中島健人「恋すると頑張っちゃう」松本穂香「特殊メイクは大変!」Netflix映画『桜のような僕の恋人』撮影秘話

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ライター:関口裕子
中島健人「恋すると頑張っちゃう」松本穂香「特殊メイクは大変!」Netflix映画『桜のような僕の恋人』撮影秘話
Netflix映画『桜のような僕の恋人』全世界独占配信

ありのままで恋をする2人の物語

ベストセラーとなっている宇山佳佑の泣ける恋愛小説「桜のような僕の恋人」がNetflixで映画化された。2010年代中盤、ティーンエイジャーを主人公とする恋愛映画が次々と作られヒット。この映画は、まるでその頃高校生だった大人たちに向けて作られたかのような作品だ。

新人美容師の美咲(松本穂香)と、彼女に恋をしたカメラマンになろうとするも自信の持てない晴人(中島健人)。『桜のような僕の恋人』は、自信のない部分も、いい部分も隠そうとせず、ありのままで恋をする2人の物語だ。自分の生き方を探す物語に加え、人の何十倍もの速さで老化してしまう病が別なベクトルにも考えを及ばせる大人の恋愛映画。そんな恋人たちを演じる中島健人松本穂香に話を聞いた。

集英社文庫「桜のような僕の恋人」 宇山佳佑・著
2017年2月17日発売 660円(税込)
文庫判/336ページ ※電子書籍も配信中

「現代社会にとてもマッチしているラブストーリー」

―以前の恋愛映画は自分を良く見えるよう偽ったことで起こるすれ違いを、物語の推進力にしていたものが多かったように思います。この作品は自分のダメなところも隠さず、ありのままの姿で向き合おうとする2人の物語。2人のナチュラルな心情がスッと入ってくるように思います。背伸びをすることより、いかに素の自分でいるかが求められる時代なのかなと思いました。

中島:この社会が体型や性別、ありのままでいることを受け入れ始め、ダイバーシティの考え方が当たり前になってきたことについては、「ようやくか」と思うし、もっと受け入れられるべきだと思っています。時代の変容とともに、表現者としての自分も物事に柔軟に臨もうと思うようになりました。一方で僕は、積極的に取り繕って生きる人生を好んでもいるんですけど(笑)。『桜のような僕の恋人』も素を見せていく恋愛。現代の社会にとてもマッチしているラブストーリーだなと思います。

松本:正直、私は時代の変化にはあまりピンときていないんですけど(笑)、美咲でいうと、やっぱりすっぴんは恥ずかしいし、大好きな晴人くんに可愛いと思ってもらいたいから、ノーメイクのときはマスクで隠してしまう。より良い自分でありたいし、良く見られたい。それはそれで素敵だなと思います。ただ、一人ひとりが多様な人を受け入れる柔らかい心を持つことは、とても大事ですよね。何かを否定するのではなく、できる限り受け入れていけたらと思っています。

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―明るくポジティブな美容師の美咲と、一途に彼女を思い、それゆえにカメラマンへの夢に再び挑戦しようとする晴人。そんな2人に共感する部分はありましたか?

中島:恋をすると頑張っちゃうところですかね。めちゃくちゃ似てます。

松本:思ったことをパッと口にしちゃうところとか。あまり後先考えないところ、不器用なところは自分にもあるなと思いました(笑)。

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「心を開いているように見えて実は…」「う、鋭い!(笑)」

―お2人は初共演となりますが、初めて会ったときの印象は? 撮影を進めていく過程でその印象が変わることはありましたか?

中島:松本さんはCMにたくさん出ている大人気の女優さんという印象(笑)。表情豊かで、どんな役を演じてもはまる気がします。ただ、僕は撮影に入る前にはあえて松本さんの情報を取らないようにしていたんです。それが僕の今回の作品へのアプローチだったというか、本当に純粋な状態で出会いたいと思っていたので。実際に会った松本さんは、自分の考えや好きなこともしっかり持っていて、楽しくて美しい人でした。

松本:これ以上ないほどの言葉をいただきました(笑)! 私の中島さんのイメージは、すごくしっかりされていて面白い方。初めてお会いしたのは2人が寄り添う作品のイメージ写真の撮影でした。あのときはメイクの場所が一緒だったんですが、私が入ったら中島さんは頭を洗っていて(笑)。そのためにご挨拶のタイミングを逸してしまったんです(笑)。

中島:あったあった! 頭洗ってたね。俺もあのタイミングではどうしようか迷ったな(笑)。

松本:いつご挨拶しようって思いながら、横でメイクしていました(笑)。その後、撮影しているときにいろいろ話かけてくださったんですけど、すごくコミュニケーション能力の高い方だなと思いました。

中島:普通、あそこで挨拶するでしょう?

松本:でも、あの距離でガンガン話かけられるのってすごいじゃないですか(笑)。撮影が始まっても面白い方という印象は変わらなかったです、いい意味で!

中島:本当にいい意味?(笑)

松本:ただ、中島さんは心を開いているようで、実は分かりにくい人なのかなとも思いました。もしかしたら本音で話していないのかなと。周りの方は「健人くんは分かりやすい」って言うんですが、「そうかな?」って(笑)。

中島:う、鋭い! ヤバいな(苦笑)。

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「ネガティブな立ち姿から役作りをして。アイドル活動には支障が出たかも(笑)」

―自分に自信を持てない晴人を演じるにあたり、中島さんは、いつものキラキラ感を封印されたのではないかと感じました。また肉体だけ老化してしまうという難病を患う美咲も難しい役ですよね。特に後半は、表情が封印される特殊メイクで臨まれました。お2人とも、どんなふうに役作りをされたのでしょう?

中島:今回、脚本(ホン)読みのときに、穂香さんと役を入れ替えてみる試みをしました。深川栄洋監督には思うところがあったんでしょうね。一度お互いの役を入れ替えてみたら、それがバチッとはまったんです。俺、美咲役のほうがいいんじゃないかと思ったくらい(笑)。美咲の気持ちを深く知ることができたのは、すごくよかったと思います。

松本:そう思います! おかげでとてもやりやすかったです。

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―2人が恋人として過ごした時間は3カ月足らずの設定だそうですね。美咲が病を発症してから、しばらくは会わない時間を過ごします。渡された台本は、そんなふうにご自身が登場しないシーンが空欄だったと伺いました。役と同じように相手の“今”を想像してほしいという監督の意向だったとか。

中島:お互いの気持ちを理解していたので、肩肘張らずに自然体で臨めたと思います。そのせいなのか、僕は今回チェックを全く見なかったんですよ。普段は本番の後、ベースに行って監督と一緒にいま撮影の終わったチェックを見ます。でも今回はやらなかった。深川監督自体が見ない方だったのもありますが、完成した作品を楽しもうという余裕が僕にもあったように思います。

―身体的なことで考えた役作りはありますか?

中島:僕は立ち姿を少し意識しました。姿勢からネガティブな感じにしようと思って、当時は常にその姿勢を取り入れていました。たぶんアイドル活動には支障が出ていたと思います(笑)。

松本:美咲は陽な性格の人だったので、私はいつもより気持ちを陽に振って演じました。でも病気が進行していく後半になると心を閉ざす場面もたくさんあって……。その気持ちを引きずってしまうとしんどいので、なるべくオンオフを切り替えるようにしていました。特殊メイクをしただけで気持ちが引っ張られてしまうんですよね。そこをメイクさんや周りのみなさんが支えてくださった。とても感謝しています。そう考えると、美咲は私が演じたというより、みなさんと作ったという感覚です。

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「特殊メイクはとても大変だったけれど、美咲の気持ちに近い状態で臨めた」

―深川監督は、老いていく美咲をどの程度までビジュアルで表現するかが映画の肝でもあったとおっしゃっています。時間をかけて老化しても、時に受け入れるのが嫌になることもある老い。松本さんはエイジングのメイクを受けるとき、どんな思いがあったのでしょうか?

松本:4、5人のスタッフさんに3時間くらいかけてやっていただいたんですが、特殊メイクはとても大変でした。自分では何が行われているか分からないので、物になったような気持ちだったし、メイクをした自分の心と見た目が一致していない感覚はどうにも奇妙で、少し落ち込みました。スタッフさんたちが配慮してくださって、中島さんとは最後のシーンまで老けた姿では会わずに撮影できたので、あのシーンは本当に美咲の気持ちに近い状態で臨めたと思います。

中島:若くして老化してしまうこの役を引き受けるって、女性ならやっぱり覚悟が必要だったと思うんです。自分の肉体が老化していくのは特殊メイクであっても切ない。それを受け入れる覚悟をした時点で、ある意味、松本さんの役作りは始まっていたと僕は思います。

―美咲と晴人が襖越しに話すシーンは、ガラス越しのラブシーンを凌駕する素晴らしいシーンの一つだと思います。あの時の晴人はどういう感情だったのでしょう?

中島:実際に顔を合わせない分、少しでも美咲を感じ取ろうと、襖の向こうに意識を傾けていました。美咲さんのエイジングメイクは一回も見ていないので、晴人は想像の中の彼女に向けて話している。その状態で演じたから、ラストのシーンをちゃんとリアクションできたんだと思います。そこは本当に製作陣の環境づくりに感謝ですね。素晴らしいシーンになったんじゃないかと思います。

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「2人には(現実の世界を忘れ)これから世に出ていきたいという夢を持っている25歳を体験してもらいたかった」という深川監督の演出は、作品として見事に実を結んだ。もし、まだ何もなし得ていない2人がこの作品世界を生きたら……というパラレルワールドとして観ることもできるスリリングな作品だ。

取材・文:関口裕子

『桜のような僕の恋人』は2022年3月24日(木)より全世界独占配信

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『桜のような僕の恋人』

美容師として働く明るい美咲に恋をした、若きカメラマン見習いの晴人。やがて恋人同士として共に未来へと歩み出した2人の前に、思いもよらない運命が立ちはだかる。

監督:深川栄洋
脚本:吉田智子
原作:宇山佳佑

出演:中島健人 松本穂香
   永山絢斗 桜井ユキ 柳俊太郎 若月佑美
   要潤 眞島秀和 及川光博

制作年: 2022
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