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この冬のラブコメ大本命はNetflix『ダッシュ&リリー』で決まり! クリスマスのNYにピュアな恋の雪が降る

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ライター:#BANGER!!! 編集部
この冬のラブコメ大本命はNetflix『ダッシュ&リリー』で決まり! クリスマスのNYにピュアな恋の雪が降る
Netflixオリジナルドラマ『ダッシュ&リリー』独占配信中

テン年代なのに古風! 世代を問わずニヤニヤ必至の大本命ラブコメ

主人公二人の名をタイトルに冠したNetflixオリジナルシリーズ『ダッシュ&リリー』は、クリスマス目前のニューヨークを舞台に繰り広げられるティーン男女の恋物語だ。まず本作はいまどき珍しいくらいド直球なラブコメに仕上がっていて、リアルタイム設定ながら主人公たちは「スマホより本」という古風なキャラ設定。しかもそれが物語の起点になっているという、アラサー~アラフォー世代こそ夢中になりそうなドラマシリーズなので、「チッ! ガキのちちくりあいなんて観てられるかよ!!」なんて卑屈気味な人も安心してご鑑賞いただきたい。

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主人公の一人ダッシュ(オースティン・エイブラムズ:『スケアリーストーリーズ 怖い本』[2019年]ほか)はクリスマス・ヘイターなイマドキひねくれ男子で、離婚した両親や同級生などから孤独を“勝ち取ろう”としなければ一人きりになることもできないお年頃。心を許せるのはピザ屋の同級生ブーマーくらいのものだが、あるとき喧騒を逃れて立ち寄った書店(のJ・D・サリンジャー作品の隣)で偶然見つけた“暗号解読”を促す不思議な手帳に好奇心をくすぐられ、その粋な謎解きに夢中になってゆく。

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もう一方の主人公リリーを演じるのは、ガキンチョ下ネタコメディの傑作『グッドボーイズ』(2019年)での好演で急速に注目を集めている日系アメリカ人女優、ミドリ・フランシス。ダッシュが見つけた“謎解き手帳”を本棚に忍ばせたのは実はリリーで、序盤は両者のひとクセある性格や過去のトラウマなどをじっくり交互に描いていく。そして謎解き合戦はいつの間にか“見知らぬ相手との交換日記”となり、その過程でお互い徐々に心を開いていくが……という、二人の絶妙な距離感が良い意味でわなわなさせてくれる、“なかなか出会わない”ラブコメである。

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多くのラブコメが唐突にスラップスティック展開を挿入して急速にオチへと向かわせたりするものだが、本作はドラマシリーズならではの謎解き展開を盛り込むことによって、現実世界でもいちばん楽しくてワクワクする“片想い”パートや、恋が本格的に始まる前の“探り合い”パートをじっくり描いてくれるのがキモ。そして実際に二人が出会った後の、理想と現実のギャップをどう埋めるか? という部分もスッキリ納得のスマートな流れで、たまらずニヤニヤさせてくれるのである。

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ミドリ・フランシス人気急上昇中! 日系人が世界配信のドラマシリーズに主演することの意味

ミドリもオースティンも実際には20代半ばだが、しっかり高校生に見えるのでご安心を(同じ東アジア人からするとミドリは年相応に見えるかも)。GAPプレッピーとでも例えたくなるダッシュの無頓着コーディネートと、スリフトで揃えられそうなクラシック系だがガーリーでキュートなリリーのファッション(しかも自作しているという設定)の対比も◎。ベタではあるが、いわゆるツン系な王子様要素のある男子と、恋愛経験どころか友達もろくにいない奥手な女子の恋とあれば、そりゃあ応援しがいもあるというものだ。

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なおリリーを演じるミドリだけでなく、ゲイの兄や母親、祖父を演じるのもすべて日系人俳優(トロイ・イワタ、ジェニファー・イケダ、ジェームズ・サイトウ)。映画/ドラマ作品におけるリアリティの追求(と人種/文化への配慮)極まれりといった感じで、そのへんに細かい違和感がないのはかなり心地いい。それゆえに努力して現在の地位を勝ち取ってきたリリーの親族たちの描写も不可欠だったのだろうと思うが、主人公二人を含む10代の比較的裕福な若者たちは、多様性という部分に関してはすでに達成している(少なくともそう見える)。

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対比といえば、ダッシュの父親は成功者的な描かれ方をしていて、リリーの祖父に関しても場所柄かなり裕福な人であることは確かで、リリーは長年NYに住み続けてきたアジア系一族の最年少世代なのだろうなと予測できる。ちょっと極端な日本文化描写はツッコミどころかもしれないが、そこは在NYの日本人コミュニティを実際に覗いてみないと分からない部分かも。

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ともあれ、日系人がこの規模のラブコメ作品で主人公を演じるのは快挙だろう。Netflixにはローティーン向け小説の日系人キャラにフォーカスした『クラウディア・キシ倶楽部』(2020年)というドキュメンタリーもあるが、人種的/性的マイノリティとして生きる若者たちがフィクションの世界にいかに救われているかを実感させられる作品だった。そして最新のラブコメ作品にミドリが抜擢されたことは素直に嬉しいし、実際に彼女に勇気づけられている人も少なくないはずだ。

 

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ああニューヨークに行きたい! 次々登場するキラッキラなクリスマスシーズンの名所にも注目

ちなみに原作者のレイチェル・コーンとデヴィッド・レヴィサンって誰? と思ったら、マイケル・セラ&カット・デニングス主演のインディー音楽ラブコメの傑作『キミに逢えたら!』(2008年)の原作コンビだった。十数年前の「趣味全開のミックステープから始まる恋物語」よりも2020年配信のスマホ世代ドラマのほうが古風というのはちょっと可笑しいが、思春期ならではの気恥ずかしさを臆面もなく描写するところは共通項。そして古風ゆえに、ラブコメ作品の太客であろうアラフォーユーザーの前に立ちはだかる世代の壁を取り払っているのも本作の大きな強みだ。

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また、NYの街が実際よりもキラキラ度マシマシで撮られていて、終始テーマパークのようなワクワクする空気が充満しているのもイイ。旅行で何度か訪れたことがある程度の日本人からするとおとぎ話の世界のように見えるが、もちろんワシントン・スクエア公園やグランド・セントラル駅をはじめ、ロックフェラーセンターのスケートリンク、豪華なクリスマスの飾り付けで有名なブルックリンのダイカーハイツといった名所がいくつも登場。ほかにも、老舗アイリッシュ・パブや天井のド派手な飾り付けで有名なレストランなどでも撮影されていて、もはや<『ダッシュ&リリー』ツアー>が組めるほどの充実度である。

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なお物語の拠点となるストランド書店はロウアーマンハッタン、ユニオンスクエア公園のほど近くにある大型書店で、ランチ後とかにブラブラ店内を物色していると“便意待ったなし!”な活字天国。2020年は多くの小売店と同じくパンデミックによって経営が危ぶまれるなどバタついたニュースもあっただけに今後の存続が心配だが、自由に旅行ができるようになったら本作の影響で集客アップは間違いなしだろう。「自分もクリスマスにダッシュとリリーみたいな恋がしたい!」なんて図々しいことは言わないが、せめて以前のようにNYに遊びに行けるようになりますように!!

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『ダッシュ&リリー』はNetflixで独占配信中

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『ダッシュ&リリー』

皮肉屋のダッシュと前向きなリリーは、互いへの思いと挑戦を書いた赤いノートをNYの街角で交換し続ける。クリスマスの奇跡が、正反対な2人の心をつないでゆく。

制作年: 2020
出演: