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タランティーノが15年前の柳楽優弥(『誰も知らない』)にカンヌ映画祭男優賞を授与したワケ

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ライター:#BANGER!!! 編集部
タランティーノが15年前の柳楽優弥(『誰も知らない』)にカンヌ映画祭男優賞を授与したワケ
クエンティン・タランティーノ監督、柳楽優弥

2004年、是枝裕和監督の『誰も知らない』で少年・明を演じ、カンヌ映画祭で最優秀男優賞に輝いた俳優・柳楽優弥。その後の大活躍は誰もが知るところだが、彼の俳優としてのキャリアが本格的にスタートするきっかけを作った人物がいる。クエンティン・タランティーノだ。

『誰も知らない』
監督:是枝裕和
Blu-ray&DVD発売中 
発売・販売元:バンダイナムコアーツ
©「誰も知らない」製作委員会

タランティーノは、『誰も知らない』がコンペティションに出品された第57回カンヌ映画祭で審査委員長を務めている。柳楽の男優賞は満場一致の選出だったようだが、その口火を切ったのがタランティーノだった。ということで、このたび2019年8月30日(金)より公開される映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のプロモーションのため来日したタランティーノ監督と、柳楽優弥による対談が実現!

真摯な映画トークに始まり、柳楽からタラ監督へのサプライズ・プレゼント贈呈も行われるなど、終始和やかな対談となった。まずは、タランティーノ監督と会う直前の柳楽さんに今の心境を語っていただきました。

14歳の若手俳優・柳楽優弥の才能をいち早く見抜いたタランティーノ

柳楽優弥

―柳楽さんにとってタランティーノ監督はどんな存在ですか?

柳楽優弥:タランティーノ監督は、2004年のカンヌ映画祭で審査委員長を務められていて、その時に『誰も知らない』に出演した僕を最優秀男優賞に選んでくれた方です。ただ、実際に会ったことはありません。当時、中学生だった僕は、中間試験のために、授賞式前にカンヌから帰国していました。いま30歳直前になり、俳優としては15年ほどキャリアを積んできましたが、ようやく会える、という気持ちです。

―いちばん好きなタランティーノ監督の作品は?

柳楽:最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ですね。最後の展開が面白すぎて、ずっと笑っていました。もうブラッド・ピットの演技が面白すぎて……(笑)。

―タランティーノ監督の作品に影響を受けることはありましたか?

柳楽:僕自身が直接影響を受けているということはないですが、ご一緒した監督さんたちの中に、タランティーノ監督から影響を受けているのだろうなという方はいました。色合いや鋭さ、世界観に憧れている監督は沢山いると思います。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

―以前、タランティーノ監督の作品に出演してみたいとお話しされていましたよね。

柳楽:タランティーノ監督が生涯10本しか映画を撮らないと宣言していて、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は9作目。「過去作より今作の興行が良かったら、もう映画を撮らない」なんてことをインタビュー記事で読んだので、「やばいな!」と思っています。今まではタランティーノ監督の作品に出たいという気持ちはありましたが、今日はご本人に会えるということが信じられなくて、どうなるのか楽しみです。普段より無口になっちゃいそう(笑)。

ついに念願の初対面! 俳優・柳楽優弥がタランティーノ監督を質問攻め!?

柳楽:柳楽優弥です。

タランティーノ:あなたのことはよく知っているよ(笑)。

柳楽:早速ですが、タランティーノ監督に質問をしてもいいですか?

タランティーノ:もちろん!

柳楽:主演を務めるためには何が重要だと思いますか?

タランティーノ:いい質問だね。私は「責任感」が重要だと思う。主演俳優は、映画制作を引っ張っていく存在であるべきだと思うね。主演である君の演技が物語を作っていき、物語の最初から最後まで観客を導いていくことが求められるんだ。監督と主演俳優は、観客を意識すべきだと思うよ。俯瞰的に作品を見渡すことが大切だ。

共演者や制作側は、君の振る舞いを見ている。君が周りの人たちに敬意を表し、自分の仕事を精一杯務め、周りのプロフェッショナルたちと上手く仕事が取り組めていたら、同じことを周りの人たちもやらないといけないと思うはずさ。例えば君の振る舞いが悪く、自己中心的だと、他の人たちも同じような振る舞いになってしまう。主演は見本となる存在なんだ。善い行いをするか、悪影響を及ぼすか。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

柳楽:2004年のカンヌ映画祭での僕の印象を教えてください。

タランティーノ:みんな、君の演技が大好きだったよ。『誰も知らない』は、カンヌ映画祭で審査をした際に序盤に観た作品でした。たしか、その時はコンペに出品された全22作品を観たんだ。『誰も知らない』は、物語や子どもたちの会話に惹かれたね。そのあとで『誰も知らない』よりも規模の大きな作品など、色んな映画を観た。それでも、『誰も知らない』がずっと頭の片隅にあったんだ。

そしてコンペの最後の作品を観た後に、審査員みんなで集まって映画の評論をしていた時、自然と『誰も知らない』の話題になったんだ。僕たちが最優秀男優賞を選ぶときに話していたのは、「柳楽優弥が物語をリードする“主演俳優”として、最も優れていたのではないか」ということだった。君はとても自然体で演じていて、とても驚かされたよ。君は“物語を背負って”いたんだ。

あなたの演技によって観客は、物語をどう解釈し、感じれば良いのか理解できたんです。映画の中で、君が演じるキャラクター(明)は他の子どもたちの面倒を見ているけれど、それは役どころだけではなく、君自身も主演俳優として皆を引っ張っているように思えた。主演としての役割を全うしていたから、あなたに最優秀男優賞を授与することにしたんだ。

柳楽:タランティーノ監督にとってカンヌ映画祭はどんな存在ですか?

タランティーノ:1992年に『レザボア・ドッグス』を引っ提げて初めてカンヌ映画祭を訪れてからずっと、この映画祭が大好きさ。最新作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』もカンヌで初上映した。カンヌの実行委員もみんな優しくしてくれるし、とても感謝しているよ。一生懸命映画作りをして、それを映画祭で世界に向けてお披露目できるから、何だかスポーツイベントに行くみたいな気分なんだ、“王者決定戦”みたいなね(笑)。世界中のメディアも集結して、僕の映画を観て評論する。カンヌ映画祭で映画を上映することは、とても興奮する出来事だよ。

柳楽:僕は14歳のとき、タランティーノ監督にカンヌ映画祭で最優秀男優賞に選んで頂いたので、カンヌは特別な思い入れのある場所です。その出来事が自分を慌てさせた時期もありましたが、30歳手前でタランティーノ監督に会えて、今は良かったなと思っています。また、新たなステップに向けて頑張っていきたいです。

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 CS映画専門チャンネル ムービープラスで2021年6月放送

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

レオナルド・ディカプリオ × ブラッド・ピット初共演!
1969年8月9日、事件は起こった。この二人にも ─ ラスト13分、映画史が変わる。

制作年: 2019
監督:
出演: