2024年、「第96回アカデミー賞」長編ドキュメンタリー映画賞を受賞し、世界に衝撃を与えた『マリウポリの20日間』。ロシアによるウクライナ侵攻下の惨状を記録した同作で高い評価を受けたミスティスラフ・チェルノフ監督の最新作『戦場0地点』が、9月4日(金)より公開される。このたび、メインビジュアルと予告編が解禁となった。
ロシア・ウクライナ戦争の最前線を生々しく伝える
2022年、侵攻開始直後のウクライナ南東部・マリウポリに留まり、包囲された街で起きている現実を世界へ伝えたチェルノフ監督。『マリウポリの20日間』は、戦争によって日常が奪われていく市民の姿を克明に映し出し、世界から大きな反響を呼んだ。アカデミー賞受賞後、監督は再びウクライナへ戻り、戦争が現在進行形で続く最前線へと向かった。
『戦場0地点』は、2023年、ウクライナ軍第3強襲旅団の小隊に同行したチェルノフ監督が、ロシア軍に占領されたアンドリーウカ村の奪還作戦を記録したドキュメンタリー。監督は、ジャーナリストとしてではなく、兵士たちと行動を共にしながら戦場へ身を置く。映像の多くは、兵士たちのヘルメットカメラやドローンによって撮影されており、観客は彼らとともに、アンドリーウカ村までのわずか2000メートルを進むことになる。しかし、その距離は決して短くない。身を潜めながら前進し、一歩ごとに死と隣り合わせとなる極限の道のりである。
冗談を交わし、煙草を吸い、家族や未来について語る若い兵士たち。そして、その直後に訪れる死。チェルノフ監督は、彼らを、銃を手にする以前、それぞれの日常を生きていたひとりの人間として見つめ続ける。激しい銃撃戦、ドローンによる襲撃、絶え間なく降り注ぐ砲弾、そして荒廃した大地に横たわる戦死体——。本作は、ニュース映像や数字だけでは決して伝わらない戦場の現実を突きつける。
侵攻開始から4年以上が経った今も、ウクライナとロシアの戦争は終わりを見せない。近年ではドローンが戦況を大きく左右する存在となり、ウクライナ軍は長距離無人機による攻撃でロシア本土の軍事施設やエネルギーインフラを狙うなど、戦争の様相は大きく変化している。本作は、そうした現代戦の特徴ともいえるドローン戦と、塹壕戦が共存する21世紀の戦場を記録したドキュメンタリーである。実際の目の前に広がる戦闘映像は、かつてない臨場感に満ちている。
日本でも安全保障政策や防衛力強化、憲法改正をめぐる議論が活発化し、“戦争”を遠い国の出来事ではなく、現実の問題として捉える必要性が高まっている。戦争とは何か。そこでは何を失い、何のために戦うのか。その答えの一端が、この映画には刻まれている。
『戦場0地点』© 2024 Dogwoof
日本版メインビジュアルは、砲撃によって焼け焦げた枯れ木が立ち並ぶ荒廃した大地を、マジックアワーの夕日が照らすなか、ロシアに占領された故郷・アンドリーウカの奪還を目指し、決死の覚悟で前進するウクライナ兵士の背中を捉えたもの。兵士の周囲には砕け散った木片が舞い、激戦の只中に身を置く緊迫感と、奪還へ向かう力強い意志がダイナミックに表現されている。
予告編は、実際の戦闘映像が収められ、終始、極限の緊張感に満ちた内容となっている。2022年11月、ロシア軍に占領されたウクライナ・ドネツク州の小さな村・アンドリーウカ。2023年9月、ウクライナ軍は激戦の末、この村の奪還に成功した。本作は、その奪還作戦の最前線に同行し、アンドリーウカまで続く、わずか2000メートルの道のりを、死と隣り合わせの極限状態で一歩ずつ進む兵士たちの姿を記録している。予告編では、残り2000メートルから目的地までの距離が、まるでカウントダウンのように刻まれ、その数字が減るたびに戦闘はさらに激化。刻一刻と迫る死の恐怖と、戦場の現実が容赦なく突きつけられる。
目を背けたくなるほど衝撃的な内容でありながら、本作は現在も続く戦争の現実を真正面から映し出し、戦争・平和とは何かをあらためて問いかける、極めて重要なドキュメンタリーとなっている。
『戦場0地点』は9月4日(金)より全国公開