超レア特撮映画を一挙発掘放送!『地球最終戦争 ロボット・ウォーズ』ほか才人デヴィッド・アレンの栄光と影響

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ライター:多田遠志
超レア特撮映画を一挙発掘放送!『地球最終戦争 ロボット・ウォーズ』ほか才人デヴィッド・アレンの栄光と影響
『地球最終戦争 ロボット・ウォーズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

ストップモーションの偉人

人形を1コマ1コマ少しずつ動かして撮影し、その連続で動いているように見せるコマ撮り=ストップモーション・アニメーション。この技法はCGなどない時代に、特撮技術として一時代を築き上げた。巨大な空想上のモンスターが、まるで命を得たように動き登場してくる迫力は、「アニメーション」という言葉の語源である無生物に命を吹き込むという「アニミズム」という言葉も想起させる、革新的な技術であった。

『ジュラシック・キッズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

有名なところでは、レイ・ハリーハウゼンの『アルゴ探検隊の大冒険』(1963年)など、様々な架空の生物たちがスクリーン上でコマ撮りで動き回っていた。おなじみ『キング・コング』(1933年)も代表的な作品だ。そのキングコングに幼少期に魅せられ、歴史を継ぎ、ストップモーションアニメや特殊メイク、クリーチャーデザインなどに生涯を捧げたのがデヴィッド・W・アレンその人である。

『地球最終戦争 ロボット・ウォーズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

デヴィッド・W・アレン(1944~1999年)は、6才で観た『キング・コング』に魅せられ特撮の世界を志すようになる。彼が世に出たのは、学生時代に手がけた映画『エクイノックス/Equinox』(原題:1970年)からだ。ピクニック中の若者たちが魔導書ネクロノミコンから蘇った魔物たちに遭遇してしまう、という物語だが、すでに卓越したコマ撮りテクニックはもちろん、のちの『死霊のはらわた』(1981年)の物語設定にも多大な影響を与えた。

 

商業アニメで特撮担当をしていたアレンは、ドゥボーイやガンビーなど、クレイアニメーションを用いたCMの仕事も手がけるようになる。そして有名SF作品のパロディ作『フレッシュ・ゴードン/SPACE WARS』(1974年)のモンスターや、『SFレーザーブラスト』(1978年)の宇宙人のコマ撮りなど多くの作品で 映画界でも名を馳せていく。

80年代の特殊効果華やかなりし頃、アレンの手腕は存分に発揮される。『ハウリング』(1981年)の人狼変身時の特殊効果、『ウィロー』(1988年)ではクリーチャーを実際に動かすなど、コマ撮り以外でも様々な能力を発揮した。『ゴーストバスターズ2』(1989年)では<ILM>とも仕事をしている。

今回CS映画専門チャンネル ムービープラスで放送されるのはアレンの晩年、チャールズ・バンド率いる<エンパイア・ピクチャーズ>で『パペット・マスター』(1989年)などの作品に参加していた頃の作品群である。

デヴィッド・W・アレンの代表作を一挙放送!

『トランサーズ/未来警察2300』(1984年)は、未来の賞金稼ぎが犯罪者を追って80年代のL.A.にタイムトラベルし、人々をゾンビクリーチャーに変えてしまう凶悪犯の行方を追う物語。アレンはノンクレジットながらコマ撮りを担当していて、SFコップアクションとしてシリーズが何作も作られた作品だ。

『トランサーズ 未来警察2300』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

『サイキック・ウォリアーズ/超時空大戦』(1992年)は地球を支配しようとする外宇宙からの生命体の脅威に、謎の魔術師ドクター・モードレッドが立ち向かう……という、明らかに早すぎた「ドクター・ストレンジ」的な作品。

『サイキック・ウォリアーズ 超時空大戦』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

ドクター役は『 ZOMBIO/死霊のしたたり』(1985年)でおなじみのジェフリー・コムズ。魔術で命を吹き込まれた博物館の恐竜の巨大な骨格標本が、複数で辺りを破壊しながら格闘するなど、目を見張るコマ撮り仕事がここでも炸裂している。

『ジュラシック・キッズ』(1993年)はマイホーム家族のところに謎の卵がやってきて、中から出てきたのは恐竜の赤ちゃん軍団だった! というお話。『グレムリン』(1984年)と『ジュラシック・パーク』(1993年)を合体させたような本作もビデオスルー作品として好評で、シリーズ化もされた。

『ジュラシック・キッズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

卵の中から顔を出す恐竜、餌を奪い合うシーン、ポテチの袋に入って食い荒らしたりと、もし小さい恐竜がいたら……というアイデアに満ちていて飽きさせない。

『地球最終戦争ロボット・ウォーズ』(1994年)は、アレンの手がけたコマ撮り巨大ロボットもの『ロボ・ジョックス』(1990年)や『ジャンクウォーズ2035』(1990年)に次ぐ作品だ。国家間の紛争をロボットの直接対決で解決する、という子供心をくすぐる基本設定で描かれてきたが、今作ではアジアの独裁者将軍に乗客もろともジャックされたロボットを止めるために、退役した旧型ロボットで立ち向かう、というこれまた燃える設定。

『地球最終戦争 ロボット・ウォーズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

がっぷり組んで戦う人型vsサソリ型ロボの一騎打ちなどは、あきらかに『パシフィック・リム』(2013)がやりたかったことはここにあったのだと実感できる。アレン得意の、巨大ロボットなどを重量感を感じさせながら動かす匠の技が堪能できる1本だ。

どれも各々のジャンルにおいて必要な特撮、コマ撮りなり特殊メイクなりを適宜用意していく、アレンの技術が光る作品ばかり。CGもすでに出始めた90年代、それでもまだストップモーションアニメを用いる作品は存在していた。そんな過渡期に思いを馳せさせられるような作品群だ。

『トランサーズ 未来警察2300』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

コンピューターゲームの世界では、そのハードの末期にハードの性能をフルに使いこなした名作ゲームソフトが出るものだ。しかし、そのときにはすでに新ハードが出ていて、高性能な新作に目が向いてしまい、それらの名作はなかなか気づかれない。当時の映画界でも、まだヨチヨチ歩きだったCG映画の裏で、このように円熟したコマ撮り技術が惜しげもなく使われていた作品があったのだ、ということを改めて気づかされ、驚かされる。

『ジュラシック・キッズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

コマ撮りの歴史の転換点としては、スティーヴン・スピルバーグが途中までコマ撮りで撮影していた『ジュラシック・パーク』の恐竜をCGに変更したことが大きいだろう。ここからCG全盛の時代に大きく舵を切っていくことになる。アレンの晩年はCG全盛の時代だったのだが、もっと彼の手によって命を吹き込まれるクリーチャーを見てみたかったと思う。

ストップモーションの現在

さて、それではコマ撮りや特殊メイク、造形の時代というモノは終わりを迎えてしまったのだろうか。筆者はそうは思わない。クリーチャーをCGで作るときもイチからパソコン上で作るわけではない。原型を作り、それをもとにCG化していく。そうでないと実際そこに存在するかのような質感は出せない。造形は、まだ仕事としては重要なポジションである。技術が進んでもイラストや造形、そういったアナログな仕事はなくなるどころか、かえって重要になっているわけだ。

『地球最終戦争 ロボット・ウォーズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

また、世の中は最先端なモノだけで成り立っているわけではない。もしそうならば移動手段は車だけ、読み物は電子書籍だけ、音楽や映像作品もすべて配信だけになってしまっているだろう。しかし、そうではあるまい。自転車を愛する者もいるし、レコードやカセットテープで音楽を楽しむ者、ディスク化されていない映像作品を求めてVHSテープを探す者もいまだにいる。アナログ、ローテク、なんと呼んでも構わないが、そういった生の手触り、そこに魅力を感じる者はいつの世にもいて、決していなくならないだろう。それはどのジャンルにも言えることで、やはりリアルな手触り、感覚は大事なのである。そして、より良いCG表現のためにも、特撮技術はこれからも必要な要素であるはずだ。

『サイキック・ウォリアーズ 超時空大戦』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

実際、コマ撮りを駆使した作品は今も作られ続けている。『コララインとボタンの魔女』(2009)なども最近のストップモーションアニメの代表作的存在だ。手がけた<スタジオライカ>は今や現代コマ撮り界のトップランナーで、目を見張るような表現で観客を驚かせている。『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016年)では紅葉の1枚1枚が集まってできた船や、荒波の表現などまでコマ撮りで再現し、神経症的なまでに細部へのこだわりを見せている。

幻のデヴィッド・アレン作品がついに完成!

『ロボコップ』(1987年)の警備ロボ「ED-209」のコマ撮りを手がけたフィル・ティペットのように、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(2001~2003年)や『スターシップ・トルーパーズ』(1997年)などで造形からCGまで、現在のテクニックを駆使して第一線で活躍する者もいる。そんなティペットが30年間コツコツと作り続けてきた、グロテスクなクリーチャーも登場する独特の世界観を持つコマ撮り大作『Mad God』(公開日未定)も完成した。こちらも期待大だ。

『パンズ・ラビリンス』(2006年)などのギレルモ・デルトロの新作はNetflixオリジナル作品となり、「ピノキオ」の物語をコマ撮りで描く期待感あふれるもので、2022年12月の配信が予定されている。日本でも『JUNKHEAD』(2021年)や『PUI PUI モルカー』(2021年)など世界的に注目を集めるコマ撮り作品が続々と産み出されている。まだまだ今後も手法のひとつとして用いられていて、決して時代遅れの技法などではないと言っておきたい。

アレン関連でも最近、大きな出来事があった。彼が生前に完成させようとしていたモンスター大作『The Primevals』がついに完成し、公開が控えているとの驚きの報もあったばかりだ。人間の冒険者たちがトカゲ人間や雪男などの跋扈する世界に迷い込むという、若き頃の作品『エクイノックス』も彷彿とさせる物語は1994年から製作されていたものの、アレンの死によって未完成に終わる。長年、場面写真などフッテージのみが公開されていたが、近年クラウドファンディングで資金調達に成功し、当時のスタッフたちを集めてついに完成され、公開を待っている状態だという。

アレンが遺した90年代の作品がまさか今、蘇るとは思わなかった。これはアレン再評価の気運も高まっているのではないだろうか。彼の夢見たコマ撮りの世界が今、再び蘇ろうとしている。それだけで胸が熱くなる思いだ。

『ジュラシック・キッズ』CS映画施文チャンネル ムービープラスで2022年2月放送(C) Full Moon Empire, Inc.

文:多田遠志

『ジュラシック・キッズ』『サイキック・ウォリアーズ/超時空大戦』『トランサーズ/未来警察2300』『地球最終戦争ロボット・ウォーズ』はCS映画専門チャンネル ムービープラス「発掘!お宝SF映画祭」で2022年2月放送

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