河ドラマ史上の最高傑作と思っている。

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他にも第46作目の『風林火山』(2007年)や第53作目の『軍師官兵衛』(2014年)、第56作目の『おんな城主 直虎』(2017年)などなど、記憶に残る大河ドラマを挙げたらキリがないが、なんといっても鮮明に覚えているのが、物心ついて初めてガッツリと観た大河ドラマ、第21作目の『徳川家康』(1983年)だ。この作品は私が小学校5年生の頃、近所の児童図書館で織田信長や豊臣秀吉の子供向け小説を読み始めた頃に始まった作品だった。徳川家康を滝田栄さんが演じ、豊臣秀吉が武田鉄矢さん。そして織田信長には、まだ無名だった役所広司さんが大抜擢され、ここからスター俳優として羽ばたかれていった作品なのだ。

ただ、なぜこの作品が印象に残っているかといえば、初めて最初から最後まで観た大河ドラマというほかに、もう一つ理由がある。それは今では考えられない、NHKの日曜夜8時の時間帯のドラマだったので両親と一緒に見ていたのだが、とあるシーンで女性の胸が映ったのだ! それは足軽や雑兵たちが村を襲う、いわゆる乱妨取り=略奪のシーンで、しっかりと“映った”のだ。小学生の私には親と見ている手前、恥ずかしさもあり、刺激が強すぎた。昭和のあの頃は民放でもアイドル水泳大会やドリフの「バカ殿様」などで映ることはあったが、NHKではまず見たことがなかったので驚いてしまったのだ。しかし今考えると、戦さの残酷さをリアルに再現されていたのかもしれない。38年経った今でも、あのシーンは鮮明に覚えている。

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三谷大河3作目『鎌倉殿の13人』は事前予習の必要なしの面白さ!

そんなこんなで2022年の大河ドラマは、人気の戦国時代や幕末ではなく、平安時代末期から鎌倉時代を舞台にした『鎌倉殿の13人』である。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

この時代が描かれるのは第51作目の『平清盛』(2012年)以来だが、今回は三谷幸喜さんが脚本を担当されるとのことで大きな話題になり、がぜん注目されていた。ちなみに三谷さんが脚本を手がけられた大河ドラマは過去にもあり、最初が香取慎吾さん主演の第43作目『新選組!』(2004年)。次が第55作目の『真田丸』(2016年)。2作品とも大変面白くて、1年間楽しませて貰ったものだ。

ただ正直に申すと、歴史は戦国時代が一番得意で、その次が幕末。それ以外の時代はかなり疎くて、『鎌倉殿の13人』の登場人物もほとんど知らないのである。せいぜい源頼朝が挙兵して、弟の源義経が戦さで活躍し、平家を倒して鎌倉幕府ができた……くらいしか把握していない。細かく言えばもう少し知識はあるが、ざっと言えばこんなものなのだ。これは少し鎌倉時代を予習した方がいいかも、とも思ったのだが、ここは予習なしで観てみようと思い直した。なぜなら“三谷作品”だから。三谷さんの作品は予備知識がなくても分かりやすく、かなり観やすいのだ。

なので兎に角、まずは観てみようと第1話と2話を鑑賞。この時点での感想は、やっぱり観やすくて面白い! ということだ。まず物語の最初に、時代の現状や地理的状況が長澤まさみさんのナレーションで説明される。源頼朝が今どの様な立場で伊豆に流刑されているのかとか、主役の北条義時がどんな立場で、北条家が現状どのくらいの力を持っているのかなど、地図も織り交ぜながら分かりやすく解説してくれるのだ。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

また三谷さんの演出の特徴で、セリフの言葉使いが現代風なところも見やすさの要因だ。昔の難しい単語を並べたセリフ回しだと次第に混乱してきて疲れてしまう人もいるだろうが、三谷作品にはそれがない。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

そしてもう一つ三谷作品の大きな特徴が、コメディタッチで展開していくところ。これが時代劇であっても堅苦しくさせない三谷さんのお家芸で、第一話では大泉洋さん演じる源頼朝と小池栄子さん演じる北条政子の掛け合いなど、もう完全にコントなのだ。他にも、片岡愛之助さん演じる北条家の長男・北条宗時と小栗旬さん演じる北条義時、さらには坂東彌十郎さん演じる父・北条時政の親子の掛け合いも、見事なコントに仕上がっている。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

オールドファンの中には、大河ドラマはもっと重厚な趣があった方がいいという方もおられるかもしれないが、私はこのコメディタッチの部分があるからこそシリアスなシーンとのギャップが生まれ、見ていてグッとくると思う。実際、三谷大河の前作『真田丸』でも、コメディ部分があったからこそ豊臣秀吉が死ぬ場面で号泣してしまった。

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

『鎌倉殿の13人』第2話のエンディングでも、すでに私はグッときてしまっている。これから1年間、三谷さんはどんなギャップを生み出し、視聴者を楽しませてくれるのか。『鎌倉殿の13人』にはますます期待が膨らむばかりである!

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』©NHK

「大河ドラマ」と名付けたのはNHKじゃない? 歴代出演回数1位は誰?

ということで今回は、“大河ドラマ雑学”を披露しようと思う。まず“大河ドラマ”という呼称だが、実はNHKによるネーミングではないのだ。

昭和36年、まだ映画が娯楽の王様で、テレビは新しいメディアの一つだった時代。NHKの芸能局長が映画に負けないものを作ろうとプロジェクトを立ち上げ、大型ドラマを制作することに。いろいろと難航しながらも、数々の映画俳優に出演交渉を取り付け、第1作目『花の生涯』(1963年)が制作・放送され大ヒットとなる。しかし、この時はまだ“大型娯楽時代劇”と呼ばれていた。大河ドラマという呼称は第2作目『赤穂浪士』(1964年)からで、名付けたのは読売新聞。人の生涯を描く大河小説から引用し“大河ドラマ”と呼び始めたのだ。この呼び名を考えた新聞記者は、ここから60年も続くとは思ってもいなかったであろう。

次に、これは有名かも知れないが、大河ドラマの平均視聴率第1位は、第25作目『独眼竜政宗』(1987年)の39.7%。平均でこの数字は凄いことなのだが、瞬間最高視聴率の第1位は『赤穂浪士』で、なんと53%! これはとんでもない数字で、国民の半数以上がご家庭のテレビで同時に観ていたことになる。まさに、テレビが娯楽の王様に取って代わった時代の幕開けと言っていいだろう。

第47回 討ち入り

最後に、大河ドラマ最多出演ランキングを。第1位は江守徹さんの19回。2位の西田敏行さんが13回なので、江守さんはぶっちぎりの1位だ。ちなみに3位は石坂浩二さんの11回で、やはり名優が上位を占めている。そして『鎌倉殿の13人』の小栗旬さんは8回で、3位の石坂浩二さんに迫る回数だ。

私が言うまでもなく現在の若手俳優陣の中で、小栗旬さんはトップランナーと言って過言ではないだろう。この先、小栗さんが大河ドラマ出演回数歴代1位になることも、そう遠い話ではないと思うのだ。

2022年はそんな小栗旬さん主演の『鎌倉殿の13人』を、1年間存分に楽しんでみては如何かな。

文:桐畑トール(ほたるゲンジ)

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『鎌倉殿の13人』

平家隆盛の世、北条義時は伊豆の弱小豪族の次男坊に過ぎなかった。だが流罪人・源頼朝と姉・政子の結婚をきっかけに、運命の歯車は回り始める。
1180年、頼朝は関東武士団を結集し平家に反旗を翻した。北条一門はこの無謀な大博打ばくちに乗った。頼朝第一の側近となった義時は決死の政治工作を行い、遂には平家一門を打ち破る。
幕府を開き将軍となった頼朝。だがその絶頂のとき、彼は謎の死を遂げた。偉大な父を超えようともがき苦しむ二代将軍・頼家。“飾り”に徹して命をつなごうとする三代将軍・実朝。将軍の首は義時と御家人たちの間のパワーゲームの中で挿すげ替えられていく。
義時は、二人の将軍の叔父として懸命に幕府の舵かじを取る。源氏の正統が途絶えたとき、北条氏は幕府の頂点にいた。都では後鳥羽上皇が義時討伐の兵を挙げる。武家政権の命運を賭け、義時は最後の決戦に挑んだ──。

制作年: 2022
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