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タミル語映画界のスター俳優アジット・クマールってどんな人?男くさ~いアクション・ラブコメ『兄貴の嫁取物語』TV初放送

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ライター:#安宅直子
タミル語映画界のスター俳優アジット・クマールってどんな人?男くさ~いアクション・ラブコメ『兄貴の嫁取物語』TV初放送
『兄貴の嫁取物語』© Vijaya Productions Pvt. Ltd.
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アジット・クマールってどんな人?

主演のアジット・クマールは、1971年生まれの52歳(本作公開時には42歳)。以前に『ビギル 勝利のホイッスル』(2019年)で紹介したヴィジャイよりも3歳ほど年上ですが、ほぼ同世代で、どちらも1990年代前半にデビューし、後半にブレイク、そして2000年代からは押しも押されぬ大スターとしてしのぎを削ってきました。

『兄貴の嫁取物語』© Vijaya Productions Pvt. Ltd.

現在のタミル語映画界には、別格の大御所としてラジニカーントとカマル・ハーサンという二大巨頭がおり、それを追う40~50代の働き盛りのスーパースターたちがいます。スーリヤやヴィクラムなども含むこの先頭集団の中で、アジットとヴィジャイは特別なライバル関係にあると周囲からみなされ、現地のファンたちもお互いを激しく意識し合っています。

二人ともデビューからしばらくはロマンス映画に主に出演していましたが、2000年代に入り、南インド映画全体がアクション指向に転回するのに合わせてアクション中心になったのも似ています。ヴィジャイの冠タイトルが「タラパティ(司令官)」であるのに対して、アジットのそれは「タラ(お頭)」です。しかし類似点はそこまでで、それ以外では対照的な芸風を築いてきました。

ヴィジャイの方は、長身・やせ形の体に現在49歳とは信じられない童顔のコンビネーションが年齢不詳でユニーク。一方アジットは、デビュー前にはモデルをしていたほどの、1990年代型の若干クシャっとしたところもある甘いマスクで出発しましたが、アクション作品の比重が増えるに従い、マッチョな魅力を前面に押し出すように変わってきました。

『兄貴の嫁取物語』© Vijaya Productions Pvt. Ltd.

俳優業と並行してカーレーサーとしてF2などに出場を続けたこともそのイメージを補強しました。そして2011年、40代に入った年からは白髪交じりの髪をチャームポイントとするようになり、またアクションのキレはそのままに、どっしりとした中年体型を打ち出すようになりました。

『兄貴の嫁取物語』© Vijaya Productions Pvt. Ltd.

アジットとシヴァ監督の信頼の絆

こうしたロマンスグレー路線を確立しつつあったアジットが、新進のシヴァ監督と2014年に初めて手を組んで興行的にも成功したのが、この『兄貴の嫁取物語』でした。マッチョな万年シングルが徐々に恋に目覚めるおかしさと、ウルトラハードなアクションとを巧みに同居させた本作がよほど気に入ったのか、アジットは本作から2019年の『永遠の絆』までの5年間の間に、シヴァ監督と4本ものコラボレーションをしています。

現地ではポンガルと呼ばれる収穫祭のシーズン(1月中旬)に封切られた祝祭映画である本作。社会問題への張り詰めた意識などは一旦脇に置いて、幾重にも繰りだされるコメディとアジットの男っぷりを存分に楽しんでいただきたい一作です。

『兄貴の嫁取物語』© Vijaya Productions Pvt. Ltd.

文:安宅直子

『兄貴の嫁取物語』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「ハマる!インド映画」で2024年2月放送


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『兄貴の嫁取物語』

マドゥライ地方の村に暮らす5人兄弟。長兄のビナーヤガは腕っぷしが強く、村人たちからも尊敬されているが、超硬派で女っ気はまったくなし。それぞれの恋人と結婚したいのに言い出せない4人の弟は、美術修復家の女性コーペルンデヴィとビナーヤガの恋愛を成就させようと奮闘する。

監督:シヴァ
出演:アジット・クマール タマンナー サンダーナム

制作年: 2014