柳楽優弥と有村架純が語る 撮影秘話と三浦春馬の存在『映画 太陽の子』日本の原爆開発を描く衝撃作

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ライター:SYO
柳楽優弥と有村架純が語る 撮影秘話と三浦春馬の存在『映画 太陽の子』日本の原爆開発を描く衝撃作
有村架純 柳楽優弥

史実ベースの衝撃作×三大若手俳優

NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(2017年)、2021年2月より放送中のNHK大河ドラマ『青天を衝け』などで知られる黒崎博監督が、構想10年をかけて生み出した渾身の力作『映画 太陽の子』が、2021年8月6日(金)に劇場公開を迎える。

本作は、事実をもとに「日本の原爆研究」というセンセーショナルなテーマを劇映画化したもの。1945年の夏、京都。原爆開発の密命を受けた京都帝国大学の学生・修(柳楽優弥)とその幼なじみ・世津(有村架純)、戦地に向かう修の弟・裕之(三浦春馬)の日々を描いていく。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

大勢の人命を奪うかもしれない研究と知りながらも没頭していく修、世の中に対する疑念を抱えながら生きる世津、本音を隠して「国家のため」と言わざるを得ない裕之――混迷の時代に翻弄される3人の姿が、観る者の胸を激しく揺さぶることだろう。それは、黒崎監督の卓越した筆致と真摯な演出、アカデミー賞受賞作『愛を読むひと』(2008年)の作曲家ニコ・ミューリー、『アリー/ スター誕生』(2018年)のサウンドデザイナー、マット・ヴォウレス、『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年)の出演者ピーター・ストーメアといったハリウッドのトップクラスのクリエイターやキャスト勢もさることながら、全身全霊で役を生き切ったキャスト陣の“渾身”がなせる業といえる。

今回は、柳楽優弥と有村架純にインタビュー。気心の知れたふたりが、互いの才能を語り合う。

有村架純 柳楽優弥

僕ら自身の距離感とキャラクター像に重なる部分があった

―WOWOWのCMや『有村架純の撮休』(2020年)でも共演されてきましたが、改めて役者として、お互いをどう捉えていますか?

柳楽:有村さんは、ずっと変わっていないかな(笑)。お仕事の場でお会いする際の雰囲気は、心強い人。ずっとそうですね。(有村に向かって)でも、それってすごいことですよね。

有村:いやいや……(恐縮する)。柳楽さんは初めてお会いしたときからは、ちょっと喋れるようになりました(笑)。

柳楽:(笑)。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

有村:私も緊張していたし、お会いする回数が増えていくごとに話せることも増えてきて、とても嬉しいです。あと、柳楽さんは嘘がない人。口数が多くないからこそ、吐き出す言葉に真実味があるんですよね。役ごとに雰囲気もガラッと変わりますし、役も作品も自分の重力で引き込んでいくといいますか、吸引力がすごい方だなと思います。そういった“核”があるんですよね。

柳楽:自分ではわかんないな(照笑)。有村さんには、すごいところがいっぱいあります……。まず、すごくなければ朝ドラのヒロインに選ばれませんもんね(笑)。

有村:(笑)。

柳楽:大きなステージでしっかりと結果を残してきた方だからこそ、あふれ出る人間性や安心感が、スペシャルだなと感じます。真似してもできないことですし、経験値もすごいし、素敵ですね。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

―柳楽さんは、本作の完成披露上映会の場で「三浦春馬くんは戦友であり、ライバル」と仰っていましたね。

柳楽:春馬くんはまとめる力がすごいですね。

有村:うん、そうですね!

柳楽:僕は割と「そうしたいけど空回っちゃう」タイプなので、春馬くんがいることで距離感がグッと役柄に近づいていった感があります。今回演じたキャラクターと、元々の僕らの距離感が重なる部分があったので、「キャスティング、すごいな……」と思いました。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

有村:春馬さんが現場にいてくれると、すべてを中和してくれる感じがありました。とても不思議な存在感があって、どこにも属していない感じというか、誰と芝居をしても居心地のよい雰囲気を作って下さる方だと思います。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

黒崎監督から「共感しやすい主人公ではない」と言われた

―「日本の原爆研究」を描いた作品ですが、改めて『映画 太陽の子』との出会いを教えてください。

柳楽:素晴らしい脚本で「ぜひやりたい」という気持ちと、僕はこの事実を知らなかったので「参加できるなら色々と勉強しなくちゃいけないな」という気持ちがありました。

有村:脚本も素敵でしたし、黒崎監督が10年練られた作品とのことで、熱量や“想い”を強く感じましたね。戦時中のお話でありながら、青春ストーリーにもなっていて、色々な面で惹かれました。

柳楽優弥

―柳楽さんが演じた修は、原爆の研究に邁進する学生という難役です。そして有村さんが演じた世津は、この時代において自分の未来を意思決定する強さを持っている。

柳楽:研究者の方が登壇する勉強会を開いていただいて、どういうことをやっているのか、作業についても説明を受けました。みんなが同じスタート地点だったので、一緒に学びながら前進できたのは良かったです。

黒崎監督からも「共感しやすい主人公ではないので、後半になるにつれて修を疑う瞬間が増えてくると思う」とは言われました。『映画 太陽の子』は「こういう風に思ってください」という明確な投げかけがあるというよりも、観た方が色々と捉えられるような、自分の考えを持てる作品だと思います。若い方にもぜひ観ていただきたいですね。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

有村:「共感」というところで言うと、世津は観てくださる方たちにとっても親近感がわくキャラクターだったのかなと思います。そのため、なるべくネガティブに見えない方法で作ることを心がけました。幼なじみである修や裕之を愛おしく見守っていたり、人間的な愛情を持つことに気を付けつつ、戦時下に生きる葛藤を考えながら演じました。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

―有村さんは『ひよっこ』に続く黒崎博監督とのタッグですが、黒崎監督の魅力やすごさはどういったところにあると感じていますか?

有村:黒崎監督は役者が考えている以上に役のことを捉えてくださっていて、いつもハッとさせられます。同時に「そこまで考えていなかった……」と自分の浅はかさにもショックを受けますね。

それくらい作品やそれぞれの役に愛情を込めて作っている方なので、『ひよっこ』のときも『映画 太陽の子』のときも、「この人と一緒にいたら絶対に良いものを作れる」という信頼感をものすごく感じていました。実際に仕上がったものを観ると本当に素晴らしい画になっていて、役の心情を切り落とすことなく繋げてくれる方だと思います。

有村架純

緊張感があるなかで、一球入魂の精神で本番に挑んだ

―修が比叡山の頂上でおにぎりを食べる長回しのシーン、柳楽さんの演技に圧倒されました。あの場面は、どうやって出来上がっていったのでしょう。

柳楽:朝、比叡山のふもとに集合し、頂上を目指して歩いていくんですが、その道中もしっかり撮影して、頂上に到達してからあのシーンに移るという、なかなか体力のいる撮影でしたね。

頂上のシーンも、わかりやすい心理描写ではないですよね。修が戦争によって狂気じみた発想になってそこに向かうわけだから、共感できたかというとまた違っていたんです。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

―今回のおふたりの演技を拝見していて、「再現性が困難だ」と感じました。つまり、何回もできるタイプのお芝居ではない。非常に生っぽくて、情感がこもっているといいますか。

柳楽:世津や裕之といるところは普通の会話という感覚で、あまり変化はないんです。もちろん時代として戦時下ではあるけれども、いまこうやってお話ししているのと同じような感じですね。一方、研究室や海のシーンといった緊張感があるところでは一球入魂といいますか、そういうモチベーションになっていきました。おっしゃる通り、何回もできるようなシーンじゃないものが多かったですね。

有村:世津が登場するシーンは彼女の繊細な心情が描かれていたので、そこを何とか見落とさないように、ただのサブキャラにならないようにしなければならないと感じていました。つまり、世津という一人の女性がその時代を生きているように見せないといけない。そうした意味で、毎シーン緊張感はありましたね。

有村架純 柳楽優弥

―柳楽さん、有村さん、三浦さん揃ってのシーンですと、やはり海のシーンは観る側も感情を持っていかれます。

柳楽:朝方に撮っていたのですが、時間も限られているし物理的にも何回も撮れないので、緊張感がありましたね。2つのカメラで一発撮りでした。自分たち自身にも何が起こるのか、本番まで分からないんですよ。実際に海に入って、春馬くんがいるところにたどり着くまで、引波が強くてなかなか前に進めなかったです。スタッフも含め、現場にいい緊張感が出ていた気がしますね。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

名優・田中裕子との共演で得たもの

―緊張感で言うと、田中裕子さんのお芝居を受け止める、というところも大きな見どころです。

柳楽:裕子さんは、初舞台の『海辺のカフカ』(2012年)で初めてご一緒して、今回で2回目でした。やっぱり緊張しますし、でも居心地の良さもあって。裕子さんがその場にいてくれると“映画になる”んですよね。僕が裕子さんに抱く感情と、修が母親のフミに抱く感情が重なるところもあって、「キャスティング、すごいな……」と思いました。今日、これ言うの2回目ですね(笑)。

有村:裕子さんとは撮影の合間に少しお話しさせていただいたのですが、とても柔らかい方で、漂うオーラがすごかったですね。國村隼さんもそうですが、「どんな人生を歩んだら、このような人間になれるんだろう?」と知りたくなるほど奥ゆかしい方でした。それがお芝居にもにじみ出ているからこそ、存在感があるんだなーとか、いろいろ考えてしまって(笑)。自分の中で“憧れ像”が膨らんでいきましたね。

『映画 太陽の子』©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

―本作を含め、柳楽さんは『HOKUSAI』(2021年)や『浅草キッド』(Netflixで2021年配信予定)、有村さんは『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021年)など、生まれる以前を描いた作品が近年より多くなってきたように感じています。そのぶん、演じる役の幅も広がってきたのではないですか?

柳楽:なるほど、確かに多いですね。ただ、意識的ではないです。現代ものじゃない作品は調べなくてはいけないことも含めて、学ぶことが多いから面白いですね。ファッションもそうだし、自分たちが知らない時代を少しでも知ることができる喜びがあります。演じていても楽しいですね。

有村:私も「時代物をやろう!」という意識はなくて、そのタイミングで出会う作品がそうだった、という感覚ですね。『映画 太陽の子』を含め、自然とその作品たちにたどり着けた気がしています。

有村架純 柳楽優弥

取材・文:SYO
撮影:落合由夏

『映画 太陽の子』は2021年8月6日(金)より全国公開

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『映画 太陽の子』

1945年の夏。軍の密命を受けた京都帝国大学・物理学研究室の若き科学者・石村修と研究員たちは、原子核爆弾の研究開発を進めていた。研究に没頭する日々の中、建物疎開で家を失った幼馴染の朝倉世津が修の家に居候することに。

時を同じくして、修の弟・裕之が戦地から一時帰郷し、久しぶりの再会を喜ぶ3人。ひとときの幸せな時間の中で、戦地で裕之が負った深い心の傷を垣間見る修と世津だが、一方で物理学に魅了されていた修も、その裏にある破壊の恐ろしさに葛藤を抱えていた。そんな二人を力強く包み込む世津はただ一人、戦争が終わった後の世界を見据えていた。

それぞれの想いを受け止め、自分たちの未来のためと開発を急ぐ修と研究チームだが、運命の8月6日が訪れてしまう。日本中が絶望に打ちひしがれる中、それでも前を向く修が見出した新たな光とは――?

制作年: 2021
監督:
脚本:
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