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たけし軍団「赤ふん」クリスマスからブッ飛び「赤備え」時代劇『真田幸村の謀略』へ! 十勇士に女性? 猿飛佐助が宇宙人!?

たけし軍団「赤ふん」クリスマスからブッ飛び「赤備え」時代劇『真田幸村の謀略』へ! 十勇士に女性? 猿飛佐助が宇宙人!?
『真田幸村の謀略』
DVD発売中 3,080円(税込) 販売:東映 発売:東映ビデオ 
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たけし軍団とクリスマスイブ

クリスマスには人それぞれの思い出があるものだが、子供の頃は「サンタさんが何をくれるのかな~」とワクワクしたり、家族や恋人とケーキを囲んだりしたことだろう。私の忘れられないクリスマスといえば、もうかれこれ10年以上前、当時の私は<オフィス北野>という事務所に所属しており、もちろん事務所のトップはビートたけしさん。その下に名だたるたけし軍団の兄さん方がいて、私はその末席に名を連ねていたのだが、毎年の暮れには『朝までたけし軍団』という番組の収録をクリスマスに行うのが恒例だった。そして、ある年のクリスマスイブ。朝早くからダンカンさんを筆頭に私を含む若手が何人かロケバスに乗って、千葉の採石場に向かった。

現場に到着すると、それぞれ衣装のジャージに着替え、ダンカンさんと義太夫さんは正月番組らしく紋付袴に着替えた。そしてこの採石場で様々なクイズ企画をやっていくのだが、なぜ採石場でクイズなのか? それはいろんな大型重機が登場するから。しかし、この日は天気こそ良かったが一歩間違えると大怪我をしかねない企画ばかりで、朝から不穏な空気が流れていた。

そんな中、まず私の相方である無法松が、間違えるとダンプカーの荷台から大量の土を流し落とされるというクイズに挑戦。リハーサルなしのぶっつけ本番で、もちろん無法松はクイズに不正解し、ダンプいっぱいの土をかぶり手だけ外に出ている状態になった。そして手をバタバタさせて、良いリアクションも撮れた。しかし「オッケー!」でカメラが止まっても、まだ手をバタバタさせている。スタッフと我々に土から掘り起こされた相方が最初に発した言葉は「マジで息が出来なかった!」だ。

お次は、土中に埋められた蓋の無い鉄の棺桶に入り、クイズに間違うとユンボが真上を通過するという企画。スタッフからは「ユンボが通過しても絶対に大丈夫な鉄の棺桶だから」と説明されていた。そしてお約束どおりクイズに間違い、顔の上をユンボが通過する展開に。ただユンボのスピードが少し遅く、鉄の棺桶に到達するまでに時間がかかった。ちょっと間が長いな……と思ったのだが、鉄の棺桶に入っていた先輩芸人もそう思ったのだろう。もう少しでユンボが到達するぞというその時、彼がひょいと頭を外に上げた! 見ていた我々は「あっ! これはキャタピラに首ごと持っていかれたぞ!!」と戦慄した。しかし間一髪、先輩は頭を下げて難を逃れていたのだった。

今では絶対にNGであろう危ない企画をいくつか乗り切り、いよいよ最後のクイズ「ふんどしトラック」クイズへ。我々若手芸人は全裸に赤いふんどしのみを着けているのだが、長く伸びたふんどしの先端がトラックの後方にくくられている。そしてトラックの荷台に乗ったダンカンさんと義太夫さんがクイズを出し、我々は回答しながらトラックにふんどしを引っ張られるという、この日いちばん安全な企画だった。なぜなら赤ふんはマジックテープでくくられているので、脱落したら赤ふんがビリっと取れて全裸になり股間を手で隠す……という、いたって安全なおもしろ映像になる予定だったのだ。

いよいよトラックが走り出し、撮影スタート。ここでもやはりクイズを間違え、次々と股間を必死で隠す芸人がカメラに抜かれる展開に。私は何人かの脱落者が出るなか終盤まで残っていて、ひたすらふんどしをトラックに引っ張られながら走っていた。やがて同期の芸人・ガンビーノ小林が脱落し、彼のふんどしがトラックに引っ張られ、さらに風になびいてサラサラと私の足に絡み始めた。私は走りながらも絡んでくるふんどしを足で払ったが、赤ふんはどんどん私の足に絡まってくる。そして私の足首に完全に巻き付いた赤ふんに私は足を取られて、ステーン!とすっ転んだのだ!

腰に巻かれた赤ふんはマジックテープでスッと取れるが、足に巻き付いたふんどしは取れることなく、トラックに引きずられる私。転んだ瞬間、「あっ大怪我する! このコーナーのクイズをお蔵入りにしてしまった!!」と思った。しかし、転んだ私は“あれ? 地面が意外と砂で柔らかい。これなら大した怪我はしないぞ!”と察知。そこで、すかさず足をトラックに引っ張られながら、西部劇で馬に足を引っ張られるガンマンさながらのオーバーリアクションをとった。そしてカメラマンが「引きずり回される赤ふんの男」の映像をしっかりおさえたのだ。

見事なおもしろ映像になった。しかも奇跡的に、背中の右肩甲骨の辺りをちょっと擦りむいただけで済んだのだ。そして見事、この日のロケの最優秀賞というプレゼントをサンタさんからもらったのである。帰りのロケバスで六本木のテレビ局に着いた頃には、サイレントイブで街はカップルだらけ。仕事をやり終えた私は、それを横目に芸人仲間たちと街に繰り出し、焼き鳥にホッピーを流し込んだ。あのクリスマスは今も忘れられない。

そんな赤いふんどしから、今回のオススメ戦国映画は“赤備え”でお馴染みの真田幸村が主役の『真田幸村の謀略』を紹介しよう。

十勇士に女性が? 猿飛佐助は宇宙人!?『真田幸村の謀略』はユニークな大型時代劇

1979年に公開された『真田幸村の謀略』は、主役の真田幸村を時代劇のスター・松方弘樹さんが演じている。本作は『柳生一族の陰謀』『赤穂城断絶』(1978年)に続く東映大型時代劇の第三弾として制作されたのだが、独特のオリジナルな脚本でかなり面白い!

関ヶ原の戦いで敗れた真田昌幸・幸村親子は、紀州の九度山で蟄居(ちっきょ)させられていた。昌幸の力を恐れた徳川家康は、刺客を送り昌幸を暗殺する。これを機に幸村が打倒・家康を誓って、十勇士と共に様々な謀略を展開し、大坂夏の陣まで突き進む……というお話だ。

『真田幸村の謀略』
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一つ面白いのが、真田昌幸は史実では年老いて亡くなったのだが、この映画では東映映画の御大、片岡千恵蔵先生演じる昌幸が、刺客の連れてきた猫の爪に仕込まれた毒で殺されるのだ。また真田十勇士の一人、三好清海入道を女優・秋野暢子さんが演じており、真田十勇士に一人だけ女性が混じっているのが独特である。他にも、松方さん演じる真田幸村が途中で目を怪我し、大阪の陣では皮のアイパッチをつけた柳生十兵衛のような隻眼だったり、極めつけは、あおい輝彦さん演じる猿飛佐助がどうも宇宙人のようで、時代劇でありながらSFの要素があったりと、かなり独特な設定があって面白いのだ。そしてやっぱり存在感があるのが、萬屋錦之介さん演じる徳川家康。とても悪い顔をしていて、これぞ敵役! といった感じで素晴らしい。また豊臣方の重鎮、加藤清正を丹波哲郎さんが演じてらっしゃるのだが、“虎加藤”と呼ばれただけあって、虎をペットにしているあたりが面白くてカッコイイ!

個人的には、松方さん演じる幸村の兄・真田信之を梅宮辰夫さんが演じていて、この二人が兄弟役をやっているが感慨深いものがある。そしてクライマックスにはまさかの展開が待っていて、見終わった後には爽快感まで味わえるのだ。年末年始にぜひ、ご覧になっていただきたい大型時代劇である。

秀吉自慢の若武者「賤ヶ岳七本槍」は本当は「九本槍」だった!?

それでは今回の戦国雑学は、丹波さんが演じた加藤清正からの雑学を披露しよう。

もともと加藤清正は、福島正則らと並ぶ「賤ヶ岳七本槍」の一人で、私の地元・滋賀県北部で繰り広げられた“賤ヶ岳の戦い”で活躍した、豊臣秀吉の子飼いの若武者の一人である。この七本槍のメンバーは、加藤清正、福島正則、加藤嘉明、脇坂安治、片桐且元、平野長泰、糟屋武則の7人なのだが、実は他にも石川一光と桜井家一の二人を含む9人が活躍しているのだ。つまり、本当は「賤ヶ岳の九本槍」が正しいのである。しかし、石川一光は賤ヶ岳の戦いで戦死しており、恩賞は家督を継いだ弟に与えられた。もう一人の桜井家一は活躍して恩賞を受け取ったが、秀吉の弟の秀長の家臣だったためメンバーから外されたそうだ。

さらに加藤清正は晩年、賤ヶ岳の七本槍の事を言われるのを嫌がっていたという話が残っている。それはなぜか? 実は、この七本槍の活躍内容がはっきりしていないのだ。では、なぜこのような7人の若武者が恩賞を受け、出世できたのか? それは主君の豊臣秀吉に理由があった。

当時、豊臣秀吉は主君の織田信長亡き後、賤ヶ岳の戦いで織田家筆頭家老・柴田勝家に勝利し、事実上織田家乗っ取りを果たし、急速に勢力と領土を拡大。そのため、増えた領国の統治に多くの家臣を必要とした時期だった。しかし、秀吉は農民出身のため有力な譜代の家臣がおらず、人手不足に陥る。急いで小領主、今風に言うなら中間管理職の人材を登用する必要が出てきた秀吉は、自らの子飼いの若武者たちの戦果を過大に宣伝し、彼らに領地の恩賞を与えて政権運営を行なったと言われているのだ。
つまり賤ヶ岳の戦いがプロパガンダとして利用され、7人ないしは9人の若武者をひときわ高い武功を挙げたように宣伝し、彼らの身分を引き上げたのである。これが賤ヶ岳七本槍の真相で、だから加藤清正が七本槍の話を嫌がるのも頷ける話なのだ。

歴史は常に勝った側が残すものであるが、真実は意外と滑稽なのである。

文:桐畑トール(ほたるゲンジ)

『真田幸村の謀略』はDVD発売中、Huluほか配信中

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『真田幸村の謀略』

関ヶ原の戦いに敗れた真田幸村は、高野山麓に身を潜めながら、天下統一を成さんとする徳川家康の首をうかがっていた。そんな折、父の昌幸が家康の策にかかり命を落とす。幸村は、打倒家康のため全国から腕利きを集めるべく、戸沢白雲斎のもとを訪ねるが、家康への協力を拒んだために、既に服部半蔵に殺されていた。師を亡くした猿飛佐助が仲間に加わり、白雲斎の残した“草の者”人名帖を頼りに、次々と忍びの者たちが幸村のもとへ集められた。かくして、ここに真田十勇士が結成された!

制作年: 1979
監督:
出演: