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マッツ参戦!「ハリポタ」シンクロ度も抜群『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』はシリーズ最衝撃作!?

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ライター:#斉藤博昭
マッツ参戦!「ハリポタ」シンクロ度も抜群『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』はシリーズ最衝撃作!?
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気になる『ハリポタ』とのシンクロ度は?

『ハリー・ポッター』シリーズ全8作(2001~2011年)を経てキャラクターが一新されつつ、いま流行りのマルチバースではなく、ひとつのユニバースとして地続きになっている映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、これまで2作が作られた。その2作は、ドラマが別物とはいえ『ハリー・ポッター』の延長としてのテイストも感じられ、長年のファンを納得させてきたのも事実。

では、3作目となる『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』も、そうなのか? 過去2作以上に『ハリポタ』とシンクロするネタが多いのは、すでに公開前から話題だった。しかし、映画全体の印象とそのメッセージ性は、ちょっと別次元かもしれない。

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ついに本格対決! ダンブルドアVSグリンデルバルド

物語は、ダンブルドアと宿敵グリンデルバルドが語り合うシーンから始まる。前作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2018年)で登場した“黒い魔法使い”ことグリンデルバルドは、そのラストで世界に宣戦布告。彼は、後にホグワーツ魔法魔術学校の校長になるダンブルドアとは若き日に「血の誓い」を交わしていた、というエピソードも描かれた。

しかし、成長し大人になった両者が遭遇するシーンは、2作目では描かれなかった。それが3作目で、いきなり濃密な共演が実現したのである。“濃密な”と表現したのは、そのシーンで「血の誓い」の証であるペンダントを巡る彼らの会話が、あまりにも“濃く”て“親密”だから。この2人の関係がストーリーの軸になることがオープニングで堂々と宣言される。

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多くの人が予想するように、不戦の誓いは破られる運命にある。『ファンタビ』シリーズの主人公であるニュート・スキャマンダーがダンブルドアに呼ばれ、人間界の支配をもくろむグリンデルバルドに対抗するチームを結成。その頃、魔法界では次の指導者を決める選挙が行われようとしていた……というストーリーが展開。当然のごとく、選挙にはグリンデルバルドの魔の手が忍び寄る。

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きもカワ、ちょいグロ!? 奇想天外な魔法動物たち大活躍

本作はタイトルが示すように、その戦いの陰でダンブルドアと、彼の家族に関する秘密が明らかになっていく。強力な闇の魔力を秘め、グリンデルバルドに導かれた青年・クリーデンスは、前作でダンブルドア家との関係が暗示されたが、そのあたりの過去もドラマチックに描かれ、こちらも予想どおり。

もちろん、このシリーズの最大の魅力であるニュートと魔法動物のドラマもたっぷり出てくるものの、映画の前半はわりとじっくりとしたテンポで進んでいく。過去の2作とはやや違って、どこか大人のドラマのムードも漂うのだ。そのムードが中盤くらいからじわじわ効いてくる。ダンブルドアとグリンデルバルドの間の複雑な感情が全編を支配しているようで、映像もこれまでとは違って、シックな色味が強調された印象だ。

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一方で、新たに登場する魔法動物のインパクトはなかなか強烈。ニュートの盟友となった、小枝のようなピケット、カモノハシのようなニフラーも予想以上に大活躍するのだが、新キャラ(もちろん複数)は想像を超えたスタイルであり、これから観る人のために詳しくは書けないが、いい意味での気味悪さ、グロさも特徴。こうした“子供たちは怖いものに惹かれる”的な造形は、『ハリポタ』時代から意識されてはきたものの、今回は別格である。日本の怪獣作品の古典も意識させるその姿は、むしろ大人の観客にアピールしそうだ。

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そして本作で早くから期待を高めていた『ハリポタ』との接点も、長年のファンを満足させることだろう。クィディッチ、若き日のマクゴナガル先生、屋敷しもべ妖精、ホグワーツの数々の光景との再会は、映画の遺産を巡る旅路のようでもある。そして、このシンクロはあくまでもドラマに沿ったもので、あざとくないところが心地よい。つまり『ハリポタ』に愛着がない人もすんなり受け止められるレベルであり、熱い『ハリポタ』ファンなら細部まで目を凝らして確認したい欲求にかられる……というわけだ。

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マッツ・ミケルセン参戦、現実世界との強いリンク

こうしたシリーズの流れにおいて、多くのファンが気を揉んでいたのはメインキャストの交代劇である。前作で白い髪のジョニー・デップが怪演したグリンデンバルドが、今回からマッツ・ミケルセンに受け継がれた。他のキャストが連投しているだけに、この変更はチャレンジングではあったが、思いのほか違和感は少ない。ジョニーの雰囲気をマッツがなぞっているわけではない。むしろマッツは強い個性を抑えるように、グリンデンバルドの本質を演じており、作品世界に馴染むことに成功したと感じる。

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このマッツの持ち味も作品全体のシックなムードに貢献しているが、背景となる場所も今回は、壮大というより、荘厳。クライマックスの舞台には意外な国が選ばれたし、メインの選挙戦が展開するベルリンは、どこか退廃的でダークな空気に満ちていて、ベルリンの壁が崩壊する前の東側のようなイメージ。『マトリックス レザレクションズ』(2021年)でもロケ地になっていたりして、このところ超現実の世界と現実をつなぐ場所に、ベルリンがフィットしいていると感じる。

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現実との強いリンクでいえば、作品全体のテーマだ。世界を支配しようとする権力、リーダーを決める選挙と裏工作、さらに人間vsマグル ― つまり自分とは違う者との対立、多様性の拒絶など、本作の軸となっているドラマと人物の関係性は、不覚にも2022年の世界情勢の写し鏡になっている。反発する勢力同士が対決するアクション映画は基本的にそうなる可能性があるが、この『ダンブルドアの秘密』と現実のリンクは尋常ではない。

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監督のデヴィッド・イェーツは、『ハリー・ポッター』の後半4作と『ファンタスティック・ビースト』3作を手がけた、もはやこの世界の“マスター”である。そんな彼だからこそ、この『ダンブルドアの秘密』では、より強いメッセージを込めたのかも……と考えたくなる。

そのメッセージは、ラストカットに集約された。どんなメッセージを受け取るかは、人それぞれだろう。しかし、そこに出ている人物の思い、その奥深くを察することで、『ハリー・ポッター』から約20年、これほど胸を締めつけてくる後味は初めての体験となった。

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文:斉藤博昭

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 』は2022年4月8日(金)より全国公開

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『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 』

魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュートが、ダンブルドア先生や魔法使いの仲間たち、そしてなんとマグルと寄せ集めのデコボコチームを結成! 史上最悪の黒い魔法使い、グリンデルバルドに立ち向かう! そして明かされる、ダンブルドアとその一族に隠された誰も知らない秘密とは―!?

監督:デヴィッド・イェーツ
原案:J・K・ローリング
脚本:J・K・ローリング スティーヴ・クローヴス

出演:エディ・レッドメイン ジュード・ロウ
   エズラ・ミラー ダン・フォグラー アリソン・スドル ヴァレリー・パフナー
   カラム・ターナー ジェシカ・ウィリアムズ キャサリン・ウォーターストン
   ウィリアム・ナディラム ヴィクトリア・イエイツ
   マッツ・ミケルセン

制作年: 2022