タイ洞窟遭難事故をヴィゴ・モーテンセンら主演で映画化! Prime Video『13人の命』ロン・ハワード監督ほか記者会見レポート

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ライター:佐藤久理子
タイ洞窟遭難事故をヴィゴ・モーテンセンら主演で映画化! Prime Video『13人の命』ロン・ハワード監督ほか記者会見レポート
『13人の命』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

2018年6月、タイ北部のタムルア洞窟に閉じ込められた12人の地元サッカーチームの少年たちとそのコーチの救出劇は、世界的に報道されたので、ご記憶の方も多いかもしれない。洞窟救助に長けたダイバーが世界から集まり、タイ軍や現地のボランティアの人々も参加し、奇跡的に13人の命を助けることができた。その実話がアカデミー賞受賞監督、ロン・ハワードによって映画化され、『13人の命』として2022年8月5日よりPrime Videoで独占配信される。

キャストは欧米側からヴィゴ・モーテンセンコリン・ファレルジョエル・エドガートントム・ベイトマンらが顔を揃え、タイのキャスト陣と共演を果たした。配信を前に監督と主要キャストらがオンライン会見を行ったので、その様子をお伝えしたい。

「真実を多くの人に伝えることはとてもエキサイティング」

ハワード監督はまず本作の映画化に惹かれた理由を、こう語る。

ロン・ハワード監督

世界に知れ渡った奇跡的な出来事であるのはもちろん、脚本を読んでとても感銘を受けたんだ。ウィリアム・ニコルソン(『グラディエーター』[2000年]ほか)が手がけた脚本には、僕らが知る事実よりもっと多くのディテールが記されていて、いろいろなレベルで大きな広がりを感じさせるものだった。タイの多くの人々を含んだ協力体制、人々の英雄的な面、洞窟のなかだけではなく、そこに到達するまでの困難や、山中のキャンプで同時進行していたドラマなど。とにかく僕自身読んで驚いたし、感銘を受けたよ。

こうした真実を多くの人に伝えることはとてもエキサイティングだし、大切なことだと思えた。それに、この映画を作ることで自分もタイの文化について学べるだろうと。なぜならこの事件は、タイの人々のメンタリティを強く反映していると思ったから。

ハワード監督といえば、これまで『アポロ13』(1995年)や『ラッシュ/プライドと友情』(2013年)など、実話をもとにした作品も扱っている。だがそれでも、今回は特別な経験になると予感したという。

ロン・ハワード監督

洞窟のなかのドラマを撮ること、それは撮影術的に大いなるチャレンジだ。そこで僕はこれまで実話を撮ってきた経験から、専門家を信頼し、できるだけコラボレートすることを目指した。今回、実際に救助隊に参加したリック(リチャード)・スタントン、ジェイソン・マリンソンの協力を得ることができたのは本当に素晴らしかった。

『13人の命』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

実際の洞窟はさすがに危険すぎて使用できないため、クルーはオーストラリアに洞窟のセットを建設したという。脚本を完成させる段階からテクニカル・アドバイザーとして参加したスタントンは、「ハワード監督の、どんな細部においてもできるだけ事実に正確に表現しようとする意欲に驚かされた。すべての制作プロセスがとても印象的だったが、とくに俳優たちの身体を張った献身に心を打たれた」と語る。

「ヴィゴが“ダイビングを学んで自分たちで演じる”と提案した」

スタントンに扮したヴィゴ・モーテンセンは、役作りをこう振り返る。

ヴィゴ・モーテンセン

演じる実在の人物がいつもスタジオに来てくれるとは限らないが、今回は彼らの存在が必要不可欠だった。ほとんど水中のシーンだったし、撮影前からオンライン通話のやりとりを重ね、リハーサルでは、絶対に危険を冒さないためにはどのように泳いで、どのように(水中で)動くか、ということを徹底的に教わった。撮影自体とても危険だったから、僕ら俳優たちも集中していたし、お互いのことをとても気遣っていた。撮影はリアル過ぎるぐらいリアルだったからね(笑)。だからエゴのない、一致団結した現場だった。

救助隊ボランティアのひとり、ハリー・ハリスを演じたジョエル・エドガートンもこう語る。

ジョエル・エドガートン

この映画の経験で多くを学べるだろうと予め想像していたけれど、詳細を知ることで、本当に謙虚な気持ちにさせられた。僕らはカメラをつけて潜らなければならなかったから、なおさらナーバスにさせられたんだ。でもハリスは勇気あふれる人だ。そして子供たちにとても愛着を寄せていた。じつは自分もこの撮影中に父親になったので、よけいに子供たちに対する責任や配慮について考えさせられたよ。

ハワード監督によれば、当初はプロのダイバーによるスタントを用意していたものの、モーテンセンの提案で、俳優たち自ら全シーンを演じることになったという。

ロン・ハワード監督

ヴィゴが提案したんだ。「僕らはダイビングを学んで、自分たちで演じる」と。彼は現場の士気をリードしてくれたよ。そのおかげで撮影は、素早く滑らかに進行することができた。この遭難事故の奇跡は人々のボランティア精神の賜物だが、撮影にも、俳優たちによる別のレベルのボランティア精神があったわけだ。本当に素晴らしかったよ。

よって、すべてのダイバー役の俳優たちが実際に潜水をしたわけだが、スタントンと同様、イギリスの洞窟救助評議会のダイバーであるジョン・ボランセンに扮したコリン・ファレルはなんと、もともとカナヅチであったという。

コリン・ファレル

僕は泳げないんだ。だから正直言って、毎日水に浸かりに行くだけでも恐ろしかった。水ほどコントロールできないものもないだろう。でもロン(・ハワード)はできる限り真実味にこだわっていたし、何度も練習を重ねて必死に学んだ。リックとジェイソンはつねに、状況判断やそのときの感情について細かい助言をくれたし、彼らのおかげで僕は自分を信頼することができた。

ヴィゴが言う通りエゴのない現場で、僕らはこの素晴らしい物語を伝えるための一要素ということを意識した。とても責任があることだ。それは救出された人々だけではなく、たとえば救出作業中に命を落としたダイバーや、何ヶ月もたってから、洞窟の水が原因による感染症で命を落としたダイバーなどに対しても。だからこの映画に加われたことはとても名誉だと思う。

「人々が団結すれば、奇跡も起こし得る」

個人的恐怖を克服したのはファレルだけではない。じつはハワード監督も閉所恐怖症なのだという。

ロン・ハワード監督

セットとはいえ、毎日ずっと洞窟の中に居るのは困難だった。だから最終日のことはよく覚えている。この撮影は素晴らしい経験をもたらしてくれたけれど、それでもやっと洞窟から出ることができてハッピーだった(笑)。

一方、自らダイビングを提案したモーテンセン自身も、撮影中、凍るような恐怖を経験する瞬間があった。

ヴィゴ・モーテンセン

酸素ボンベを2つ背負って潜水していたんだけど、なぜかその1つが作動しなかったんだ。なんてこった! と思ったけれど、リックから言われた「息を荒くしてはいけない」という教えを思い出し、なるべく冷静を保った。でも洞窟の狭い箇所を通り抜けるのが大変で、息が荒くなってしまい、とうとうボンベが空になってしまった。あの瞬間は、永遠に思えたよ。

こうした少なからぬリスクや多大な貢献を経て、このフィクションのような奇跡の出来事がスクリーンに完全に蘇ることになった。もちろんスリリングな救出劇には違いないが、それだけではない。ファレルはこう言葉を添える。

コリン・ファレル

これは、異なる国籍の異なる文化の人々がひとつの目的のために団結して、素晴らしいことを成し遂げた物語だ。いま、人々が分断の方向に向かっているような世の中で、とても大切なことを教えてくれると思う。

そしてハワード監督はこう締めくくる。

ロン・ハワード監督

人々が団結すれば、奇跡も起こし得るということ。それをこの物語は思い出させてくれる。自分にとって、人生の素晴らしい経験を与えてくれるものだったが、観客にとってもそういう作品になることを願うよ。

『13人の命』© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

取材・文:佐藤久理子

『13人の命』はPrime Videoで独占配信中

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『13人の命』

予期せぬ暴風雨の中、タイ北部のタムルアン洞窟に閉じ込められた地元のサッカーチームを救出するために、世界中が取り組んだ驚くべき実話を描く。

監督:ロン・ハワード
脚本:P・J・ファン・サンドヴァイク ガブリエル・ターナ
   カレン・ランダー ウィリアム・M・コナー ブライアン・グレイザー

出演:ヴィゴ・モーテンセン コリン・ファレル
   ジョエル・エドガートン トム・ベイトマン

制作年: 2022

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