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ザムンダ、フォーエバー!? アマプラ配信中『星の王子 ニューヨークへ行く 2』 新旧豪華キャストを迎え33年ぶりの続編

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ライター:#BANGER!!! 編集部
ザムンダ、フォーエバー!? アマプラ配信中『星の王子 ニューヨークへ行く 2』 新旧豪華キャストを迎え33年ぶりの続編
『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios
Amazon Prime Videoにて独占配信中

エディ・マーフィ絶頂期の伝説的作品!

コメディ王、エディ・マーフィの代表作『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988年:ジョン・ランディス監督)は日本でも当時さんざんテレビ放送されたので、映画ファンでなくとも「なんかゴキゲンなコメディだったな」と、ぼんやりながらも記憶に残っている人は多いだろう。コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で若くして人気者となったエディは、『48時間』(1982年)や『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズ(1984~1994年)で映画デビューを果たし、こちらも大ヒットを記録した。

そんなエディ(当時まだ27歳!)の人気にあやかって製作された『星の王子 ニューヨークへ行く』は、植民地支配されなかったアフリカの裕福な(架空の)王国、ザムンダの王子アキーム(エディ)が理想の結婚相手を求めてアメリカへ行く、という物語。歯磨きからトイレ後のお尻拭きまで身の回りの世話を全て召使いがしてくれるような環境から、いきなり米NYクイーンズのスラムに降り立ったアフリカの王子が巻き起こすカルチャー/身分ギャップ満載の、99%黒人キャストによる爆笑コメディ映画だ。

架空のアフリカ王国を描き、黒人社会に大きな希望と影響を与えた映画といえば『ブラックパンサー』(2018年)だが、その30年以上前に“イケてるアフリカ”を提示した『星の王子~』。逆に言うと同様のテーマを持つ長編実写映画が長らく作られていなかったことになるのだが、同作がアフリカ系アメリカ人に与えた影響は我々の印象よりもはるかに大きく、あのビヨンセ&ジェイ・Zが家族でザムンダ風の仮装をしたことが大きな話題になるなど、いまだにカルト的な支持を得ている。

思わず涙が……エディ&アーセニオ演じる“あのキャラ”たち、みーんな復活!

そんな奇跡の、もしくは満を持しての続編と言える『星の王子 ニューヨークへ行く 2』はAmazon Primeオリジナル作品ということで、たまたまテレビで鑑賞した当時と同じように、気軽に家庭で観ることができるのも嬉しいところ。

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios
Amazon Prime Videoにて独占配信中

とはいえその内容は期待を大きく上回る充実ぶりで、アーセニオ・ホールやシャーリー・ヘドリー、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ジョン・エイモスら1作目のキャスト陣はもちろん、エディと交流が深いベテラン俳優やコメディアンら新キャストがズラリと顔を揃え、さらに音楽業界からの超豪華なカメオ出演も多数という、最初から最後まで大盛り上がり間違いなしの絢爛さだ。

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios
Amazon Prime Videoにて独占配信中

予告編を観るかぎり、どこに子作りする時間があったんだ問題(※ここに関してはモヤり要素あり)や、床屋の爺さんたちは何歳になってんだ問題(あの「クンタ・キンテ~」がもう一度聞けると思うと涙が出てくる)、ランディ・ワトソン&セクシャル・チョコレートまだ現役なのかよ問題、マクダウェルの経営はどうなってるのか問題、そして古くさい風習がいまだに残っているのか問題などなど、気になる要素が山盛り。それらは観ていただければ全て解決するので言及は避けるとして、リアルタイムで見ていたアラフォー以上の世代はもちろん、最新ブラックカルチャーにどハマリ中の若い世代まで幅広く楽しめる内容になっている。

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios
Amazon Prime Videoにて独占配信中

また、Netflix『ルディ・レイ・ムーア』(2019年)でエディと抜群の相性を証明したウェズリー・スナイプスが隣国ネクスドリアの武闘派イジー将軍としてオイシいところを持っていったり(部下を演じているラッパーのリック・ロスはザムンダの宮殿のロケ地として超豪華な自宅を提供したらしい)、アキームの息子ラヴェルをジャーメイン・ファウラー、長女ミーカをキキ・レイン(次女役はエディの実娘ベラ)が演じるなど、次世代を担う注目の若手たちを多数起用しているところも嬉しい。

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios
Amazon Prime Videoにて独占配信中

当時ナイル・ロジャースらが手がけた主題歌「Coming to America」は大ヒットしたそうだが、本作でボビー・セッションズが歌う「I’m A King feat.ミーガン・ジー・スタリオン」もなかなか景気の良いナンバー。劇中で泥酔したリサ王妃たちが歌うのがデジタル・アンダーグラウンドの「The Humpty Dance」(1989年リリース)なのはアラフィフ・ファンへのサービスだろうか。

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios
Amazon Prime Videoにて独占配信中

サタデー・ナイト・ライブ組も活躍!しっかりと“今”を反映させた誠実な仕上がり

当時かなり衝撃だった“アソコ洗い係”のシークエンスをレスリー・ジョーンズ演じるラヴェルの母マリアが100倍笑えるド下ネタに昇華していたり、頼れるスラッカーなリームおじさんをトレイシー・モーガンが素のまんまで演じていたり、コリン・ジョストがベンチャー企業のいけすかない白人面接官役を押し付けられていたりと、新旧SNL組が活躍。王国内で放送している<ザムンダ・ニュース>のキャスター役に南アフリカ出身の人気コメディアン/司会者、トレヴァー・ノアを起用しているところもニクい(ニュース前の「This is ZNN♪」の“声”にも某キャスト絡みでひとネタあり)。

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』(c)Images courtesy of Amazon Studios

かつて『ブラックパンサー』のライアン・クーグラー監督が、アキームの息子メインの続編アイデアを売り込んだもののエディからダメ出しされたというのは“らしい”エピソードだが、中盤以降のラヴェルの髪型はどことなくキルモンガーっぽさもあって、ちょっとだけクーグラー監督&マイケル・B・ジョーダン版を観てみたかった気も……(衣装デザインは両作ともルース・E・カーターが務めている)。ともあれ貧困青年の立身出世物語に終始せず、旧態依然とした社会に立ち向かう女性たちへのエンパワーメント視点も盛り込んだ、誠実さを感じる仕上がりになっている本作。Amazon Prime Videoでは1作目も配信中なので、ぜひぶっ通し鑑賞してみては?

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』©Images courtesy of Amazon Studios
Amazon Prime Videoにて独占配信中

『星の王子 ニューヨークへ行く 2』はAmazon Prime Videoで独占配信中

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『星の王子 ニューヨークへ行く 2』

アキームとセミが帰ってきた! 舞台は緑豊かなザムンダ王国。新国王アキームと忠実な友、セミは偉大なるアフリカを出て、すべてが始まった場所、ニューヨークのクイーンズ地区へと再び旅立つ。新たなドタバタと冒険の旅が今、始まる。

制作年: 2021
監督:
出演: