『355』5カ国の凄腕スパイが世界中で大混戦の“ガチ”アクション! サスペンスとユーモアとセクシーさと

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ライター:稲垣貴俊
『355』5カ国の凄腕スパイが世界中で大混戦の“ガチ”アクション! サスペンスとユーモアとセクシーさと
『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

王道スパイ・アクション復活

世界を股にかけるスパイ・アクション映画の“王道”が、2022年の映画館に帰ってきた。

『355』はどこか懐かしいスパイ映画であり、近年のトレンドにも風穴を開ける痛快な一作だ。ジェシカ・チャステインペネロペ・クルスダイアン・クルーガーファン・ビンビンルピタ・ニョンゴという豪華キャストが揃い、『X-MEN』シリーズ(2006年ほか)などを手掛けてきたサイモン・キンバーグが脚本・監督を務める。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

危険なデジタル兵器を奪い返せ!

アメリカ・CIA本部に重大な情報が飛び込んできた。コロンビアの麻薬王の息子が開発した最新のデジタル・デバイスが奪われたのだ。そのデバイスは世界中のインフラや金融システムを攻撃し、都市を停電させ、飛行機を墜落させることも可能な恐るべき“兵器”だった。デバイスを奪ったのは、麻薬王の豪邸に突入した特殊部隊員のルイス(エドガー・ラミレス)。彼はパリに潜伏し、CIAに取引を持ちかけたのである。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

デバイス奪取の任務を請け負ったのは、CIA諜報員のメイス(ジェシカ・チャステイン)とニック(セバスチャン・スタン)だった。ふたりは新婚夫婦を装ってルイスに接近するが、ドイツ連邦情報局(BND)の工作員・マリー(ダイアン・クルーガー)の横入りによって作戦は失敗する。メイスがイギリス・MI6のサイバー担当・ハディージャ(ルピタ・ニョンゴ)に協力を頼むころ、ルイスのもとを、祖国コロンビアから派遣された心理学者・グラシエラ(ペネロペ・クルス)が訪れていた。さらに中国政府の工作員・リン(ファン・ビンビン)も加えて各国の思惑は交錯するが、彼女たちに共通する目的はひとつ。デバイスを回収し、世界の危機を回避することだ。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

懐かしく、そして新しく

大作スパイ・アクション映画と聞いて、どんな作品を想像するだろう? おなじみジェームズ・ボンドが活躍する『007』シリーズ(1962年~)か、トム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル』シリーズ(1996年~)か、それともマット・デイモン主演の『ボーン』シリーズ(2002年~)だろうか。本作を手がけたサイモン・キンバーグ監督は幼い頃からボンド映画に親しんでおり、ひとりのスパイ映画ファンとして、「いずれ独創的なスパイ映画を作りたい」という願いを胸に抱いていたという。

『355』メイキング写真©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

そんな折、主演・製作のジェシカ・チャステインが、「女性スパイの群像劇映画を作りたい」というアイデアをキンバーグに持ち込んだ。上に挙げた作品を思い返しても、スパイ映画はひとりの主人公を描くことが多いため、きちんと群像劇(ただ登場人物が多いだけでなく“群像”を描く物語)になっている作品は多くない。まして、女性スパイの活躍を描く映画とくればなおさらだ。キンバーグの創作意欲に火がつき、本作の企画は動き始めた。

『355』メイキング写真©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

『355』はきわめて明快なコンセプトの作品だ。世界各国の凄腕が目的のために手を組むというストーリー、そして豪華キャストの競演は、(スパイ映画ではないものの)『オーシャンズ』シリーズ(2009年ほか)を思わせる。本作を観て、同シリーズの女性スピンオフ映画『オーシャンズ8』(2018年)を想起する人もいるだろうし、女性のアンサンブル・ムービーといえば『チャーリーズ・エンジェル』シリーズ(2000年ほか)も有名だ。

もっともキンバーグ監督は、ここに現代アクション映画の文脈を掛け合わせた。昨今、女性主人公のアクション映画は増えつつあり、スーパーヒーロー映画以外にも、シャーリーズ・セロン主演『アトミック・ブロンド』(2017年)などが大きな注目を集めた。スパイ映画としては、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)がアナ・デ・アルマスやラシャーナ・リンチのアクションで話題を呼んだことも記憶に新しい。

『355』では、数々のアクションでスタントを手がけ、『007』や『ボーン』シリーズにも参加した経験を持つジェームズ・オドネルがスタント・コーディネーターを担当。劇中では出演者が自ら銃撃戦や格闘などに挑戦し、クールでシリアスなアクションシーンが展開される。コロンビアの豪邸に特殊部隊が突入する冒頭から、パリの路上や港で展開する追跡劇、モロッコの市場への潜入、そして上海のオークション会場や高層ビルでの激闘まで。キンバーグ監督は『007』などから得たインスピレーションを惜しみなく注ぎ込み、めくるめくアクション絵巻を描き出した。ジャンキーXLことトム・ホーケンバーグの劇伴音楽も緊迫感たっぷりで、観る者のテンションを高めてくれる。

『355』メイキング写真©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

監督が「独創的なスパイ映画を」と意気込んだ『355』は、いわば“懐かしくも新しい”作品だ。作品全体のトーンは『オーシャンズ』や『チャーリーズ・エンジェル』に近いが、アクションはリアルさを重視した現代のトレンドに対応。撮影の大部分は、世界が新型コロナウイルス禍に見舞われる以前の2019年の夏に行われたため、世界各国の美しい景観の中、登場人物たちが入り乱れる大混戦をたっぷりと堪能できるところもうれしい。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

本作がハリウッド発のスパイ・アクションとして斬新な作品かと言われれば、答えはノーだ。しかし、それこそがこの映画の美点なのである。監督の狙いは、“懐かしのスパイ映画”を女性たちで甦らせ、現代の流儀や価値観のもとで更新すること。『355』には、王道のスパイ映画に必要な大スケールのアクション、サスペンス、ユーモア、セクシーさ、そして個性的なキャラクターがずらりと揃っている。かつて男性たちばかりで描かれたスパイ映画のモードを、今度は女性たちがさらりとやってのけるのだ。それが2022年ならではの独創性、新規性なのである。

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ストーリーテリングと豪華キャストの妙

『355』の脚本を執筆したのは、監督のサイモン・キンバーグと、劇作家・脚本家・映画監督のテレサ・レベック。原案をレベックが担当し、脚本は共同で書き上げられた。『X-MEN』『デッドプール』シリーズ(2016年~)など大作映画の脚本・製作を長年務めてきたキンバーグと、劇作家として数々の賞に輝くレベックによる熟練のストーリーテリングには舌を巻く。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

もともとキンバーグは、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー主演の『Mr.&Mrs.スミス』(2005年)や、ロバート・ダウニー・Jr.主演『シャーロック・ホームズ』(2009年)などの脚本を執筆。アクションやサスペンスを軸に、ロマンスやコメディの要素も含んだジャンル映画は得意中の得意なのである。本作は『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019年)に続く監督第2作目だが、『355』のほうが自らのルーツに近いぶん企画との親和性は高い。魅力的なキャラクターを描き分け、情報を整理し、人間ドラマを膨らませながら物語を転がす手腕には語り手としての余裕を感じられるだろう。

とりわけキンバーグとレベックの共同作業が功を奏したのは、キンバーグ作品にしばしば見られるシンプルな骨格が、レベックこだわりの人物描写で丁寧に埋められていることだ。キンバーグは作品のコンセプトをあえてざっくりとさせておき、ときにはそれを利用して大味な展開を力技でやり遂げることがある。『355』にもそうした側面がまったくないとは言えないのだが、レベックが「キャラクターの複雑性を描くことに気を遣った」と語るように、本作では登場人物のドラマを丁寧に立ち上げることにも力点が置かれている。群像劇としての強度を獲得したことが、結果的に作品全体の説得力につながったのだ。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

これに大きな貢献を果たしたのが、名実ともに確かなキャリアを誇る出演者たちである。ジェシカ・チャステイン、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガー、ルピタ・ニョンゴは、役柄の背景をじっくりと炙り出す演技で、アクションの中にも人間ドラマとしての重みをもたらした。特筆すべきはペネロペとダイアンで、ふたりが本作のような大スケールのアクション映画に主要キャストとして出演することはいまや珍しい。役柄のクールな側面、そして緻密な心理描写も見どころだ。

『355』メイキング写真©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

脇を固めるエドガー・ラミレスとセバスチャン・スタンも、ほかの作品ではあまり見られないような表情を垣間見せる。デバイスを奪った張本人・ルイス役のエドガーは多言語を操りながら物語を引っ張り、ジェシカ演じるメイスのパートナー・ニックを演じるセバスチャンは、くるくると変わる表情でヒロインのようなポジションを担いつつ、また新たな一面を切り拓いてみせた。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

懐かしさあふれるスパイ映画のストーリーに、現代ならではのアクションと緻密な人物造形が融合した本作は、きっと映画ファンに大きな充実感を与えてくれるはずだ。特にアクション映画のファンならば、「観たかったものを観られた」という満足感とともに劇場を出ることができることだろう。

『355』©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.

文:稲垣貴俊

『355』は2022年2月4日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

Presented by キノフィルムズ

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『355』

格闘術のスキルが高いCIAのメイス、過去にトラウマを抱えるBND/ドイツ連邦情報局のマリー、最先端のコンピューター・スペシャリストでMI6のハディージャ、コロンビアの諜報組織に所属の優秀な心理学者グラシー、中国政府で働くリン・ミーシェン。秘密兵器を求め各国から5人の女性エージェントが集結、ライバル同士からチームとなりコードネーム「355」を結成。それぞれの才能を駆使して、世界をカオスに陥れるテクノロジーデバイスを利用しようとする国際テロ組織に立ち向かっていく。果たして第三次世界大戦を阻止することはできるのかー。

制作年: 2022
監督:
脚本:
音楽:
出演:

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