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“80sアイコン”マット・ディロンの次回作はマーロン・ブランド役!コッポラやW・アンダーソン作品から監督業まで語るインタビュー到着

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ライター:#佐藤久理子
“80sアイコン”マット・ディロンの次回作はマーロン・ブランド役!コッポラやW・アンダーソン作品から監督業まで語るインタビュー到着
マット・ディロン 写真:©Kuriko Sato
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マット・ディロンを「マラケシュ映画祭」でキャッチ

マット・ディロンは40、50歳代の映画好きにとっては、たまらない俳優だ。フランシス・フォード・コッポラ(『アウトサイダー』[1983年]、『ランブルフィッシュ』[1983年])、ガス・ヴァン・サント(『ドラッグストア・カウボーイ』[1989年])、キャメロン・クロウ(『シングルス』[1992年])など、抜群の嗅覚による作品選びで、時代を彩るアイコンとなった。

その後、90年代半ばに低迷期を迎えるものの、アカデミー賞を受賞した『クラッシュ』(2004年)で自身も助演男優賞にノミネートされ、再び脚光を浴びる。2002年には、自ら共同執筆も手がけた『シティ・オブ・ゴースト』で監督デビュー。近年は鬼才、ラース・フォン・トリアーのもとで殺人鬼に扮した『ハウス・ジャック・ビルト』(2018年)の怪演が記憶に新しく、さらに『アステロイド・シティ』(2023年)でウェス・アンダーソン・ファミリーの一員にもなった。マイペースで、唯一無二のキャリアを築いている俳優と言えるだろう。

そんな彼と縁が深いマラケシュ映画祭で、今回インタビューが実現。ウェス・アンダーソンのこと、マーロン・ブランドに扮する次回作や、完成したばかりの音楽ドキュメンタリーについてなど、最新情報を語ってもらった。

マット・ディロン@マラケシュ映画祭

「俳優の仕事はタフだ」

―マラケシュ映画祭は今年が20年目ですが、すでに3度もいらしているそうですね。

うん、今回が4度目だ。初めてきたのが、開催2年目の2002年だった。自分の初監督作の『シティ・オブ・ゴースト』を披露した。最初の年にも招待をもらったんだけど、ちょうどこの作品の編集中で来られなくて。次はぜひ行こうと思っていた。僕は旅をするのが好きだけど、バカンスでツーリストとして旅行するより、仕事でその土地を訪れることが好きだ。その方が特別な絆が持てると思う。

―今回、映画祭でご自身のキャリアを語るトークを開催されましたね。14歳でデビューされてからすでに長いキャリアを築かれていますが、ご自身で振り返っていかがですか? 俳優業、監督業、ともに好きなことを追求されている印象があります。

俳優の仕事はタフだ。映画作りは一般的に大変だけど、俳優は自分の意志だけでキャリアがコントロールできるわけじゃない。『シティ・オブ・ゴースト』を作ったのは、90年代に仕事が来なくなって鬱になっていたから。やりたいものがないだけじゃなく、気乗りしない役すら話が来なかった。もちろんそんな仕事は引き受けたくないけれど、他の俳優がそれをやっている、そういうことにも落ち込んだ。だったら自分の好きなものを自分で撮ろうと思った。

だけど監督というものも、純粋に個人的な映画を作るのは難しい。多くの人間との共同作業だし、個々のステップで運が必要になる。でも、あの作品に関しては自分で満足のいくものができたと感じているよ。それは俳優だけをやっているのとはまた別の達成感で、だからもっと監督をしたいという気持ちにさせられた。

―最近キューバのミュージシャン、エル・グラン・フェジョーべ(またの名をフランシスコ・フェジョーベ)を題材にした音楽ドキュメンタリーを撮り終えたそうですね。

うん。まず僕はものすごく音楽ファンなんだけど、とくにアフロ・キューバン・ミュージックに長いことはまっている。周りにも同じような音楽が好きなミュージシャンの友だちがいて、それで彼らに「フェジョーべに会ってみたら?」と提案したんだ。1999年まで遡るけど、僕はフェジョーベが2013年に亡くなる前、ニューメキシコに住んでいたのを知っていたから。それで友人が彼に会うのに同行して、自身でカメラを回していた。

ただ、一応脚本は書いてみたものの、自分でどう映画にして良いものかわからなかった。だって何か特別なことが起こるわけではなく、ただ彼の日常を収めていたようなものだから。自分みたいに音楽に興味を持ってくれるプロデューサーも見つからなかった。それで随分時間が掛かってしまったんだ。音楽ドキュメンタリーを作るなら、エモーションがなにより大事だ。観客が感情的にその人物に触れられることが重要だと思う。

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