桂正和「『電影少女』は原作にない話をやってるんだけど、すごく原作っぽくて。」(2/5)

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ライター:BANGER!!! 編集部
桂正和「『電影少女』は原作にない話をやってるんだけど、すごく原作っぽくて。」(2/5)
1981年に<週刊少年ジャンプ>でデビューを果たし、83年に同誌で『ウイングマン』の連載をスタートさせた漫画家・桂正和さん。その後90~00年代にかけて『電影少女』『I"s』『ZETMAN』といった歴史に残る傑作を生み出し、現在はその神々しいまでの画力でキャラクターデザイン分野など多方面で活躍されています。
今回は、そんな桂さんに「人生」と「映画」というテーマでインタビューを敢行。フェイバリット映画を5作挙げていただきつつ、幅広い世代に愛される桂作品が生まれた背景や影響を紐解くべくお話を伺いました。

「自分の作品の実写化は、むしろ原作とは変えたい派です」

―桂さんの作品は映像化されているものも多いですが、ご自身の原作でアニメ化/ドラマ化されているものを、どう捉えてらっしゃいますか?

デビュー作の『ウイングマン』は初メディア化だったので、すごく“原作っぽさ”にこだわりがあったんです。まだ僕も若くて、二十歳くらいの頃。ただ実際には原作っぽくなく世に出たので、一回挫折するんですよ。「ああ、ダメなのか~」と思って。

そこから大人になって、いろんなものを見てきて、「媒体が違うんだから違って当然だな」って思い始めて。むしろアニメにしても、昔と違って最近のアニメって3か月とか、12話くらいしかやらなかったりするもんだから、長い原作のものをそこに収めるのは到底無理がある、と。

映画にしても同じで、1時間半くらいで終わっちゃうので、原作が持ってる核の部分さえブレてなければ、どんなふうにアレンジしても、むしろアレンジしたほうがいいんじゃないか? って思っていて。衣装にしてもそうだし、そもそも実写になってくると絵じゃないし、役者さんがやるわけで。

どこまでイメージに近いか。近いのはもちろん大切だと思うんですけど、キャラクターの持っている核さえブレてなければ、面白くなることを最優先で考えたほうが良くなると思ってます。だから僕は、原作通りじゃなくてもいい派なんですよ。進んで変えたいなと思ってますね。

―その中でも理想の映像化だな、と思った作品はありますか?

『ウイングマン』は僕の原作とはずいぶん違う雰囲気になってますが、1年ぐらいやっていたので、それで知ってくれた人もいるってことが分かったので、とても大切な作品だと思っています。

それ以後の作品はね、意外と原作の雰囲気を出してくれている作品が多くて。実写で言ったら、今年の頭にやった『電影少女』(連続ドラマ)とかは原作にはない話をやってるんだけど、すごく原作っぽくて。あれは優れた作品だったなと思いますね。これから公開になる『I”s』も、もちろん色んな制限があったりとか原作通りではないですけど、ほぼ原作に近い感じで描かれてて。すぐれた監督さんによると「ああ、良くなるんだな」って思いましたね。

―お話の核の部分をすくい取っている?

うん、そうですね。重要なのはプロデューサーさんとか監督さんが、そのモノを好きであるか? っていうところで。僕の場合、両方とも実写は幸運なことに、愛してくれてる感じがすごくあって、やっぱりそこが重要だなって思いますね。だから多少のアレンジがあったとしても、大切な部分はズレないというか。

「映画は最高の娯楽であり、最高の教科書でもある」

―今後はどういった活動、作品に取り組んでいくご予定ですか?

いいお話が浮かんだら、いつでもマンガも描きたいなと思ってるんですけど、当分はキャラクターデザインのほうが忙しくて(笑)。来年もそっちのほうが中心になるかなと。

―キャラクターデザインとマンガは、やはり違うものですか?

もう全然スイッチが違うというか。マンガのほうは、キャラクターのデザインに関してはそんなに力を入れないんですよ。それよりはお話とかのほうに気がいくので、あんまり気合を入れてやることはないんですけど。キャラクターデザインはそこだけの仕事なので、そこに集中してやるっていう、また違った面白さがあって。

依頼されるときに、すごく具体的にキャラクターが決まっている場合もあるんですが、ほとんどが漠然としてるんですよね、僕頼りみたいなところがあって。それから生み出すので、そうやっていくうちにシナリオも少しずつできてきて、そのキャラクターがどういう人間なのか少しずつ分かってくる。そうすると僕も作家なので、自分なりのキャラクターに対してのドラマが生まれてくるんですよね、頭の中で。

それで勝手な妄想をするのが楽しくて。妄想できればできるほど、どういう服を着てるんだとか、どういう考え方をしてるんだとかっていうのが明確に見えてくるので。だから、マンガの仕事とデザインの仕事は全然、頭の使ってる部分が違ってる感じで面白いですね。

―先々こういうことをしたい、といった具体的なビジョンはありますか?

うーん……なにか1本、オリジナルで映画みたいなものを作りたいなっていう気持ちは頭の片隅にありますけど、絶対にやらないと思います(笑)。たくさんの人を使うのは苦手だという感じがして。畑が違うとね、恐縮してしまうので(笑)

ただ、そういうのはやってみたいなあと思いますけどね。アニメとかでも、キャラクターデザインだけやってると、なんかジレンマが起こるんですよ。「ここ、もっとこうすればいいのになあ」とか……。そういうのを感じるから、自分で監督してみたいなと思ったりもする。なかなかエネルギーの要る仕事なので難しいなとは思いますけど、そういう気持ちは片隅にありますね。

―では最後に、桂さんにとって「映画とは」を一言でお願いします!

一言でいえば……「最高の娯楽」ですかね。あとは「最高の教科書」。娯楽に関しては、ゲームをしたりとか、どこかに出かけたりとかもありますけど、僕はおもしろい映画に出会ったときが一番、興奮するというか楽しいというか。そこから仕事にフィードバックすることも多いので、映画は人生において欠かせないものですね。楽しみながらも教科書になる、そういう作品に出会いたいですね、今後も。

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