激動の時代をとらえた“ゴダール幻のアメリカ映画” 『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』日本初公開

激動の時代をとらえた“ゴダール幻のアメリカ映画” 『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』日本初公開
『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』©Pennebaker Hegedus Films / Jane Balfour Service

2022年9月13日に死去したジャン=リュック・ゴダール(享年91歳)が、1968年に渡米し、映画撮影した様子を記録したドキュメンタリー映画『1PM-ワン・アメリカン・ムービー(英題:1PM)』が、4月22日(土)より日本初公開される。さらに、K’s cinemaでの上映期間中、1968年の五月革命を予見したゴダールの問題作『中国女』を限定リバイバル上映、同時に『中国女』を巡るゴダールのドキュメント『ニューヨークの中国女』も初公開される。

ゴダール幻のアメリカ映画

激動の1968年の秋、ゴダールは『1AM』なる企画のため、アメリカ合衆国の反体制的な政治と文化の状況に目を向ける。カメラを回すのは、ダイレクト・シネマの旗手リーコックとペネベイカー。だが、ヌーヴェル・ヴァーグを牽引した末にいまや商業映画と訣別するに至ったゴダールと、ドキュメンタリー映画界の革命児たちの夢の共同作業は編集段階で頓挫してしまう。『1PM』は、ゴダールが放棄したフッテージをペネベイカーが繋ぎ合わせて作った映画だ。

予告編では、ゴダールが映画の構想を話すシーンや、実際に撮影されたシーンの断片が映し出される。また黒豹(ブラックパンサー)党のエルドリッジ・クリーヴァ ーも登場しインタビューに答えている。そして、この映画のラストを飾るのは、ザ・ビートルズの映画『レット・イット・ビー』でも一部収録された<ルーフトップ・コンサート>を彷彿とさせる ジェファーソン・エアプレインがビルの屋上でライブを行っているシーンだ。予告編でもその様子は垣間見ることができる。

なお、同時上映される『ニューヨークの中国女』は、ゴダールがニューヨーク大学の学生たちと『中国女』をめぐって、流暢な英語で当意即妙の議論を交わす1968年4月4日の映画作家の姿を収めた作品だ。予告編でも熱気あふれる若者たちの前で話すゴダールの姿が映しだされ、当時のアメリカでゴダールが若者にどれほど強い関心を引き起こしていたのかを生き生きと伝える貴重なドキュメントである。

『1PM-ワン・アメリカン・ムービー』は4月22日(土)よりK’s cinema新宿ほか全国順次公開

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