超豪華“カメオ出演”まとめ!『マトリックス』にトム・ハーディ!?『007』にはJ・P・ベルモンド!!

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ライター:谷川建司
超豪華“カメオ出演”まとめ!『マトリックス』にトム・ハーディ!?『007』にはJ・P・ベルモンド!!
『007 カジノ・ロワイヤル』パンフ表紙(筆者個人所有)

カメオ出演に新たな潮流

前回に続いて、“カメオ出演”に関する話題について語りたい。というのも、以前であれば、キャストとして名前がクレジットされているかいないかという違いはあったものの、基本的にはカメオ出演の考え方はひとつで、観客の立場で言うならば、予期していなかったスターの思わぬ突然の登場にビックリさせられ、お得感を感じることができる、という明確なコンセプトで説明できた。しかし、どうも最近ではそのパターンに当てはまらない形のカメオ出演が出てきているように感じるからだ。また、古い例でも「果たしてこれはカメオ出演と言えるのか?」と迷ってしまう微妙な例もあったりする。

どこまでが端役で、どこからがカメオ出演なのか?『カジノ・ロワイヤル』の迷宮

『007』シリーズといえば英国イオン・プロダクションの製作だが、当初、イアン・フレミングの同シリーズ原作第一作として刊行された「カジノ・ロワイヤル」は、ハリウッドで戦前はエージェントとして、戦後は自身のプロダクションを率いたプロデューサーとして活躍したチャールズ・K・フェルドマンが映画化権を取得、イオン・プロとは全く異なるアプローチの豪華絢爛たるパロディ/コメディ映画として1967年に映画化した。

そのオリジナル版『007/カジノ・ロワイヤル』は、フェルドマンのエージェントとしての人脈を生かしたオールスター映画で、デヴィッド・ニーヴンウルスラ・アンドレスデボラ・カーオーソン・ウェルズピーター・セラーズウディ・アレンといったスターが主演格、他にジョン・ヒューストンウィリアム・ホールデンシャルル・ボワイエといった主演スターが小さな役で出演している。

問題は、それ以外にも山ほどのスターがチラッと出てくることなのだが、先ず男優ではジャン=ポール・ベルモンドジョージ・ラフトがそれぞれカジノでの乱闘シーンで登場する(ベルモンドは二言三言の台詞があり、ラフトは無言だが出世作『暗黒街の顔役』[1932年]で一世を風靡したコイン・トスを披露)。この二人の登場の仕方はどう考えてもカメオだが、クレジット上は堂々と名前が出ている。おそらくは余りにも大スターであり、僅かな出番でもギャラがきちんと支払われたのだろう。

『007 カジノ・ロワイヤル』パンフに掲載されたG・ラフトとJ=P・ベルモンドの写真(筆者個人所有)

ノー・クレジットだと、ピーター・オトゥールがバグパイプ隊の中にいてピーター・セラーズと鉢合わせする。オトゥールはセラーズに対して「あなたはリチャード・バートンさん?」と尋ね、セラーズが「いえ、ピーター・オトゥールです」と答えるというシュールなやりとりが交わされる。

女優ではジャクリーン・ビセットがワン・シーンのみの登場でクレジットされているが、当時はデビューしたてのブレイク前なので単なる小さな役。アンジェリカ・ヒューストンキャロライン・マンローも端役だが、彼女らもやはりデビューしたて(ヒューストンはこれがデビュー)なのでカメオとは言えない。同様にチラッと出る中にミレーユ・ダルクジュラルディン・チャップリンがいるのだが、ダルクは既に主演したヒット作『恋するガリア』(1966年)に、チャップリンも『ドクトル・ジバゴ』(1965年)という代表作に出演した後での顔見世だから、カメオ認定していいだろう。

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』でMr.ビーン/ショーン・コネリーを骨折させたスティーヴン・セガール

同様に「これはカメオ出演かな?」と思ったら、単にブレイク前の端役だった……という例に、同じく『007』シリーズの番外編としてケヴィン・マクローリーが製作したショーン・コネリーのボンド役復帰作『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983年)でのローワン・アトキンソンのケースがある。

アトキンソンが映画『ビーン』(1997年)で一世を風靡するのは本作の14年後で、筆者も『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を公開時に初めて観た際には彼の存在を知らず、妙なコメディアンが妙に目立つ役で出てくるな、と思ったものだが、実はアトキンソンは既にイギリスのテレビ界では人気者だった。したがってイギリスの映画館でこれを観た観客は、彼が登場しただけで爆笑ものだったはず。つまり、テレビの人気者が映画にカメオ出演したという感覚だったろう。登場シーンは3シーンだけなのだが、その印象はそっくりそのままその後のMr.ビーンなので、今観直すと、本家ジェームズ・ボンドとMr.ビーンの奇跡の競演の趣がなくもない。

そしてまた、アトキンソンは2003年から、正真正銘の『007』シリーズのパロディとしての『ジョニー・イングリッシュ』シリーズに主演することになるわけなので、その点でも本作は先見の明(?)があったことになる。

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』でもうひとつトリビアを挙げておくと、ノー・クレジットで本作のマーシャル・アーツ・コンサルタントを務めていたのが、その2年後にアクション俳優としてデビューすることになるスティーヴン・セガールだ。そして、なんとセガールは本作の撮影中にショーン・コネリーにアクション・シーンの指導をしていて、コネリーの手首を骨折させてしまうというチョンボをしでかした。まさかマクローリーがそのせいで怒って彼をクレジットしないことにしたわけでもないだろうが。

その作品ゆかりの人がゲスト的にチラッと出るケース:『ドクター・スリープ』『ゴッドファーザーPARTII』『カジノ・ロワイヤル』

カメオ出演の定義が“意外な大スターがチラッと登場してビックリさせられる”ことだとすると、いわゆるスターではなく顔を知られていない人がチラッとゲスト出演するケースは、大抵はパブリシティ用の話題作りとか、本人が「記念に出させてもらって嬉しいな」と喜ぶだけのものだが、もちろんそういう例はカメオ出演と同じくらい沢山ある。

最近だと、たとえばスタンリー・キューブリック監督の名作『シャイニング』(1980年)の39年振りの続編として製作された『ドクター・スリープ』(2019年)のケースがある。続編のほうは、前作ではまだ三輪車に乗る小さな子どもだった、主役ジャック・ニコルソンの息子ダニーが成長した後の40年後の話なのだが、その中年になったダニーの役はユアン・マクレガーが演じている。そして、オリジナル版でダニー役を演じていたダニー・ロイドは大人の俳優とはならなかったのだが、本作では野球のゲームのシーンで観客としてチラッと登場している。

俳優と違って、プロデューサーや監督だと基本的にそれほど顔が知られていないから、ゲストとしてチラッと出ていても通の人でないと気が付かないことが多い。売れっ子監督だともちろんすぐに気づかれるわけだが、アルフレッド・ヒッチコック監督ばりに自作に顔を出した監督たちというのも、『地獄の黙示録 ファイナル・カット版』(2019年)のフランシス・コッポラ、『ザ・フォッグ』(1980年)のジョン・カーペンターの例などが知られている。

また、コッポラ監督の『ゴッドファーザーPARTII』(1974年)に、議会犯罪調査委員会の公聴会のシーンでプロデューサー/監督のロジャー・コーマンが調査委員の一人として出演していることがよく知られている。もちろん、それはコッポラ監督のキャリアの最初期において、コーマンが大いにアシストしてくれ、恩師と弟子という関係があったためで、同様にコーマンの許で修業を積んで売れっ子監督となったジョナサン・デミが『羊たちの沈黙』(1991年)でFBI長官役をコーマンに演じてもらったのも同じこと。

イオン・プロの本家『007』シリーズでのダニエル・クレイグ版『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)では、同作のプロデューサーを異父妹バーバラ・ブロッコリとともに務めているマイケル・G・ウィルソンが警察チーフの役でチラッと登場しているが、これは本作への思い入れが強かったからであろうか。

かくいう筆者も、C級映画製作会社トロマの作品『モンスター・イン・ザ・クローゼット/暗闇の悪魔』(1987年)の宣伝プロデューサーを務めたことがある関係で、同社の『悪魔の毒々モンスター東京へ行く』(1989年)の東京ロケの際に、製作・監督のロイド・カウフマンを撮影現場に表敬訪問したところ、なぜかその場で安岡力也の子分役(浴衣を着て電卓を叩いている役)でチラッと登場させられたことがある。……思い入れは特にないのだが(笑)。

『フォースの覚醒』の“ほぼカメオ”ダニエル・クレイグ/トム・ハーディが『レザレクションズ』出演という噂の真相

さて、カメオ出演というのが、観ている人がビックリする、つまり予期せぬ登場とはいってもすぐにそれが誰だかわかる、というのが前提なのだとすると、最近のハリウッド映画で起こっているちょっとした現象をどう捉えたらいいのだろうか。

それは、世界中の映画ファンが固唾をのんで見守っていた中、満を持して製作・公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)に、実はジェームズ・ボンドとして人気の頂点にあったダニエル・クレイグが“ほぼカメオ”で出演していたことが後から明るみに出たというケースだ。

同作品でのダニエル・クレイグは、白いアーマーと白いヘルメットに身を包んだストームトルーパーの一人として登場するので、基本的には誰が演じているのかはわからない。……だが、その登場シーンは、ファースト・オーダーの本拠地に捕えられたヒロイン、レイがフォースの力で見張り役のストームトルーパーを操って脱出するというシーンで、操られるままにレイの命令を復唱するストームトルーパーの声がイングランドなまりの英語で、わかる人にはそれがダニエル・クレイグだとわかったという次第だった。

この驚きの“ほぼカメオ”出演が実現した背景としては、同作の撮影がロンドン郊外のパインウッド・スタジオで行われていた時に、たまたま『007/スペクター』(2015年)の撮影も行われていたという偶然があった。

同様のケースとして、こちらも18年振りに製作された人気シリーズの新作『マトリックス レザレクションズ』(2021年)にトム・ハーディがカメオ出演しているらしい、という“噂”が挙げられる。――同作がサンフランシスコで撮影されていた時に、たまたますぐそばで『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021年)が撮影されていたことから、同作の共演者であるジェシカ・ヘンウィックによる「(トム・ハーディ)カメオ出演したかもね」という発言が、この情報の出どころだった。

もっとも、こちらのケースではいまだ公式にはハーディのカメオ出演は公表されておらず、筆者もかなり意識してトム・ハーディを探しながら観たにもかかわらず発見できなかった。したがって、現時点では単なる“噂”、あるいは『レザレクションズ』の話題作りとして意図的に拡散された“もっともらしい情報”の類かもしれない。

公式発表のないカメオ出演というのは、観ていた人がたまたま気づいて“発見”を拡散させたものの、あとから実は別人だったなんていうケースもあったりする。昔、ジョン・ルーリーと話していた時に「ウィキペディアの俺の頁には『バットマン』にカメオ出演って書かれてるんだけど、それは間違いで俺は出ていない」と言っていた(現在のウィキのルーリーの頁にその記載はない)。さて、ハーディのカメオ出演の真相はいかに?

文:谷川建司

『007/カジノ・ロワイヤル』(1967年)はCS映画専門チャンネル ムービープラス「​007シリーズ24作品+番外編一挙放送!」で放送

『マトリックス レザレクションズ』は2022年1月28日(金)よりプレミア配信中(デジタルレンタル/デジタルダウンロード販売)

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