破壊的でブッ飛んでるラブ・パンク映画!『ディナー・イン・アメリカ』が“世界をぶっ飛ばす”勇気をくれる

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破壊的でブッ飛んでるラブ・パンク映画!『ディナー・イン・アメリカ』が“世界をぶっ飛ばす”勇気をくれる
『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

不良は真面目

『ディナー・イン・アメリカ』を見終わったとき、我々キングブラザーズの「ACTION!!!!」という曲が頭をよぎった。これは、破壊的でブッ飛んでるラブ・パンク映画! 面白かった!!

『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

これは持論だが、生き様が文句なしにカッコいいパンクスなんていない気がする(パンクスの皆様ごめんなさい)。カッコよくない自分に対しての劣等感、社会への劣等感、生きてることへの劣等感。んもう、とにかく劣等感、劣等感。その劣等感がガソリンとなり、カッコいいステージング、ライブに繋がるんじゃないかな。だからこそまっすぐなパンクが好きだし、実は真面目だったりするパンクスが大好きだ!

昔、ギターウルフのセイジさんから「不良は真面目だから不良になるんだ。いろんなことに対して真面目に捉えて、我慢できなくなるから不良になるんだよ」と教えてもらったことがある。

劇中、バンド“サイオプス”のボーカルが声を振り絞って歌う。「俺たちは従わない! 俺たちは従わない!」

信用できる男、ベン・スティラーがプロデュース!

『ディナー・イン・アメリカ』は、『ズーランダー』シリーズ(2001年/2016年)や『LIFE!/ライフ』(2013年)などで知られる俳優/監督のベン・スティラーがプロデュースしたラブストーリー。孤独なパンク好き少女が不審な男を家に匿うが、実はその男こそ彼女の愛するパンクバンドの覆面リーダーで……という一風変わった恋物語を描く。主人公の少女パティと、彼女が匿った謎の男サイモンを演じるのは、共に本作が長編映画初主演だというエミリー・スケッグスとカイル・ガルナー。

『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

実は本作は、僕にとってちょいちょい共通点がある。サイモンはバンドをやっているし、彼のバンドのメッセージ性もキングブラザーズに通じるところがある。パティはペットショップで働いているんだけど、かくいう僕も20歳くらいの頃にペットショップで働いていた経験がある。そのころの髪型は茶髪でボンバー頭。僕の髪型に対する子犬たちの食いつきがすごかったので、たぶん子犬たちからヒーローのように慕われてたんじゃないかなぁと思っている。

なお監督は、各国の映画祭で上映されるも過激な内容で物議を醸したド変態映画『バニーゲーム』(2010年)のアダム・レーマイヤー。本作が良かったので『バニーゲーム』も見てみようと思ったんですがソフトが手に入らず、とりあえず予告だけ見たところ、予想と違ってめっっちゃくちゃ! この記事が掲載される頃には鑑賞していると思うので、詳しい感想はSNSで書こうと思います……。

『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

世界は変わらないかもしれないけど、それを自分のアクションで変えるんだ!

男性と女性が惹かれ合いながら逃避行を繰り返す映画は少なくない。本作のパティはその中でも一際ダサく(特にTシャツ)、華がない。そして全然セクシーじゃない。けれど、そこがとても愛らしい。周りから蔑まれ家でも居場所がなく、仕事も親が決めた候補から選ぶことに疑問を感じない。それでも彼女の世界には最愛のジョンQ擁するバンド、サイオプスがいる。

『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

劇中、パティが歌うシーンがあるんですが、その歌詞は実際にエミリーが書いたものを監督と一緒に良い部分だけを選んで再構築したらしいです。そんなオリジナルソングが歌われる地下室のレコーディング・シーンは、か細く歌うパティの内から出る強さがあって、その歌に魅了されたサイモンの表情が印象的でした。監督も「このシーンは、パティが人生で初めて心地良さを感じている瞬間なんだ。この映画の中で自分でも一番誇りに思える瞬間だよ」と語っている通り、素晴らしいシーンだと思います。

『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

カイルもインタビューで「サイモンは誰かの家に火をつけたりしたのは事実だけど、彼はまともだった」と述べているように、彼の粗暴さと口の悪さとは対照的な笑顔が印象的でした。パティに惹かれ心を許したときの笑顔からは、本当は優しくてマトモでいい奴なんだということがわかる。ムチャクチャなこともたくさんやりますけどね!(笑)。ちなみに、ちょい役で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985年ほか)のリー・トンプソンも出てます。年を重ねても醸し出るセクシーさがありましたよ!!

『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

そして個人的に特に気に入ったのがエンディングシーン。パティの世界の変化にもドキドキしたし、こんな二人もいるよね~と“なあなあ”で終わるのではなく、しっかり罪の代償を払っているのもすごくいい。

冒頭でも触れましたが、キングブラザーズの『ACTION!!!!』には「世界が変わらないことなんて知ってる でも簡単にあきらめたりしないんだ 世界が止まらないことなんて知ってる だからって流されるのはもうごめんなんだ 世界が許さないことなんて知ってる だからメチャクチャにしてやるんだよ!!」という歌詞があるんですが、まさに「世界は変わらないけど、自分のアクションでその世界を変えるんだ!」という、そんなエンディングでした。大好きな映画です!!

『ディナー・イン・アメリカ』© 2020 Dinner in America, LLC. All Rights Reserved

文:ゾニー(KING BROTHERS)

『ディナー・イン・アメリカ』は2021年9月24日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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『ディナー・イン・アメリカ』

パティは孤独で臆病な少女。過保護に育てられ、したいこともできず、単調な毎日を送っている。唯一、平凡な人生から逃避できる瞬間、それはパンクロックを聴くこと。そんな彼女が、ひょんなことから警察に追われる不審な男・サイモンを家に匿ったものの、実はその男こそが彼女の愛するパンクバンド“サイオプス”の心の恋人、覆面リーダーのジョンQだった……。

制作年: 2020
監督:
出演:
  • BANGER!!!
  • 映画
  • 破壊的でブッ飛んでるラブ・パンク映画!『ディナー・イン・アメリカ』が“世界をぶっ飛ばす”勇気をくれる