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衝撃映像のリアルタイム中継
世界中で起こる事件や事故、紛争の様子がほぼリアルタイムで視聴できる現在。ほんの15年ほど前まではテレビや限られたネットメディアからの情報に頼るしかなかった<映像>による状況把握が、誰でもスマホで即自可能になったことで、良くも悪くも社会は一変した。
しかし当然ながら、まだまだ世の中にはアンタッチャブルな情報があり、それらは一般人が閲覧することはおろか存在を知ることすらできない。国家機密だったり公人等の個人情報がその最たるものだが、犯罪に直結しているがゆえに明かされないアンダーグラウンドなシロモノもある。
ともすれば「都市伝説」と片付けられがちなネタも多いが、火のないところに煙は立たないと言うべきか、かつて存在した凶々しい“モノ”を封印するためにネタ化されていったという側面もあるだろう。事件化したものについては“察する”しかないというのが実際のところだが、そうしたネタは不透明性ゆえにフィクションの題材にもなってきた。
「殺人映像」を追う探偵ニコラス・ケイジ
1999年製作の『8mm.』という映画がある。「スナッフ(殺人)フィルム」の謎を追ってポルノ産業界に潜入した私立探偵の体験を通じ、現代アメリカの暗部をえぐるサスペンス・スリラーだ。公開当時、瞬間的にではあるがかなり話題になったので、小説版が書店に並んでいたことを記憶している人も少なくないだろう。物語のあらすじはこんな感じだ。
私立探偵のウェルズ(ニコラス・ケイジ)は、富豪夫人から夫の遺品の8ミリフィルムの調査を依頼される。そこには下着姿の少女が黒いマスクの人物に惨殺される場面が映っていた。少女の足取りを追うウェルズは、過激なバイオレンスを売り物にする闇ポルノの大物監督の存在にたどり着く――。
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