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“悪い種子”という決めつけが子供を傷つける カンヌ受賞『怪物』『誰も知らない』ほか日本映画から「社会派ドラマ」の真髄を探る

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ライター:#谷川建司
“悪い種子”という決めつけが子供を傷つける カンヌ受賞『怪物』『誰も知らない』ほか日本映画から「社会派ドラマ」の真髄を探る
©2023「怪物」製作委員会
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社会派ドラマの真髄とは何か

以前、大学の映画史講義で、地下鉄車内でチンピラに脅される乗客たちの恐怖を描いた『ある戦慄』(1967年)を見せたら、「見たこともない映像を見られるわけでもなく、見ていて嫌な気持ちにしかならないこんな映画をなぜ作ったのか?」と感想を述べた学生がいた。SFヒーロー映画的なものばかりが持て囃される時代の学生にとって、映画とは“ファンタスティックな映像や正義が悪に勝つ世界観を提供してくれるもの”になっているのかもしれない。

だが当然ながら、映画には現実社会の様々な問題点を鋭くえぐり、深く考えさせるタイプのものも沢山ある。そんな“社会派ドラマ”といわれるジャンルの作品は、国籍を問わず観客に広く支持されることがある。2023年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を獲った是枝裕和監督の『怪物』もそんなタイプの映画だが、今回は近年の社会派ドラマを紹介しつつ、その神髄とは何かを考えてみたい。

※物語の内容に一部触れています。ご注意ください。

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