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桂正和「エイリアンのお尻がすごくキレイでびっくりしたんですよね(笑)」(3/5)

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ライター:#BANGER!!! 編集部
桂正和「エイリアンのお尻がすごくキレイでびっくりしたんですよね(笑)」(3/5)
1981年に<週刊少年ジャンプ>でデビューを果たし、83年に同誌で『ウイングマン』の連載をスタートさせた漫画家・桂正和さん。その後90~00年代にかけて『電影少女』『I"s』『ZETMAN』といった歴史に残る傑作を生み出し、現在はその神々しいまでの画力でキャラクターデザイン分野など多方面で活躍されています。
今回は、そんな桂さんに「人生」と「映画」というテーマでインタビューを敢行。フェイバリット映画を5作挙げていただきつつ、幅広い世代に愛される桂作品が生まれた背景や影響を紐解くべくお話を伺いました。

「エイリアンのお尻がすごくキレイでびっくりしたんですよね(笑)」

1:『エイリアン』(1979年)

これは劇場じゃなくテレビで観たんですけど、とてつもない衝撃でした、全体に漂うセンスが。今でも影響を受けているというか、エイリアンのデザインがとても斬新だったので。それだけじゃなく、ホラーとしてすごく面白かったんですよね、すごく怖かった。

H・R・ギーガーのデザインはすごく大きいですね。映画館にはあまり行ってなかったけど映画雑誌とかは買って見てたりしたので、それまでの宇宙人? っていうものの概念を、まるで新しくしてしまった感じがしました。

最初に観た時は、撮り方が上手いので全体像がどうなってるのか分からなかったんですが、それが良かった。後からいろんな知識を得て、本とかを見て、「ああ、こういう形してたんだ」っていう(笑)。全体像が見えてきて「ああカッコいいな」と思った。

当時<ギーガー展>っていうのが東京であって、それに行ったんです。そこに等身大のエイリアンのスタチューが展示してあったんですけど、お尻がすごいキレイだったんですよ(笑)。それにびっくりして。「なんでこんなに女性っぽいお尻? 色っぽいなあ~」ってイメージが強くて、ギーガーの考えることってスゴいなと。

「作品全体を通して、すごく自分の血肉になってます」

エイリアンの造形に影響を受けた奴って山ほどいるんじゃないですかね?(笑)。もう囚われちゃって、誰も抜けられない感じがしますよね。すごい“発明”だと思います。

エイリアンはある意味、美しい部分があるじゃないですか。だから僕の作品では、悪い奴ほどあまり悪く見えないようにデザインしたりとか、そういうところで楽しんでいますね。あえて(色を)黒にしなかったり、良い者に見えたりとか、そういう感じが面白いかなと思ってます。

エイリアン本体もそうですし、成虫になってく変遷とか、とにかく作品全体を通してすごく自分の血肉になってますよね。芯の部分で非常に影響を受けている感じがします。

「もう完璧。ひれ伏す感じですよね(笑)」

2:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)

これはもう教科書ですね。話の展開に隙がないというか、観た時は本っ当におもしろかったです。「これがエンターテインメントだ」って感じがしました。漫画家の中でも、これが教科書だっていう人は多いと思うんですよ。伏線の張り方から回収の仕方まで、見事だもんね。

僕は、この作品に関してはグッズとか同じような恰好とか、そういうもの(に魅力)はあまり感じないんですよ。全体の“お話”かなあ、やっぱり。構成が本当に見事で……あ、でもデロリアンはカッコいいか(笑)。ネタの振り方と回収の仕方とか、テンポ感とか見せ方とか、もう完璧だなって思いますね。なんかもう、ひれ伏す感じですよね(笑)

一つのお話で終わる“読み切り”っていうのを、新人の頃によくやるんです。映画って、その読み切りの面白さですよね。オチをどうするか? どういうふうに読後感を感じさせるか? っていう。そこは頭のひねりどころかな。

「少年ジャンプの場合、人気があると想定内で終わらなかったりするんですよ」

ベテランになってからそういう考え方をするようになりましたけど、<少年ジャンプ>で連載している頃は連載が開始してしまったら、もうどこを見ても時間がないんですよ(笑)。「さあやれ」って言われて、準備段階の時間もないから追われてる感じになる。マンガの骨格というか、ネタさえ考えたら「GO!」みたいなところもあって、オチというか結末を考えてる余裕がないという(笑)。自分の場合はですけどね。描いている途中で(アイデアが)浮かんだりもしますけど、最後の最後までどう終わらせるか分からない時もありましたし、途中で思い描いて、そこに向かうっていうことも。

<少年ジャンプ>の場合は、人気があると想定内で終わらなかったりするんですよ。その前で終わったり、もっと伸びたりするんで、難しいんですよね(笑)。もうライブみたいなもので、その週その週で「こういう話で、ここのターンはこういう終わり方させて、次に……」とか思ってても、途中で脇道に逸れたりとかしちゃうんです。

でも『BTTF』に影響は……受けてないと思います、受けられないというか。受けたいですね(笑)。ここまで見事にできたらいいな、って感じでしょうね。理想形です。

桂正和「『電影少女』は原作にない話をやってるんだけど、すごく原作っぽくて。」(2/5)

桂正和「バットマンの変態性から妄想を膨らませて『ZETMAN』を描いたんです(笑)」(4/5)

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