実在の大量殺人看護師をエディ・レッドメインが熱演! Netflix『グッド・ナース』インタビュー@チューリッヒ映画祭

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ライター:佐藤久理子
実在の大量殺人看護師をエディ・レッドメインが熱演! Netflix『グッド・ナース』インタビュー@チューリッヒ映画祭
トビアス・リンホルム監督 エディ・レッドメイン 撮影:佐藤久理子 ©Kuriko Sato

トロント国際映画祭のワールドプレミアを皮切りに、チューリッヒやロンドン映画祭をまわり大きな反響を巻き起こしているエディ・レッドメイン主演のNetflix映画、『グッド・ナース』。1980~1990年代にかけてアメリカの病院で実際に起きた、ある看護師による薬物大量投与による患者殺害事件の実話をリサーチしたチャールズ・グレーバーの同名の著作をもとに、『ある戦争』(2015年)のトビアス・リンホルム監督が映画化した問題作だ。

Netflix映画『グッド・ナース』2022年10月26日より独占配信

チューリッヒ映画祭では、その卓越した才能とキャリアを称える<ゴールデン・アイ・アワード>を受賞したレッドメインが、本作のインタビューに応じてくれた。

エディ・レッドメイン トビアス・リンホルム監督 ©Tim Hughes_for ZFF

「一番惹かれたのは“理由がわからない”こと」

当初は事件のことをまったく知らなかったという彼は、出演を決めた理由をこう語る。

ある日脚本が送られてきて、読み始めて驚いた。こんなショッキングな事件があったなんて、と。そしてこの話は絶対に映画化すべきだと思った。それにトビアスともぜひ仕事をしたかった。彼は監督であるとともに脚本家(『アナザー・ラウンド』[2020年]『偽りなき者』[2012年]等)で、揺るぎないヴィジョンを持っている。それはとても稀なことだ。

実際に彼と仕事をして、いかにスタッフ思いで素晴らしい人であるかもわかったよ。僕は彼を完璧に信頼できたし、彼は僕を俳優としてさらに遠いところまで導いてくれた。

Netflix映画『グッド・ナース』2022年10月26日より独占配信

レッドメインが演じるのは、何年もさまざまな病院を渡り歩いてきた看護師のチャーリー。彼は新しい勤務先で、シングルマザーの看護婦、エイミー(ジェシカ・チャステイン)と出会う。心臓病を抱えながらも、生活苦から重労働を続けるエイミーを、チャーリーは繊細な気遣いでいたわり、ふたりは硬い信頼関係を築いていく。だがそんな折、病院で患者の突然死が相次ぎ、疑惑はチャーリーに向けられる。エイミーはチャーリーを信用し続けるが、あるときふと疑心に駆られる。

※以下、物語の内容に一部触れています。ご注意ください。

Netflix映画『グッド・ナース』2022年10月26日より独占配信

天使のような優しい顔の裏に、もうひとつの人格を持っていたチャーリー。犯罪を犯した理由を最後まで決して語らなかった彼を演じるにあたって、レッドメインは何を軸にしたのだろうか。

“理由がわからない”ということがまず、一番惹かれた点だった。脚本を読んだ後、原作も読んでチャーリーの詳しい生い立ちを知ったけれど、どの要素も彼がなぜあんなことをしたのか、十分に説明づけるものはなかった。でも、実際のエイミーに会って話しを聞いたことがとても助けになった。というのは、チャーリーは本当にエイミーをサポートしていたし、彼女はチャーリーにとても心を寄せていたから。

たしかに彼がやったことは極悪非道なことだけど、それでも彼だって人間だ。だから彼には2つの異なる人格があったのだと思う。そして僕とトビアスにとって重要だったのは、チャーリーが持っている“優しさ”に着目することだった。見せかけの、悪魔的な優しさではなく。実際この映画は、エイミーから見たチャーリーを描いているんだ。そしてこの物語で一番心を動かされるのは、エイミーの愛によって彼が告白に傾いたこと。だからクライマックスの刑務所のシーンはとても重要なんだ。

Netflix映画『グッド・ナース』2022年10月26日より独占配信

実際映画の見どころとして、このクライマックスには目が釘付けになる。とくにレッドメインとチャステインという2大演技派の共演によるきりきりとした緊迫感、ふたりのやりとりからついにチャーリーの本性が現れるまでの下りは息をするのも忘れるほどだ。

Netflix映画『グッド・ナース』2022年10月26日より独占配信

リンホルム監督も、このふたりの顔合わせが夢だったと語る。

チャーリー役にはエディしか考えられなかったし、チャステインは、僕が映画学校にいる時代に『ゼロ・ダーク・サーティ』(2012年)を観て以来のファン。このふたりの共演が実現するなんて、本当に自分は果報者だと思った。

「デ・ニーロとディカプリオを相手にオーディションを受けた(笑)」

チューリッヒ映画祭ではさらに、レッドメインによるマスタークラスのトークが開催され、彼が修行時代を振り返ると同時に、本映画祭に対する特別な思いも明かした。

いまから15年前に出演した、ジュリアン・ムーア主演の『美しすぎる母』(2007年)という作品が、チューリッヒ映画祭に招待され、そのときここを訪れたのが、僕にとって初めての映画祭体験。当時はまだ俳優業で食べていけず、パブでバイトをしながら演じていた。だから今日、再びここに戻って来られたことに、大きな感慨を抱いています。

修行時代にオーディションでよく顔を合わせて友だちになったのが、ロバート・パティンソン、アンドリュー・ガーフィールド、ベン・ウィショー、ドミニク・クーパーら。役を取られて悔しいと思うことももちろんあったけれど、みんなで一緒にニューヨークまでオーディションを受けに行ったり、とても楽しかった。僕らはみんなラッキーだったと思う。

エディ・レッドメイン ©Thomas Lohnes_for ZFF

さらに忘れられない思い出として、こんなエピソードも。

ロバート・デ・ニーロの『グッド・シェパード』(2006年)のオーディションを受けに行ったときのこと。午前中に行ったら、午後にまた来てくれと言われ出直したら、僕の前に見覚えがある人がスタジオに入っていった。もしや、と思ったらそれがレオナルド・ディカプリオだった。マット・デイモンが演じた役は、もともとディカプリオがやる予定だったんだ。それで僕はデ・ニーロとディカプリオを相手にオーディションを受けた。これこそ素晴らしい演技レッスンだ! と、胸がばくばくしたよ(笑)。

エディ・レッドメイン ©Tim Hughes_for ZFF

2022年、40歳を迎えたレッドメイン。アカデミー賞主演男優賞を受賞した『博士と彼女のセオリー』(2017年)に続き、『グッド・ナース』で早くも2度目の受賞を期待する声もあり、今後のさらなる活躍が楽しみでならない。

Netflix映画『グッド・ナース』2022年10月26日より独占配信

取材・文:佐藤久理子

『グッド・ナース』は2022年10月21日(金)より一部劇場にて公開中、10月26日(水)よりNetflixで独占配信

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『グッド・ナース』

命を脅かす心臓病を抱える心優しいシングルマザーのエイミーは、看護師として、ICUのきわめて多忙かつ過酷な夜勤で肉体的にも精神的にも限界を迎えていた。しかしある日、そんな彼女の部署に、思いやりがあり、親身になってくれる同僚のチャーリーが配属されたことで、エイミーの生活に一筋の光が。病院での長い夜を共に過ごすうちに、2人は固い絆で結ばれた親友同士になり、エイミーは久しぶりに自分と幼い娘たちの未来に心から希望を持てるようになる。ところが、患者の不審死が相次いだことをきっかけに、チャーリーを第一容疑者とした捜査が開始。エイミーは、自らの命と子供たちの安全を危険にさらしながら、真実を突き止めることを迫られる。

監督:トビアス・リンホルム
脚本:クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
原作:チャールズ・グレーバー著「The Good Nurse (原題)」

出演:ジェシカ・チャステイン エディ・レッドメイン
   ンナムディ・アサマア キム・ディケンズ マリク・ヨバ
   アリックス・ウェスト・レフラー ノア・エメリッヒ

制作年: 2022

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