実在の人肉食事件がモデル!?『ハングリー/湖畔の謝肉祭』と世界の“パチ・レザーフェイス映画”5選

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ライター:ギンティ小林
実在の人肉食事件がモデル!?『ハングリー/湖畔の謝肉祭』と世界の“パチ・レザーフェイス映画”5選
『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

実際に起こった人肉食事件……?

若者たちは生きたまま喰われた。イギリスで起こった衝撃の実話。リアル“レザーフェイス”一家は実在した!

……このショッキングな文は、イギリスのホラー映画『ハングリー/湖畔の謝肉祭』の公式サイトに載っている惹句。予告編でも、

「イギリスで起こった衝撃の実話」
「実際に起こった人肉事件を忠実に再現!」

などと、ホラー映画ファンなら無視できない力強いフレーズが次々と出されています。つまり『悪魔のいけにえ』(1974年)のモデルといわれていた猟奇殺人犯エド・ゲイン以外にも、イギリスに人の顔面を剥いでマスクにした殺人犯が実在していたらしいんですよ! まったく知りませんでした……。というわけで、実際の事件はどんな感じなのだろう? と早速ネットで検索しました。しかし、いくら海外のサイトを探してまわっても「英国版『悪魔のいけにえ』」という記事はあるものの、「実話をベースにした」作品であると書かれた記事は見つからなかったんです……。

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

まあ、本作は海外ではまだリリースされておらず日本が初お披露目なので、海外のサイトには情報が少ないのでは? という可能性もありますが、それ以前にこの件を深追いするのは得策ではない気がします。なぜなら、本作を日本で配給してくださったのはTOCANAさんですから。そうです、コアなホラー映画ファンなら御存知の『アントラム 史上最も呪われた映画』(2018年)を日本公開する際、「観たら死ぬ映画」と宣伝した経歴のオーナーさんです。要するに、『バーニング』(1981年)の日本公開時に「モデルとなった殺人犯が全米緊急指名手配中!」という物騒極まりないガセネタをトッピングした、昭和のホラー映画宣伝スタイルを継承している配給さんなのです。

『悪魔のいけにえ』ファン必見!? パチモン・レザーフェイス

そんなTOCANAさんによると、この『ハングリー~』は「あまりの残虐さに全世界で公開が見送られ、なんと日本が世界に先駆けての先行上映となる」ということだそうです。それなら、ここは「たいへん物騒な作品を日本公開してくださって、ありがとうございます!」と感謝の意を伝えておくことがベストなのではないでしょうか? それに『ハングリー~』は、『悪魔のいけにえ』とレザーフェイスが大好きな自分にとっては1日も早く観たい作品だったんです。なにしろパチモンのレザーフェイスが登場しますから。

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

『悪魔のいけにえ』の公式関連作じゃないのに“人皮のマスクを装着した殺人鬼”が登場する映画は意外と多く存在していて、自分はそういった作品に目がないんです。パチモンといえども人皮マスクのデザインが気になるので、つい観てしまうんですよ。ちなみに、そういう作品を「パチ・レザーフェイス映画」と呼んでいます。

パチではない公式レザーフェイスといえば、2022年はファンが期待に胸をパンパンにさせていた本家最新作『悪魔のいけにえ -レザーフェイス・リターンズ-』がNetflixで独占配信されましたよね。でも楽しみにしていたレザーフェイスのニューマスクが、お世話になったお婆ちゃんの顔面の皮を剥いで、そのまま被るだけ……という、悪い意味で素材の良さを活かしすぎたものだったので正直がっかりしました(途中で少しだけマスクにお化粧をしていましたが)。

その点、パチ・レザーフェイス映画に登場するマスクは、本家と比べると安い作りかもしれませんが、ひと味違うDIY魂をアピールしてくれる輩ばかりなんですよ!

世界のパチ・レザーフェイス映画

代表的な作品を挙げると、まずはスペインのTV映画『スパニッシュ・ホラー・プロジェクト リアル・フレンド』(2006年)。『悪魔のいけにえ』が大好きな孤独な少女が主人公の本作には、彼女にだけ見えるお友達としてパチ・レザーフェイスが登場。そんなトトロのような存在のパチ・レザーが少女と友情を育み、最後は吸血鬼から少女を守るために正義のチェーンソーを振るう! という、他のパチ・レザーフェイス映画とは一線を画した感動作に仕上がっています。

イギリス映画『カニバル・レザーフェイス』(2017年)には、『悪魔のいけにえ』のリメイク作『テキサス・チェーンソー』(2003年)のレザーフェイス風なコーディネートの妙にスリム体型のパチ・レザーが登場。

『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』(2018年)のレネ・ペレス監督によるアメリカ映画『Playing with Dolls』(2015年:未公開)には、ハボックというツギハギだらけの人皮マスクに有刺鉄線をぐるぐる巻きつけた、レザーフェイス界の族車のような魔改造ぶりをアピールしたパチ・レザーが登場。でも、肝心の映画の作りはかなりチープ。

しかしレネ・ペレス監督的には、ハボックはかなり大事なキャラのようでシリーズとなっています。今のところシリーズ最新作の4作目『Cry Havoc』(2020)には、『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』に主演したチャールズ・ブロンソンのそっくりさんロバート・ブロンジーが出演し、パチ・ブロンソンVSパチ・レザーフェイスという夢のような爆安バトルを堪能できます。

拉致された女性たちが、人里離れた森でマスクをしたハンターたちに追われる殺人ゲームを描いたオーストラリア映画『フューリーズ 復讐の女神』(2019年)にもパチ・レザーが登場。今回紹介したパチ・レザー映画の中では最も造形クオリティの高い人皮マスクを装着しているだけじゃなく、人皮製のアウターも装着した俺ジナル武装スタイルを披露してくれています。

以上、代表的なパチ・レザーフェイス映画を紹介しました。ちなみに『ハングリー/湖畔の謝肉祭』鑑賞前に、これらのパチ映画を連続コンボで鑑賞しておくと、『ハングリー~』を暖かい目で楽しむことができます!

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』にはパチ・レザーが3人も登場!

そしてパチ・レザーフェイス映画ファン待望の最新作『ハングリー/湖畔の謝肉祭』。監督はルイーザ・ウォーレン。この方は俳優業をやりながら、2018年に『Dirty Work』(未公開)で監督デビューすると、『ザ・マーメイド セイレーンの呪い』(2019年)、『Toothfairy 2』(2020年:未公開)、『Vengeance of the Leprechaun’s Gold』(2020年:未公開)などホラー映画を中心に、現在まで16作の低予算映画を作っているパワフルな監督です。

映画の舞台は、イギリス南部の田舎。人里離れた場所で秘密のレイヴが開催されている、という噂を聞いた6人の若者たちが、浮かれ気分でバンを走らせる。その途中、道を聞くために寄ったパブで都会人を忌み嫌う不気味な老夫婦に遭遇する、というお約束をこなしながらレイヴを目指していくと、案の定、森の中でバンが故障。近隣に住居がないか散策する彼らがたどり着いたのは、廃墟と化した施設だった……。

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

そんな安定感のありすぎる展開の果てに、謎の施設で食人一家に襲われるわけですが、本作の素晴らしいところは登場するパチ・レザーが1人じゃないんです。3人も登場するんです!

気になるパチ・レザーたちをファッション・チェックしますと、1人目は人皮マスクに、『ハロウィン』(1978年)のブギーマンのようなツナギと長靴でキメたパチ・レザー。

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

残りの2人は、中世の拷問人が着るような黒革のシャツを装着したパチ・レザーたち。パチ・レザーといえば、最も気になるポイントはマスクですが、素材の良さを活かしたプレーンなマスクを被る者もいれば、大きな裂け目を紐で縫うのではなく、金属の輪っかで繋ぎとめた者もいる、という三者三様の個性を出しつつ、パチならではのチープな魅力も満載な逸品に仕上がっています。ちなみにチェーンソーは使いません。ハンマーや刃物を愛用します。

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

そんな3人に加えて食人殺人鬼一家のメンバーには、『悪魔のいけにえ』のグランパ風な老人マスクを装着した殺人鬼も参戦。要介護5な本家のグランパとは違い、イキの良い活躍を見せてくれます。さらに殺人一家には、『テキサス・チェーンソー ビギニング』(2006年)に登場した“某キャラ”を思わせる人物も合流、というリッチかつ節操のない家族構成になっています。

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

肝心の一家の食人殺人鬼ぶりですが、解体した人肉の調理が雑。『ハングリー/湖畔の謝肉祭』という景気の良い邦題とは裏腹に、食が細い……など気になる点はありますが、まあ、イイじゃないですか。パチ・レザーフェイス映画史上初のパチ・レザーフェイス・トリオが出てくるんですから! まるで量産型レザーフェイスのワゴンセールのような、実にリーズナブルかつアウトレットな映画なんですよ!

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

あと最後に、一番大事かもしれないことを記しておきます。本作の監督ルイーザ・ウォーレンさんの過去作を未見の方は、『ザ・マーメイド セイレーンの呪い』『サイバーブライド』(2019年)が現在、Amazonプライム・ビデオで配信中なので、本作の鑑賞前に観ておくことをオススメします。そうすればルイーザ・ウォーレン演出に対する無駄な期待が消え去り、ソリッドな気持ちでパチ・レザーフェイスたちの姿を堪能することができますので! とにかく、レザーフェイスが好きなら、悔しいけど観ないと気が収まらない映画であることは間違いないです。

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』© THE WRONG TURN MMXX

文:ギンティ小林

『ハングリー/湖畔の謝肉祭』は2022年3月11日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、シネマート新宿ほか全国公開

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『ハングリー/湖畔の謝肉祭』

2002年7月、イングランド南部にあるアクアパークのロッジに宿泊していた 男女3人が行方不明になった。 女性は臨月間近の妊婦だった。 それから約20年後、秘密のレイヴが行われるという噂を聞いた 6人の若者たちが、未知の土地に向かってバンを走らせていた。 彼らは途中で 道に迷い、やがて廃墟と化したアクアパークに辿り着いてしまう。 そこで彼らを 待っていたものは、人間の皮膚でできたマスクを被り、迷い込んだ者たちを狩り、 捕らえ、生きたままその肉を喰らう悪魔の食人一家の襲撃だった…。

監督:ルイーザ・ウォーレン
脚本:チャーリー・マクドゥーガル

出演:ジョディ・ハットン リチャード・サマーズ=カルヴァート リース・プティナス

制作年: 2020

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