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胸筋爆発イケメン獣医!『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』インド映画界唯一無二のアクションスターの魅力炸裂

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ライター:#松岡環
胸筋爆発イケメン獣医!『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』インド映画界唯一無二のアクションスターの魅力炸裂
『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』
DVDレンタル/発売中
価格:¥11,000(税込)
発売・販売元:CURIOUSCOPE

インド映画界で唯一「アクションスター」と呼べる男

インドには「アクションスター」はいないに等しい。というか、インドでは主演級のスターが全員アクションもこなすので、アクション専門の俳優は不要なのだ。トップスターともなれば、ベタベタの恋愛シーンも、苛烈なアクションも、それからコメディ演技&泣かせるシーンもお茶の子さいさい、さらにはダンスの才能も備わっていないと、その地位は維持できない。こうして、サルマーン・カーン、リティク・ローシャン、ジャッキー・シュロフらは、「アクションスター」という評価を得られないまま、オールラウンダーの「スター」として映画界に君臨している。

そんな中で唯一「アクションスター」という呼び名に値するのが、ヴィドゥユト・ジャームワールである。1980年12月10日生まれで現在40歳のヴィドゥユトは、3歳の時からインド・ケーララ州の伝統武術カラリパヤットゥを学び、大人になってからは世界各国を巡って武術を習得したという、根っからの武闘派だ。モデルから出発し、2011年にテルグ語映画の悪役でデビュー、続いてヒンディー語、タミル語映画でもデビューを飾るが、すべて悪役かチョイ役だった。しかし、2013年に初めて主演したアクション映画『Commando/コマンドー(原題)』で一挙に注目を集め、以後シリーズ化し第3作まで作られている。

その『Commando 2』(2017年)と『Commando 3』(2019年)の間に撮られたのが、本作『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』(2019年)である。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

文武両道イケメン獣医が象を狙う密猟者たちと戦う!

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』は家族愛や淡い恋、象との友情などが盛り込まれて、ソフトな作りになってはいるが、ヴィドゥユトの鍛え上げられた肉体と、様々なアクションシーンが見られる至福の作品だ。さらに象たちが名演技を見せてくれ、邦題になっている象の頭を持つ神様<ガネーシャ神>も一瞬顔を出すという、サービス満点の作品でもある。まずはストーリーから説明しよう。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

ムンバイで動物病院の医師として働くラージ(ヴィドゥユト・ジャームワール)は、東インドのオディシャ州にある故郷を出てから10年になる。父は故郷の村で象の保護区を運営しており、幼い頃のラージは象たちと共に育ったのだが、十代で母を亡くしてからは実家を離れ、一度も帰省していなかった。母の10回忌だからと父に強く言われ、ラージは帰省することにしたが、ラージの父にインタビューしたいという動物保護連盟の女性記者ミーラ(アーシャー・バット)も、村に向かう同じバスに乗り合わせていた。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

村でラージを迎えたのは、幼なじみで今は象使いとして保護区を守る女性シャンカラ(プージャー・サーワント)。森林保護局の監視員になったデイブ(アクシャイ・オベロイ)も含めた3人は、幼い頃いつも一緒に遊んでいた仲だ。ラージとデイブは、デイブの父ガジャ師からカラリパヤットゥの技を習得し、森の中のガネーシャ神を祭った祠の前で対戦しては、技を磨いたものだった。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

一見平和に見える保護区だが、象牙を狙う密猟者からは格好の標的とされ、今も台湾を拠点とする西洋人に操られたケーシャブ(アトゥル・クルカルニー)の一味が、立派な牙を持つ雄象ボーラを狙っていた。彼らはドローンを駆使し、映像を台北にも送って、標的の象を追いかけるハイテク一味だ。象のボーラはラージと仲良しだった象で、現在は雌の象ディディとつがいになり、ディディは妊娠中。母の10回忌は保護区の10周年でもあり、その日は近隣住民も招いて記念する集まりが行われた。しかしその夜、密猟者たちはボーラの群れを襲い、情け容赦なく銃を向ける……。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

甘いマスク&プリプリ筋肉&カラリパヤットゥで「アクションスター」をアピる!

最初、“動物のお医者さん”として登場するラージ役のヴィドゥユトに、思わず「萌え~」と悶えてしまう人も多いだろう。ヴィドゥユトは元モデルだけあってスタイルがいいのはもちろんだが、大きな瞳と高い鼻梁、表情豊かな唇が印象的なイケメンなのである。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

さらに続くジムのシーンでは、タンクトップから溢れんばかりのムッチムチな筋肉が拝めるし、途中からジャングルにワープして、ドーティー(腰布)姿でカラリパヤットゥの形も披露してくれる。赤線の入ったドーティー姿は古武士のような風格さえ漂い、このあたりでファンは急増することだろう。その後も、歩道橋で野良犬をいじめていた男たち相手に立ち回りをし……と、ヴィドゥユトのアクションスターとしてのアピールが続く。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

中でも、見る者にとって興味深いのはカラリパヤットゥのアクションシーンだと思うが、これはその後も何度か登場する。素手での闘い、2メートルほどの棒を使っての闘い、剣と盾、さらにはウルミと呼ばれる薄くて長い鋼の剣をムチのようにしならせての闘いなど、バラエティに富んだアクションは登場時間の短さを恨みたいほどだ。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

このカラリパヤットゥの扱い方を始め、アクション・シーンの設計、撮影、編集がいまひとつなのが本作の欠点で、ここを工夫すれば、タイ映画『マッハ!』(2003年)や『トム・ヤム・クン!』(2005年)同様、アジア発アクション映画ムーブメントが起こせたかも知れないのに……と残念である。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

『マスク』『ロボコップ2』などを手掛けた驚くほど豪華な製作陣!

タイと言えば、本作の象の保護区シーンは、ほとんどがタイで撮影されたという。象たちも名演技を見せてくれていて、特に村に戻った直後の、ラージと象たちの交歓シーンは圧巻だ。象たちのリーダーであるボーラは、1メートルを越す巨大な牙を持つ雄象だが、10年ぶりに会ったラージを確かめ、互いに敬意に満ちた挨拶を交わす。実に、一幅の絵になるシーンである。ディディ役の雌象や子象たちも演技力抜群で、スゴ腕の象使いがついていてくれたものと思われる。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

監督は、『マスク』(1994年)や『スコーピオン・キング』(2002年)で知られるチャック・ラッセル、撮影は『ロボコップ2』(1990年)や『メリーに首ったけ』(1998年)のマーク・アーウィン。象神ガネーシャまでもがCGで登場(結構可愛かったりする)したりするのを見ると、インド側製作陣の圧が強かったのでは? と思われるが、ヴィドゥユトの欧米映画界へのお披露目にはなったようで、ハリウッドのエージェントから声がかかったという情報もある。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

はたしてドニー・イェンやトニー・ジャーらに続き、国際派アクションスターへの道を歩めるか。ヴィドゥユト・ジャームワール、その可能性を本作でぜひチェックしてもらいたい。

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』©JUNGLEE PICTURES LIMITED 2019

文:松岡環

『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年8~9月放送

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『ガネーシャ マスター・オブ・ジャングル』

インド武術カラリパヤットの使い手で獣医のラージは、母の十回忌のため、父が営む故郷のインド象保護公園へ赴く。幼い頃から野生の象と戯れて育ったラージ。だが母の死後、父との間には確執が生まれていた。そんな彼を幼馴染みのシャンカラと象のボーラが温かく迎えるが、象たちには危険が迫っていた。

制作年: 2019
監督:
出演: