映画『すくってごらん』は、とある失敗で左遷されたプライドは高いがネガティブな銀行員・香芝誠が、都会から遠く離れた地で出会った“金魚すくい”を通じて、思いもよらない成長をしていく物語。香芝を演じるのは映画初主演の尾上松也。彼が一目ぼれする美女・吉乃を初のヒロイン役となる百田夏菜子(ももいろクローバーZ)が務める。
原作は世界初の金魚すくいマンガにして、<このマンガがすごい!>にもランクインした傑作マンガ「すくってごらん」(大谷紀子/講談社)。メガホンをとったのは、長編デビュー作『ボクは坊さん。』で高い評価を受けた俊英・真壁幸紀。原作と同じ奈良県を舞台に「和」の世界と斬新な映像表現を融合させ、大胆かつ優雅、そして華麗なるエンターテインメントを誕生させた。今回、煮干しで金魚すくいをする香芝が映し出された本編映像が公開された。
支店に着任した香芝の歓迎会として、金魚すくい大会が吉乃が営む「紅燈屋」で行われた。が、支店の面々が金魚すくい大会を楽しむ中、気が乗らず、一足先に帰宅してしまう香芝。夕食を作ろうと煮干しをとりだすと、なぜかその煮干しが水の中で泳ぎだす。思わず、持ち帰ったポイで煮干しをすくう香芝。そこに香芝を心配した吉乃が「鍵あいてたもんやから」とおはぎを持って訪ねてきて、ポイを握りしめている姿を見られてしまうのだった。
破れてからどうするかも“金魚すくい”の面白さの一つ!
本作の見どころのひとつは、もちろん“金魚すくい”。“金魚すくい”は、世界一静かで優雅なスポーツといわれるが、実際は夏祭りや縁日でしか体験したことがない人がほとんどだ。映画『すくってごらん』のキャストたちも同様で、撮影に入る前に、“金魚すくい”の道場へ練習に行き、名人からコツを学んだ。
まず、金魚は追いかけるだけではなくて待つ。焦って追いかけるとポイが破れてしまうので、金魚がポイに乗ってくるまで静かに動かずにいる感覚だ。尾上松也は「つまり、すくうとは待つことであり、香芝は“金魚すくい”を通してそれに気づいたのでしょう。自分の理想や自分の考えにこだわって突き進みがちですが、冷静になって立ち止まり、どうするべきか考えることが必要だったのです。これは恋愛にも友情にも言える普遍的なことだと思います。そう思って演じました」と、“金魚すくい”から多くを学んだようだ。
また、ポイが破れたら終わりではなく、破れてからどうするかも“金魚すくい”面白さの一つだ。特に競技では破れても気にせずに、少しでも残っている部分ですくい続ける。それは、出世競争に“敗れた”香芝がこの後どうするか、“破れる”と“敗れる”、金魚を“掬う”ことで、人生を見つめ直し自らを“救う”、そんなダブルミーニングから導かれる展開も興味深い。
あわせて解禁された場面写真では、金魚売り・王寺昇の車に乗りながらも白けた表情の香芝、寂しそうに部屋で“小赤”を見つめる香芝、真剣な表情で破れたポイを持つ香芝など、“金魚すくい”とかかわってだんだんと変わっていく彼の姿が切り取られている。 “金魚すくい”でよくみかける金魚が、“小赤”だ。観賞用からはじかれたものなのだと吉乃から聞いた香芝は、「君たちも脱落者か」と自分自身と重ねてしまう。が、そんな“小赤”も飼い方次第で、大きく育ち、何十年も生きるものもいる。左遷の地で人生と恋の荒波にもまれる香芝は果たしてすくわれるのか? “金魚すくい”と香芝、その行く末に乞うご期待!
『すくってごらん』は、2021年3月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開。
『すくってごらん』
大手メガバンクのエリート銀行員・香芝誠は、些細な出来事がきっかけで左遷され、荒んだ気持ちを抱えて東京本店から片田舎の町へやってきた。そこで偶然かつ運命的に、金魚すくいの店を営む美女・吉乃と出会い、一目ぼれをする。持ち前のネガティブな性格と左遷のショックから、香芝は心を閉ざし仕事だけを生きがいにしようと心に決めながらも、吉乃の事が頭から離れない。何とかお近づきになろうとするが、秘密を抱える吉乃の心もまた閉ざされたままだった。果たして、香芝は金魚のように彼女の心もすくうことはできるのか―?
制作年: | 2021 |
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監督: | |
脚本: | |
音楽: | |
出演: |
2021年3月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開