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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』衝撃の結末 グレースとロッキーが最後に選んだ道

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』衝撃の結末 グレースとロッキーが最後に選んだ道
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

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アンディ・ウィアーの人気SF小説を、フィル・ロード&クリス・ミラー監督、ドリュー・ゴダード脚本で映画化した『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。ライアン・ゴズリング演じるライランド・グレースと、異星人ロッキーの友情を軸にした物語は、地球を救うという壮大なミッションの先に、グレース自身の生き方を大きく変える結末を用意していた。

物語は、グレースが地球から何光年も離れた宇宙船の中で目を覚ますところから始まる。自分が誰なのか、なぜここにいるのかすら覚えていない。やがて記憶を取り戻していくなかで、恒星のエネルギーを奪う謎の微生物“アストロファージ”によって太陽が危機に瀕しており、自分にはその解決策を見つける使命があることを知る。

さらに目的地では、同じ危機に直面するタウ・セチ星系からやって来た宇宙船と遭遇。そこでグレースは、エリディアンと呼ばれる種族のエンジニア、ロッキーと出会う。互いに必要な大気環境が異なるため同じ空間では生きられない。それでも試行錯誤しながらコミュニケーション方法を確立し、それぞれの星を救うために協力していく。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

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突破口となったのが、アストロファージを捕食する“タウメーバ”だった。グレースとロッキーは、恒星がアストロファージの被害を受けていない惑星でタウメーバを発見。これを繁殖させ、それぞれの故郷へ持ち帰れば、危機に瀕した恒星を救える可能性が生まれる。その過程でロッキーはグレースを救うために危険を冒し、命を落としかける。一方のグレースもロッキーを救出。やがて地球とエリドを救えるだけのタウメーバを確保すると、2人はいよいよ別れの時を迎える。ロッキーはグレースが地球へ帰れるだけの燃料を渡し、それぞれの故郷を目指して出発する。

ところが、ここで重大な問題が発覚する。タウメーバには、2人が用意した容器から抜け出せる能力があった。グレースは自分の船では問題を食い止めることに成功するが、ロッキーが同じ事態に対処できないことに気づく。そこでグレースは大きな決断を下す。タウメーバを積んだ探査機を地球へ向けて送り、自分自身は地球への帰還を断念。ロッキーの宇宙船を追いかけ、彼を救う道を選ぶ。

探査機は無事に地球へ向かい、グレースもロッキーに追いついて彼を救出。2人はそのままロッキーの故郷エリドへ帰還する。そしてグレースは地球ではなく、エリドで新たな人生を送ることになる。エリディアンたちは人間である彼が暮らせる巨大な居住空間まで用意していた。

この結末をさらに重要なものにしているのが、グレースが取り戻した「最後の記憶」だ。彼は最初から自ら進んで地球を救う英雄になったわけではなかった。当初ミッションに参加するはずだった人々が事故で命を落としたあと、このヘイル・メアリーのプロジェクトを仕切る最高責任者であるエヴァ(ザンドラ・ヒュラー)はグレースを薬で眠らせ、本人の意思に反して宇宙船へ乗せていた。つまり彼は勇敢に地球を旅立った英雄ではなく、死を恐れてミッションを拒んだ人間だった。だからこそ、終盤での選択が大きな意味を持つ。

地球へ帰る道が開かれていたにもかかわらず、グレースは自らの意思でそれを捨て、ロッキーを助けるために引き返す。かつては危険から逃げようとした男が、最後には自分の命を危険にさらして友人を救う。物語を通して、グレースは本当の意味で英雄へと変わっていく。ラストでは、エリドで暮らすグレースが再び“先生”になっている。地球で科学教師だった彼は、今度は若いエリディアンたちに科学を教えているのだ。

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一方、ロッキーからは「ヘイル・メアリー号に燃料を補給すれば地球へ帰れる」と伝えられる。だが映画は、グレースが本当に地球へ帰るのか、それともエリドに残るのかを明確には描かない。ここは原作小説とわずかに異なる部分だ。小説のエピローグではグレースがロッキーとともに残ったことが明確になっているが、映画ではその選択をあえて曖昧にしている。

原作者アンディ・ウィアーは、グレースが地球への帰還をためらう理由について、地球が現在どうなっているのか彼には分からないと説明している。アストロファージ問題が始まってから長い年月が経過しており、地球が過酷な状態に陥っている可能性もある。その一方で、エリドには親友のロッキーがいて、グレースは自分が愛する「教える」という仕事に戻ることもできた。

ロード&ミラー監督も、この結末こそ原作に惹かれた大きな理由だったと語っている。試写では観客がグレースとロッキーの幸せな結末を望み、グレースがエリディアンの子どもたちを教える場面についても強い支持があったという。彼らが重視したのは、グレースを単純に元の場所へ戻すことではなかった。宇宙へ飛び出し、ロッキーと出会い、極限状態を経験したことで、彼は以前とは違う人間になった。その変化の先に新たな人生が待っていることこそ、このラストの核になっている。

脚本を手がけたドリュー・ゴダードも、原作の結末を映画で成立させることには難しさがあると考えていた。それでも、自分が小説を読んだときに感じた感情を観客にも届けることを優先。科学的な要素を単純化しすぎるのではなく、科学に強い関心を持つ観客にも、そうではない観客にも届く物語を目指した。

地球を救うことから始まった『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、最後には一人の男が「どこへ帰るか」ではなく「誰のために生きるか」を自分自身で選ぶ物語へと変わる。強制されて宇宙へ送り出されたグレースが、最後には自らの意思で地球への帰還を手放し、ロッキーのもとへ向かう。その選択によって、彼の物語はひとつの終着点を迎えている。

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