タミル・ニューウェーブ映画が日本に本格上陸!『囚人ディリ』は宵から払暁までの完徹ノンストップ爆走アクション

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ライター:安宅直子
タミル・ニューウェーブ映画が日本に本格上陸!『囚人ディリ』は宵から払暁までの完徹ノンストップ爆走アクション
『囚人ディリ』©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures

2021年も残り2カ月を切りました。ここにきて、2020年以来のコロナ禍の異常事態で溜まったうっぷんを払い飛ばしてくれそうな、痛快なアクション映画が公開されます。新鋭のローケーシュ・カナガラージ監督と、人気スターのカールティがタッグを組んだ、インドのタミル語映画『囚人ディリ』がそれです。

『囚人ディリ』©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures

タミル・ニューウェーブ映画、そしてカールティの初見参

映画祭やオンライン配信など、近年は様々な方法で観ることができるようになったインド映画ですが、本作のようなタミル語の映画の劇場一般公開となるとまだまだ本数は限られていて、これまでに公開の約20本ほどの半数以上がラジニカーント出演作です。それはラジニカーントがスーパースターであることの証しなのですが、演じ手の層が非常に厚いタミル語映画界からは、もっともっと色んな俳優の作品が公開されてほしいというのが、一ファンとしての願いです。この『囚人ディリ』、ラジニ映画以外のタミル語作品としては、2014年に日本公開されたヴィクラム主演作『神さまがくれた娘』(2011年)以来のものとなるのです。

『囚人ディリ』©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures

そして本作、2000年代の中盤ごろから勢いづいてきた「タミル・ニューウェーブ」作品の、日本で初の本格的な紹介ともなりそうです。タミル・ニューウェーブ映画は、始まった頃は低予算で無名俳優を使ったものがほとんどで、リアリズムが基調の表現や、ずっしりと重たい悲劇的な筋立てが多いという印象でした。しかしそれから10年以上が経ち、監督主導、脚本重視は変わらないながら、表現やテーマの幅が広がり、コメディからアクション、猟奇スリラーまでジャンルも多様化し、カールティのようなスターバリューの高い俳優も出演するようになりました。

カールティは、1960〜80年代にヒーロー格男優だったシヴァクマールの息子、そして現役トップスターであるスーリヤ(この人にもまだ日本公開作がありません)の弟、そして兄スーリヤの妻はトップヒロインだったジョーティカー、という芸能一家の一員です。やや童顔な愛嬌のある風貌で、お気楽なコメディなどにも多く出演していますが、ハードなアクションにも定評があります。兄のスーリヤとは違い、ボディビル的な方向で体を鍛えることに興味がないとはっきり言明しているのですが、格闘になると俄然カッコよく決まるのです。

ノンストップ&ハイボルテージなアクション

本作でのアクションは、刑務所から出てきたばかりの男が、路上での不審者尋問に引っかかって警察に拘束された挙句に、麻薬ギャング対警察の一夜の攻防に巻き込まれることにより繰り広げられるもの。彼には、まず警察側の大勢の重症者をトラックで病院に運ぶ仕事が課され、次には市中の警察本部に収監された成員を力づくで奪還しようとするギャングを相手にした攻防戦となります。ワイヤーやVFXの使用を極力控えたスタント演出には手に汗握るものがあります。

『囚人ディリ』©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures

緊張感を保つために、通常の娯楽映画フォーマットではお約束のソングやダンスも入りません。しかし、その緊迫シーンの連鎖の合間に、度肝を抜くブッ飛んだ飛躍もあり、あまりの超展開に「そう来るか!」と大声を出したくなるようなシーンも。ネタバレ回避のため具体的には書けませんが、これが本作の爽快感の源でしょう。

『囚人ディリ』©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures

ヒロイズムと家族愛が織りなす、エモーショナルなドラマ

このディリという男、ワケあり風な前科者でぶっきらぼう、そのふてぶてしさには警察官を恐れる様子もありません。昔の日本の刑事ドラマの定番だった「カツ丼をぺろりと平らげる」に匹敵するような、ビリヤニのドカ食いシーンもあり、大ウケです。そんな不愛想で不遜なディリですが、まだ見ぬ娘との間のか細い絆に心を乱し、トラックの運転を一方的に命じてきた警察官に対しても仁義を通そうとする、エモーショナルなドラマも組み込まれています。

『囚人ディリ』©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures

そしてラストシーンでは、失われた日常、本来あるはずだった平穏を取り戻そうとする姿に、この1年半以上の異常事態からの出口に向かう(現状では確言できませんが、向かっていると思いたいです)自分自身を重ね合わせてしまう人もいるのではないかと思います。映画館を出ても、ラストシーンのBGMはしばらく脳内で鳴り続けることでしょう。

『囚人ディリ』©Dream Warrior Pictures ©Vivekananda Pictures

文:安宅直子

『囚人ディリ』は2021年11月19日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開

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『囚人ディリ』

大量の麻薬を押収された犯罪組織が警察に報復の罠を仕掛けた。次々と警官が倒れる中、特殊部隊の隊長ビジョイだけが難を逃れる。倒れた仲間たちを救うには5時間以内に治療が必要だったが、そこは街から遠く離れた警察の保養地。タイムリミットが迫る中、彼が頼れるのは拘留中の謎の男・ディリだけだった。猛追する暴徒たちの攻撃をかわしながら、トラックで病院をめざすビジョイとディリ。一方、80キロ離れた警察本部には、麻薬奪還に執念を燃やす凶暴な組織のリーダー、アンブ率いる別働隊の大群が迫っていた……。

制作年: 2019
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