アサイラム社の“もらい事故”案件!?『アルマゲドン2020』は魅惑の低予算<『アルマゲドン』シリーズ>最新作

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ライター:知的風ハット
アサイラム社の“もらい事故”案件!?『アルマゲドン2020』は魅惑の低予算<『アルマゲドン』シリーズ>最新作
『アルマゲドン2020』DVD発売中
価格:¥5,280(税込)
発売:ニューセレクト株式会社

名作便乗邦題シリーズ奇跡の復活

皆さんは“『アルマゲドン』シリーズ”というものをご存じだろうか。もちろん、あのマイケル・ベイ監督作『アルマゲドン』(1998年)とは一切関係はない。日本の映画配給会社アルバトロスが仕入れてきた、「主に隕石をテーマとするSFディザスター・パニック映画に、とりあえず『アルマゲドン2007』やら『アルマゲドン2008』やらとそれっぽい邦題をつけ、日本国内にリリースする」という行いをお約束事のように続けた結果、いつしか「シリーズ物っぽく」なってしまった、十把一絡げの低予算映画群を指す俗称である。

『アルマゲドン2007』(2006年/原題:『EARTHSTORM』)から始まった、この『アルマゲドン』シリーズ。毎年公開されているかのように見せかけて、実は『アルマゲドン2014』(2014年/原題:『ASTEROID VS. EARTH』)を一区切りとして、2015~2019年の間は供給が途絶えている。『シン・アルマゲドン』(2016年/原題:『EARTHTASTROPHE』)のような“ニセマゲドン”はときたま見られたものの、“20XX”の年号が入った元祖『アルマゲドン』シリーズは、約5年もの間沈黙していたのだ。が、2020年に同シリーズは、突如として謎の復活を遂げる。アサイラム社が製作した『COLLISION EARTH』(2020年)という作品が、なぜか『アルマゲドン2020』の邦題でリリースされてしまったのだ。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

というわけで今回は、珍しくアサイラム側がもらい事故を受けたパニック物、『アルマゲドン2020』を紹介していこう。

余談だが、『アルマゲドン2012』のみ2作品存在する。『アルマゲドン2012』(2010年/原題:『QUANTUM APOCALYPSE』)と、『アルマゲドン2012 マーキュリー・クライシス』(2011年/原題:『COLLISION EARTH』)だ。そう、どちらも2012年の作品ではない。

映画前半を占めるのは冗長気味な隕石トーク

現在、巨大流星群の影響で、地球上にはおびただしい数の隕石が降り注いでいた。軍部は隕石に対して核攻撃を決定するが、実は流星群の陰に隠れて小惑星“フェートン”が迫りつつあることを、彼らは認識していなかった。このままでは軍部は核弾頭を無駄撃ちした末、フェートンを避けられず全世界に壊滅的な被害がもたらされてしまう。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

この状況を正確に把握していた、科学者グウェンとその仲間たち。ただちに核攻撃の中止を進言しようと奮闘する一同だが、グウェンはかつてある作戦ミスを犯したことで、軍部からの信用を完全に失ってしまっており……というのが、本作の概要である。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

先日紹介したアサイラム作品『トップガンナー』(2020年)に出演したエリック・ロバーツが、なんと本作にも軍人役で登場している。同じ説明の繰り返しになってしまい恐縮だが、彼は『ダークナイト』(2008年)や『エクスペンダブルズ』(2010年)などの大作から、『シャークトパス』(2010年)や『ムカデ人間3』(2015年)などのイロモノにまで、仕事を選ばず出演しているシブめの俳優だ。ほかには『ワイルド・ブレイク』(2020)に出演したベッカ・バッカルーが本作にも顔を覗かせている。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

さて本作の内容だが、正直なところ退屈さは否めない。主要人物はなにやら専門用語っぽい言葉を互いにブツブツと交わしながら、ひたすらその辺の森を調査もといブラブラ散策するパートが本編の大部分を占めている。もちろんそこに起伏や見所などあるはずもなく、しかめ面の科学者と軍人による冗長な隕石トークがただただ垂れ流され、その話の薄さは評価し難い。特に前半は導入部ということもあり隕石や天変地異の描写が少なめなため、一層フックの乏しさが際立つ羽目になっている。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

VR描写チープ問題 エリック・ロバーツ出すぎ問題

昨今のトレンドを反映してか、作中では時折主要人物がVRグラスを装備し、バーチャルリアリティーの世界でわちゃわちゃ事態を分析したり計算したりするシーンがしばしば合間に挟まる。が、画面前方下部にチャチな謎立体オブジェクトがさながら回転寿司のごとくスライドしているそのVR空間は、あまりに安っぽい。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

おまけにVR機器装備中の主要人物が、現実世界で目隠し状態のまま両手を虚空に掲げ、移動中の車の後部座席で手探りめいてバタバタしているシーンなどが、ハイテクVR空間シーンと交互に流れる。これは確かにリアルで、第三者から見たVR機器装備者の様子とはそういうものではあるにしろ、世界の危機であるにもかかわらず、チープなガジェットで遊んでいるようにしか見えないその絵面は少々滑稽だ。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

一応、中盤以降には「前半とはうって変わって主要人物の半径数メートル以内にガンガン隕石が振ってくる割に、思いのほか皆軽症で済んでいる」というトンデモ描写や、力技による事態の解決方法など、比較的いい意味での荒唐無稽さ、非現実的な面白おかしさが見受けられなくもない。

『アルマゲドン2020』©2020 The Global Asylum, Inc

ところで2021年には、『アルマゲドン2021』(2020年/原題:『ASTEROID-A-GEDDON』)という新作がリリースされている。そして同作には、どういうわけだかまたしてもエリック・ロバーツが出演している。なんらかの呪いにでもかけられているのだろうか。

文:知的風ハット

『アルマゲドン2020』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年8~9月放送

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『アルマゲドン2020』

巨大流星雲が地球に接近する影響で、世界中が隕石雨の猛威にさらされていた。軍は核ミサイルでの隕石迎撃を決定、作戦は実行に移される。だが科学者のグウェンたちは、さらなる危機の到来を察知する。直径4キロの小惑星“フェートン”が軌道を外れ、流星雲の陰に隠れて地球に接近していたのだ。

制作年: 2020
監督:
出演:
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