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掲載日:2026年10月9日 文=BANGER!!!編集部
※本記事の情報は2026年10月9日時点の情報です。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
back numberの歌は、大勢で聴くようにはできていない。
言い切ってしまうと怒られそうだが、私は本気でそう思っている。清水依与吏が書くのは、言えなかった一言や、送らなかったメッセージや、帰り道にひとりで反芻する後悔である。イヤホンのなかで、自分だけに向けて鳴る歌だ。その歌が、国内最大級の器である日産スタジアムで鳴った。『back number “Grateful Yesterdays Tour 2026”』、6月14日の公演。U-NEXTの独占配信で、見逃し配信は10月17日(土)の23時59分まで。月額プランの中で観られる。この3連休は、期限の前に来る最後の連休になる。
小さな歌と、大きすぎる場所
このツアーはback numberにとって初めての5大スタジアムツアーで、バンド史上最大の規模だという。2023年には5大ドームツアーを回っている。そこからさらに屋根を外し、空の下に出た。
群馬で始まった3人組のバンドである。清水依与吏が歌い、小島和也がベースを、栗原寿がドラムを叩く。編成だけ見れば、スタジアムを音で埋め尽くす種類のバンドには見えない。派手なギターヒーローもいなければ、客席を煽り続ける型のフロントマンでもない。
だから面白い、というのが私の考えだ。たとえば「高嶺の花子さん」。手の届かない相手を前にして、頭のなかでだけ都合のいい夏を組み立てる男の歌である。たとえば「ハッピーエンド」。別れ際に強がってみせる側の、言葉と本心のずれだけで一曲が成り立っている。どちらも主人公の世界は半径数メートルしかない。そういう歌を書いてきたバンドが、数万人を前にする。
小さな歌は、大きな場所で薄まるのか。私は逆だと思っている。スタジアムを埋めた一人ひとりが、それぞれ別の誰かを思い浮かべて同じ歌を聴く。数万通りの「自分だけの歌」が同じ空の下に重なる。back numberが大きな会場へ進むたびに起きてきたのは、たぶんそういうことだ。
念のため書いておくと、この公演のセットリストは公式には発表されていない。いま挙げた曲が6月14日に演奏されたかどうか、私は知らない。ここで話しているのは、このバンドの歌がどういう性質を持っているか、である。
歌詞付きチャンネルという、正しい判断
今回の配信で私がいちばん膝を打ったのは、チャンネルが2つ用意されていることだ。ひとつは通常の「LIVE」。もうひとつが、歌詞を画面に出す「LIVE with LYRICS」。
ライブ映像に歌詞を載せるのは、邪魔だと感じる人もいるだろう。演奏する姿に集中したい気持ちは分かる。けれどback numberに限っては、これがよく効くと思う。
清水依与吏の詞は、話し言葉に近い。凝った比喩で飾るより、誰もが口にしそうな平たい言葉を選び、その並べ方で刺してくる。「水平線」を思い出してほしい。2020年、大会を失った高校生たちに向けて書かれたあの曲は、励ましの決まり文句をほとんど使っていない。悲しみを悲しみのまま置いておく言葉の選び方に、あの歌の誠実さがある。そういう詞は、耳で聴くのと目で追うのとで、届き方が変わる。
スタジアムの音は広がる。歓声も風も混ざる。会場で言葉を一語ずつ受け取るのは、じつは簡単ではない。配信なら、歌詞を読みながら聴ける。一度目は「LIVE」で演奏する3人の姿を観て、二度目は「LIVE with LYRICS」で言葉を追う。見逃し配信の期間中なら、その贅沢ができる。現地にいた人にこそ、二度目を勧めたい。
画面越しでは届かないもの
弱点も書く。
スタジアムのライブは、空気ごと味わうものだ。日が傾いていく時間の流れ、数万人の声が遅れて届く感じ、夜風。そのほとんどは、自宅の画面には乗らない。現地の代わりにはならないと、最初から割り切って観るほうがいい。
曲目が分からないまま再生することになる点も、人によっては不安だろう。あの曲をやってくれたのか、という期待に、私はここで答えられない。目当ての一曲だけを確かめたい人には、不親切な配信かもしれない。
もうひとつ。back numberの歌は、聴く側の体調を選ぶ。失恋の直後や、気持ちが沈んでいる夜には、効きすぎることがある。騒いで発散したい日に向くバンドではないと、私は思っている。
それでも推すのは、これがバンドの到達点の記録だからだ。ライブハウスから始めて、ホール、アリーナ、ドームと進み、スタジアムまで来た。次にどこへ向かうにせよ、初めてのスタジアムツアーは一度しかない。その夜の表情が残っている。
期限は10月17日、連休はこれが最後
向いている人を挙げる。チケットが取れなかった人。現地にいて、もう一度確かめたい人。それから、何年か前に一曲だけ繰り返し聴いた時期があって、いまは少し離れている人。あの頃の自分が聴いていた歌が、どれほど大きな場所まで来たのかを見届けるのは、悪くない時間の使い方だ。
日程の話をしておく。配信は10月3日にライブ配信として行われ、いまは見逃し配信の期間に入っている。期限は10月17日(土)の23時59分。10月10日から12日の3連休を過ぎると、残るのは平日4日と最終日の土曜だけになる。スタジアム公演を落ち着いて通しで観て、さらに歌詞付きでもう一度、と考えるなら、まとまった時間が取れるのはこの連休しかない。
観る前の確認
『back number “Grateful Yesterdays Tour 2026”』日産スタジアム公演は、U-NEXTの独占配信。月額プランの中で観られ、見逃し配信は10月17日(土)23時59分まで。チャンネルは「LIVE」と「LIVE with LYRICS」の2つ。U-NEXTの月額は2,189円(税込)で、初回登録の人には31日間の無料トライアルがあり、期間内に解約すれば料金は発生しない。
ひとりで聴いてきた歌を、もう一度ひとりで聴く。ただし今度は、数万人の声が後ろについている。
※本記事は2026年10月9日時点の情報です。配信状況・料金・配信期間は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。