『カメ止め』リメイク版の誕生の裏に無茶ぶりプロデューサー役・竹原芳子の存在あり!『キャメラを止めるな!』監督がオリジナル版へのリスペクトを語る【カンヌ映画祭】

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ライター:石津文子
『カメ止め』リメイク版の誕生の裏に無茶ぶりプロデューサー役・竹原芳子の存在あり!『キャメラを止めるな!』監督がオリジナル版へのリスペクトを語る【カンヌ映画祭】
第75回カンヌ映画祭 レッドカーペット『キャメラを止めるな!』©Getty Images

第75回カンヌ映画祭の栄えある開幕作品は『キャメラを止めるな!』(2022年)。アカデミー賞受賞監督であるミシェル・アザナヴィシウスが、『カメラを止めるな!』(2018年)を人気俳優ロマン・デュリス、監督のパートナーであるベレニス・ベジョを主演に迎えて作ったコメディ映画だ。コメディが開幕作というのは珍しいが、会場は大ウケ。興奮冷めやらぬカンヌで、アザナヴィシウスが映画への想い、そしてオリジナル版への深いリスペクトを語ってくれた。

「オリジナル版の良いところはどんどん使っていこう」

『キャメラを止めるな!』© 2021 – GETAWAY FILMS – LA CLASSE AMERICAINE – SK GLOBAL ENTERTAINMENT – FRANCE 2 CINÉMA – GAGA CORPORATION

―『キャメラを止めるな!』は、映画づくりのお話です。『アーティスト』(2011年)もそうですが、監督は映画についての映画を撮ることが多いですね。

まず、私はコメディ映画が大好きなんです。そして、映画づくりの現場というのは、まるで生き物のようで、おかしな状況がよく起こります。いろんな人間が関わるし、パワーゲームが起こったり、まるで社会の縮図なんですよ。そして、しょっちゅう予想外の事態が起きる。この映画で起きる緊急事態は、映画業界だけでなく、どんな場所にでも起こることのメタファーなんです。どんなグループでも、何か目標を達成しようとするときに起こり得る状況だと思います。

第75回カンヌ映画祭 レッドカーペット『キャメラを止めるな!』©Getty Images

―ロマン・デュリスを主人公の監督ラミにした理由を教えてください。オリジナルの日暮隆之と同様に、疲れた中年の監督ですよね。

僕は昔からずっとロマンと仕事をしたかったんです。何度か挨拶したことはあったけど、今までそれほど深い付き合いがないままでした。ロマンは美しい俳優です。でも、彼は美しいと同時に、何より、とても素敵に歳をとっているんです。かつては嫉妬されるくらい、若くてハンサムな俳優でしたが、同時にチャーミングで、本当にナイスガイでもある。そんな彼が良い歳の取り方をして、素晴らしい俳優になった。ラミという監督はダメ男ではないけれど、ちょっと疲れているんですね。彼にもかつては監督として野心があったろうに、今はそれに蓋をして、生活を優先している。でも、娘からチャレンジを受ける訳です。娘はニュージェネレーションで、映画に全身全霊を賭ける覚悟がある。父親が忘れかけていた映画への思いに、火をつけるんですね。この複雑な思いを抱えた葛藤するキャラクターが、ロマンにピッタリだと思ったんです。ロマンなら、くたびれたおじさんにもなれるし、ヒーローにもなれる。ヒーローと言っても、とてもカジュアルな、日常生活の中でのヒーローです。トム・クルーズ的なものではなくてね(笑)。

第75回カンヌ映画祭『キャメラを止めるな!』記者会見 (左から)ベレニス・ベジョ、ミシェル・アザナヴィシウス監督、ロマン・デュリス(撮影:筆者)

―『アーティスト』でアカデミー賞を獲ってから、何か変わりましたか?

アメリカで映画を撮ろうとしたこともありましたが、うまくいきませんでした。僕はやっぱりフランスが好きなんです。ここでの暮らしが好きだし、映画の作り方も好きなんです。フランスでは映画はとても自由に作ることができるんです。制約がなく、自分が作りたいものを好きに作れる。もちろん映画の資金集めには、アカデミー賞受賞したことの意味がありました。ただ、僕を見る人々の目が変わったことは、良いことばかりではないんだけども。でも、それは大したことではありません。

『キャメラを止めるな!』ミシェル・アザナヴィシウス監督

「彼女はクレイジーですから。全く何を考えているかわからない人なんですよ。」

―竹原芳子さんがオリジナルに続いて出演しています。彼女を選んだ理由はなんですか?

彼女が出てくるだけで、これはフィクションだ、というのがわかるんですね。そこが重要なんです。竹原さんは素晴らしい女優で、ものすごいエネルギーを持っています。竹原さんはオリジナルである『カメラを止めるな!』と同じプロデューサー役で、彼女がオリジナル版の中で作ろうとしていたゾンビ映画をフランスでリメイクをする、という設定にしました。それは奇跡的な映画であるオリジナル版へのオマージュであり、あの映画の構造を活かすためでもあるんです。あの無茶振りをするプロデューサーが、お話を動かす訳ですね。実際フランスではゾンビ映画はあまりポピュラーではないので、フランスの映画クルーがゾンビ映画を作ろうとしている設定には無理がある。でも、あの日本のプロデューサーがフランスでリメイクするというなら、あり得るわけです。だって、彼女はクレイジーですから。全く何を考えているかわからない人なんですよ。もちろん、竹原さんご自身は素晴らしい人物です。

第75回カンヌ映画祭 オフショット『キャメラを止めるな!』(左から)竹原芳子、ミシェル・アザナヴィシウス監督

―映画のストーリーもオリジナルに忠実ですが、ロマンとベレニスが演じる監督とその妻が、映画の中の映画で着ることになる服装まで、『カメ止め』とほぼ同じですね。あの、ヘンテコな服をわざわざ選んだ理由を教えてください。

そんなにヘンテコかな?(笑)。僕は、オリジナル版の良い部分は変える必要がないと思いました。ロマンが途中から着ることになるあの派手なシャツも、人物の設定を考えるとピッタリなんですね。ベレニスが着ている服は、実はオリジナルとは違うんですよ。でもあのヘアバンドは活かしたかった。だって、あのヘアバンドはとても役に立つわけですから。そうした細部に至るまで、オリジナル版では考え抜かれているわけです。リメイクするにあたって、変えるべきところは変えるけれど、オリジナル版の良いところはどんどん使っていこう、と思いました。

ベレニス・ベジョ、ロマン・デュリス、石津文子(筆者)

取材・文:石津文子

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『キャメラを止めるな!』

「山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影が進められていたが、俳優たちの下手な演技にキレた監督が、本物のゾンビを召喚してクルーを襲わせ、 超リアルな映像をモノにする!」という日本で大ヒットした映画のリメイクを 30 分間生放送、カメラ 1 台でワンカット撮影するよう依頼されたのは、フランスの監督。現場には、監督志望だが純粋すぎて空気の読めない彼の娘と、熱くなると現実とフィクションの区別がつかない妻も加わり大混乱! 問題ばかりの製作チームは、全く話のかみ合わない日本人プロデューサーとのバトルを乗り越え、ラストシーンまで完走できるのか? フランスでも映 画を愛する者の誓いはひとつ! 何があっても、カメラは止めない!

監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス
音楽:アレクサンドル・デスプラ
衣装:ヴィルジニー・モンテル
出演:ロマン・デュリス、ベレニス・ベジョ、グレゴリー・ガドゥボワ、フィネガン・オールドフィールド、マチルダ・ルッツ、竹原芳子

制作年: 2022
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