あのエディ・マーフィが帰ってきた! 伝説の黒人コメディアンを描いたNetflix『ルディ・レイ・ムーア』

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ライター:久保憲司
あのエディ・マーフィが帰ってきた! 伝説の黒人コメディアンを描いたNetflix『ルディ・レイ・ムーア』
Netflixオリジナル映画「ルディ・レイ・ムーア」独占配信中

ルディ・レイ・ムーアは伝説のコメディアンにしてラップの始祖!?

伝説の黒人コメディアンを映画化した『ルディ・レイ・ムーア』(2019年)が面白い! いや面白いだけじゃない、感動しました。いい映画なんです。こんな映画を作ってくれるNetflixにありがとうと言いたい。主役を演じるのは、なんとエディ・マーフィ。マイケル・ジャックソンもびっくりな赤い革ジャンを着ていた彼が、お腹ぽっこりな演技をしてくれてます。

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実在した伝説的コメディアン兼ヒップホップスター、ルディ・レイ・ムーアを、アカデミー賞にもノミネートされたエディ・マーフィが熱演! お下劣カンフーマスター”ドールマイト”が、逆風吹きすさぶ1970年代の映画界にブラックスプロイテーション旋風を巻き起こす

監督は、クリスティーナ・リッチとサミュエル・L・ジャクソン共演のトンデモ映画『ブラック・スネーク・モーン』(2006年)のクレイグ・ブリュワー。『ブラック・スネーク・モーン』はセックス依存症のクリスティーナ・リッチをサミュエル・L・ジャクソンが拉致監禁して調教するんですけど、これだけの情報だとトンデモ映画にしか思えないでしょうが、結構いい映画なんですよ。観られてない方はお勧めです。

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脚本はエド・ウッドの伝記映画『エド・ウッド』(1994年)や、『ラリー・フリント』(1996年)『マン・オン・ザ・ムーン』(1999年)のスコット・アレクサンダー&ラリー・カラゼウスキー。『ルディ・レイ・ムーア』は、『ブラック・スネーク・モーン』と『エド・ウッド』が合体したような映画なのです。

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でも主人公はルディ・レイ・ムーアなので、なんかジェームス・ブラウンみたいなんです。って書いてもかなりのマニアしかルディ・レイ・ムーア、そして彼が作り上げたキャラクター、ドールマイトのことを知らないと思うのですが、僕もキワモノ的な人かなと思っていました。

でも今作を見て、こんなに色々なことを考えていた人だったのかと驚きました。彼の『ドールマイト』(1975年)『ヒューマン・トルネード』(1976年)『ピティー・ウィートストロー』(1977年)『ディスコ・ゴッドファーザー』(1978年)という作品を見直したいです。

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彼がラップのオリジネイターの一人だろうとはずっと思っていたんですけど、お笑いでもここまで革新的なことをやっていたとは。今回スヌープ・ドッグが出演しているのは、そんな彼へのリスペクトなんでしょう。

自分だけの“王国”を作ろうとした黒人アーティストたち

ルディ・レイ・ムーアがなぜジェームス・ブラウンみたいに思えるのかは、ネタバレになるのであまり詳しく書かないですが、ジェームス・ブラウン、マイケル・ジャクソン、プリンスは自分たちの“王国”を作ろうとしましたよね。僕はそれがカッコいいなと思うのです。

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ビジネスの王国のようで(マイケルのは違いますけど)、子供が秘密基地を作っているような感じがいいんです。ジョージ・ルーカスの<ルーカス・フィルム>やスピルバーグの<ドリームワークス>とは、どこか違う。白人社会で、黒人が自分たちの権利を守っていくためには、仲間も巻き込んでやっていかないと潰されるという気持ちから生まれるのでしょう。なんか楽しそうなんですよね。ルーカス・フィルム、ドリームワークス、ディズニー、ピクサーも全部楽しそうですけどね。便所掃除のおっちゃんでもいいんで、できたらそんな会社に毎日出勤したいです。

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ルディ・レイ・ムーアも映画のことはよく分からないけど、映画を作るためにはこういったスタジオという王国を作らないといけないと思ったんでしょう。普通、そんなこと思うか? スタンダップ・コメディアンが。当時はブラックスプロイテーション全盛の頃だったんですけど、彼がやらなければ誰も、黒人の黒人による黒人のためのお笑い映画を作らなかったなんて不思議です。黒人は全部、自分たちでやらないといけなかった。この戦いが映画を盛り上げていくんです。

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「なぜエディ・マーフィが今頃ルディ・レイ・ムーアを演じるねん」という批判もあるそうですけど(売れなくなったルディ・レイ・ムーアが「助けてくれ」と電話したのに無視していたそうです)、あのウェズリー・スナイプス、僕の大好きなクレイグ・ロビンソン(『スモーキング・ハイ』(2008年)『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』(2013年)ほか)、タイタス・バージェス(『アンブレイカブル・キミー・シュミット』(2015年~)ほか)など、濃い黒人役者が集まったのもエディ・マーフィがルディ・レイ・ムーアを演じたからでしょう。

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あっ、クリス・ロックもちょっと出てます。向こうのお笑い道は過去には色々あったかもしれませんが、脈々と流れていて楽しそうです。

文:久保憲司

『ルディ・レイ・ムーア』はNetflixで独占配信中

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『ルディ・レイ・ムーア』

70年代のLAでくすぶっていたコメディアンのルディ・レイ・ムーアだが、とことん下品に演じたキャラ"ドールマイト"が大当たりし、彼主演の映画製作にすべてを懸ける。

制作年: 2019
監督:
出演:
  • BANGER!!!
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