祝・日本先行公開!『ワンダーウーマン 1984』 ヒーローの中に“人間性”を求めるDCコミックの伝統

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ライター:杉山すぴ豊
祝・日本先行公開!『ワンダーウーマン 1984』 ヒーローの中に“人間性”を求めるDCコミックの伝統
『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

DCはヒーローの中に人間性を求める

まず最初に、2020年12月18日(金)に公開が決定した『ワンダーウーマン 1984』、とても楽しく素敵なアクション映画です! 前作以上に王道のスーパーヒーロー映画に仕上がっていて、本作が劇場で楽しめることを幸せに思います。

『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

DCとマーベルの違いはなにか? と聞かれた時に、僕がよく答えとして出すのが「マーベルは人間の中にヒーロー性を求め、DCはヒーローの中に人間性を求める」ということです。もちろんこの定義にあてはまらないキャラもいるのですが、例えばスーパーマンは最初から超人、神がかっているわけですよね。ほぼ完ぺき。けれど、ロイスという女性の前ではタジタジという人間らしさを見せます。それに対しスパイダーマンは、高校生が突然すごい力を手にしてしまう。彼の本質は普通の人間ですが、その力を正しいことに使わなきゃ! とヒーローらしさを見せていきます。

『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

DC映画の『ワンダーウーマン』(2017年)とマーベル・シネマティック・ユニバースの『キャプテン・マーベル』(2019年)を比べてみても、その違いは明らかです。どちらも最強の女性ヒーローですが、ワンダーウーマンは神の子であり、男なんか眼中にない究極の女性世界の姫です。そもそも設定からして人間離れした、戦う女神です。一方キャプテン・マーベルは、「女のくせに」的に男性社会でしいたげられ、それでも歯をくいしばって生きてきた、叩き上げの女性パイロットです。

『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

“理想”を夢見て生きてきたワンダーウーマンは、様々な経験を通して現実の世界を知り、そこから人間の弱さ、けれど一方でそのすばらしさを知っていきます。そして“現実”を生きてきたキャプテン・マーベルは、力を得たことで理想の世界をめざそうと心に決め、自分のヒーローとしての使命に目覚めていきます。DCもマーベルも“人間味あふれるヒーロー”であることは共通していますがDCはややヒーロー寄り、マーベルは人間寄りなのです。

78年『スーパーマン』をリスペクト! ワンダーウーマンの見せ場マシマシ大サービス

『ワンダーウーマン 1984』には、まさにこのDCらしさがあふれています。時は1984年、前作の『ワンダーウーマン』の冒険から66年後です。ワンダーウーマンことダイアナ(ガル・ガドット)はその力や正体を隠して人間社会で生きています。普段はその知識を活かしてスミソニアン博物館の考古学者としての日々ですが、ときどきワンダーウーマンとなって人助けをしています。ある時、彼女は恐るべきパワーを持った古代の秘宝と関わることになります。そして、この力を野心家の実業家マックス(ペドロ・パスカル)が悪用(乱用)したことから世界は大混乱に。ダイアナはワンダーウーマンとなって世界を救おうとするのですが……。

『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

アクションの見せ場も多く、また前作では描かれなかったコミックでのワンダーウーマンの能力がたっぷり描かれます。『ワンダーウーマン』の時は戦士でしたが、今回はスーパーヒーローとして描かれています。原作ではワンダーウーマンのライバルでスーパーヴィランであるチーター(豹女)が登場し、超人vs怪人のバトルもありと、サービス盛りだくさんです。

『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

一方で本作には、スーパーヒーロー映画の元祖にして傑作『スーパーマン』(1978年)に近いものを感じました。監督のパティ・ジェンキンスは『スーパーマン』が気に入っているようで、前作でもそのオマージュとなるシーンがありました。具体的には、ダイアナとスティーブ・トレバー(クリス・パイン)が路地裏で暴漢に襲われ、メガネ姿のダイアナが凶弾からスティーブを守るくだり。これは『スーパーマン』でメガネ姿の(つまりクラーク・ケントとして振る舞っている)スーパーマンが、路地裏で強盗からロイス・レインを守る場面を意識しています。

スーパーヒーローも愚かな選択をする……だからこそかっこよく、そして愛おしい!

『スーパーマン』『ワンダーウーマン』に共通するのは、2人とも悪を倒すヒーローではなく、人々を世界を守るヒーローということです。バットマンはクライム・ファイターですから犯罪者と戦うことが大事ですが、ワンダーウーマンはマックスやチーター退治のために戦うのではなく、混乱した世界を元に戻すことが重要なのです。

『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

そしてワンダーウーマンがくい止めようとするこの一大事は、ある意味、人間たちの愚かさがひきおこした事態です。けれど、ワンダーウーマンことダイアナも“愚かな選択”をしてしまい、それによってピンチに陥ります。『スーパーマン』において、恋人を救うため時間を逆転させてしまうという“暴挙”に出た、あの時のスーパーマンに通じるものがあります。

しかし、この“愚かな選択”をした彼女の気持ちが痛いほどよくわかる。ここが彼女の“人間味”であり、このかっこいいヒーローを、たまらなく愛おしく感じる瞬間でした。

『ワンダーウーマン 1984』© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC Comics

2020年は本当に大変な年でしたが、映画ファンにとって最後の最後のタイミングでワンダーウーマンが劇場に降臨してくれたことは、本当にハッピーです。

ありがとう、ワンダーウーマン!

文:杉山すぴ豊

『ワンダーウーマン 1984』は2020年12月18日(金)より全国公開

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『ワンダーウーマン 1984』

スピード・力・戦術すべてを備えたヒーロー界最強の戦士<ワンダーウーマン>を襲う、全人類滅亡の脅威とは。世界中の誰もが自分の欲望を叶えられてしまったら——禁断の力を手にした、かつてない敵マックスの巨大な陰謀、そして正体不明の敵チーターの登場。崩壊目前の世界を救うため、最強の戦士が失うものとは何か!?

制作年: 2020
監督:
出演:
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