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怪作『サメストーカー』シリーズを総ざらい! 人喰いサメより怖いのは恋愛中毒な暴走サイコパス男?

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ライター:#知的風ハット
怪作『サメストーカー』シリーズを総ざらい! 人喰いサメより怖いのは恋愛中毒な暴走サイコパス男?
『サメストーカー ビギニング』© MMXVII Productions Inc. All Rights Reserved/『サメストーカー』© 2019 StageOne Productions,LLC All Rights Reserved/『サメストーカー リターンズ』© MMXX Johnson Production Group Inc. All Rights Reserved 
DVD発売中 価格:各4,180円(税込) 3,800円(税抜) 発売元:メニーウェル 販売元:TCエンタテインメント

謎多き『サメストーカー』シリーズ

2022年夏、日本国内で立て続けにリリースされた謎の映画群、『サメストーカー』シリーズ。“サメストーカー”とは、すなわちサメを操るストーカーである。

まずは第1作目『サメストーカー』(2020年)のあらすじから紹介しよう。

『サメストーカー』© 2019 StageOne Productions,LLC All Rights Reserved

ジャンクに楽しめる恋愛“サメ”サスペンス『サメストーカー』

海辺の町シルバーサンズに住む女子高生アリソンと弟ケビンは、あるとき一匹のサメに襲われてしまう。絶体絶命の窮地から二人を救い出したのは、ダニエルと名乗る美男子だった。

その日以来、アリソン一家と親しくなったダニエル。ハンサムで模範的に振る舞う彼の姿には、多くの者が好印象を抱いたが、どうもその身の上話にはつじつまの合わない点が多々見受けられる。おまけにダニエルはアリソンのストーカーと化し、同名のかつての恋人“アリソン”と彼女を同一視しはじめるように。そしてついにはアリソンの家族や友人を、恋愛の障害とみなして一人ずつ排除――すなわち殺害しはじめたのだ。

『サメストーカー』© 2019 StageOne Productions,LLC All Rights Reserved

次々と標的を海に沈めては、サメの餌として処分するダニエル。彼の正体はブルース・ケインという、常軌を逸したサイコパスだった――。

この『サメストーカー』、原題は『STALKER’S PREY 2』という。つまりナンバリング的には2作目なのだが、日本国内ではなぜか本作が1作目のような扱いを受けている。タイトルのみならずリリース順も本作からである。なぜだろう。

サメの扱いはあくまで舞台装置に過ぎず、そのプロットは無難な恋愛サスペンスドラマ。ありふれてはいるが案外悪くなく、むしろジャンクに楽しめよう。

サメストーカー誕生を描くプリクエル『サメストーカー ビギニング』(ほんとは1作目)

さて、次に真の1作目、『STALKER’S PREY』こと『サメストーカー ビギニング』(2017年)のあらすじを紹介しよう。

ある日、沖合で遊泳中、突如として現れたサメにボーイフレンドを殺されてしまったローラ。間一髪で彼女の命を救ったのは、ブルース・ケインと名乗る好青年だった。

『サメストーカー ビギニング』© MMXVII Productions Inc. All Rights Reserved

地元の有力者の子息で、普段は小児がんセンターのボランティアとして働いているブルースは、メディアの注目を集めて時の人に。そしてローラに恋をしたブルースは、彼女に情熱的なアプローチを繰り返すようになる。

『サメストーカー ビギニング』© MMXVII Productions Inc. All Rights Reserved

 

一方のローラも、それなりにブルースに惹かれてはいたものの、亡くした恋人への思いが捨て切れず、気持ちを整理する時間を求めてブルースと距離を置くように。だが傷心のローラに対し、ブルースは豹変。たちまち常軌を逸したストーカーとなって、彼女の後をつけ狙う。

困惑するローラは、やがてブルース・ケインという怪人物の、恐るべき本性を知る――。

ヒロインの家庭内に不和が見受けられる点や、ブルースの直情的・偏執的な気質が災いし、異性との関係が悪化する流れなどは、2作目の『サメストーカー』と同じ。だがサメの出番は『サメストーカー』以上に少なく、扱いもぞんざい。やはり作品としては、あくまでブルースが主役だということか。

『サメストーカー ビギニング』© MMXVII Productions Inc. All Rights Reserved

というよりも1作目のブルースは、大してサメを利用すらしていない。邦題こそ『サメストーカー』の名を冠してはいるものの、シリーズ当初の製作陣は、別にそこまでサメの存在そのものを押し出すつもりはなかった――という可能性が高い。内容はやはり悪くはないが、1作目に比べると枝葉末節の多い話運びにぎこちなさが感じ取れるか。

恋が止められないサイコパスが父親になる『サメストーカー リターンズ』

続いて3作目の『STALKER’S PREY 3』、すなわち『サメストーカー リターンズ』(2021年)のあらすじはこちら。

複数回に及ぶ悪行の末、その名が世間に知れ渡った連続殺人鬼、ブルース・ケイン。が、当の本人は未だ消息不明となっていた――。

『サメストーカー リターンズ』© MMXX Johnson Production Group Inc. All Rights Reserved

一方、女子高生コートニーは、立入禁止区域の小島で友人たちと羽目を外している最中、獰猛なサメの群れと遭遇してしまう。かろうじて彼女を助け出したのは、デビッドという偽名を用いて島の灯台に身を潜めていたブルースだった。

『サメストーカー リターンズ』© MMXX Johnson Production Group Inc. All Rights Reserved

二人はたちまち恋に落ちるが、デビッドはコートニーの両親から信用を得られなかった上、初恋の女性“アリソン”の名を口走ってしまったことでコートニーからも見放されてしまう。相次ぐ悲恋に逆上するブルースだったが、コートニーが彼の子を孕んでいたと知って――。

『サメストーカー リターンズ』© MMXX Johnson Production Group Inc. All Rights Reserved

やはり過去作と似たり寄ったりの筋書きである。とはいえ3作目では、ブルースがヒロインのスマホに遠隔操作アプリを仕掛けるといった謎のテクノロジースキルを披露するほか、なぜか母親への執着心がクローズアップされ出すなど、そのサイコパス度は妙な方向に増している。また後半には、少々意外な展開が待ち受けていたりも。

――というわけで総括だが、本来極めてハイスペックかつ容姿・出自共に恵まれているはずのブルースが、毎度毎度つまらない失言や精神的未熟さによって意中の相手を射止め損ね、逆恨みするそのポンコツっぷりには、もはや一周回ってある種の愛嬌を感じなくもない。

シリーズを通して「特別ビビッと来るような長所は見当たらない反面、いずれも及第点には達しており、なんだかんだでまあまあ見られる」出来栄えではあるため、それ相応に面白くもある。「サメ映画」とは言い難いが、そこそこアリ寄りなティーン向けサスペンスには違いない。

『サメストーカー ビギニング』© MMXVII Productions Inc. All Rights Reserved

文:知的風ハット

『サメストーカー』シリーズ3作はCS映画専門チャンネル ムービープラス「サメストーカー イッキ観!」で2023年4月放送

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