「隠された真実」は本当にあるのか?『アンダー・ザ・シルバーレイク』と『世紀末オカルト学院』の共通点

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ライター:藤津亮太
「隠された真実」は本当にあるのか?『アンダー・ザ・シルバーレイク』と『世紀末オカルト学院』の共通点
『アンダー・ザ・シルバーレイク』Blu-ray&DVD発売中 価格:Blu-ray ¥2,000+税/DVD ¥1,143+税 発売・販売元:ギャガ /『世紀末オカルト学院』©A-1 Pictures/Aniplex・テレビ東京

都市伝説サスペンス映画とオカルト・コメディ・アニメの意外な関係
【アッチ(実写)もコッチ(アニメ)も】

様々な広告やTV番組の中に“特別なメッセージ”が暗号のように忍ばせてある。普通の人ならば「都市伝説」「妄想」と一蹴しそうな発想だが、この“隠された暗号”に取り憑かれてしまう人間もいる。『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018年)の主人公サムもそんな人間のひとりだ。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』© 2017 Under the LL Sea, LLC

サムは、ロサンゼルスのシルバーレイクに住む青年。向かいに引っ越してきた女性サラと偶然親しくなるが、その翌日、突然サラは姿を消してしまう。もぬけの殻になったサラの部屋に残されていたのは、壁に描かれた不思議な記号だけ。サムは、サラの行方を追おうとするが、その過程で様々な“謎”がたち現れ、サムをシルバーレイクの“暗部”へと導いていく。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』© 2017 Under the LL Sea, LLC

ここで“謎”にも“暗部”にもクォーテーションマーク(“ ”)をつけたのは、それが本当に隠されたメッセージを暗示する謎なのか、サムの目にしたものが本当に暗部なのか、この映画はそこをすぐわからないように、曖昧に描いているからだ。例えば、サムはあるバンドの歌に隠されたメッセージがあると考え、それを“解読”する。そして訪れた場所で、確かにサムは誰も知らない“真実”と出会うことになる。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』© 2017 Under the LL Sea, LLC

だが観客はこれがサムの妄想なのか、それとも単なる偶然で起きた出来事なのか、本当に隠された真実があるのか、にわかには判別することができない。観客は、意味と無意味の間にある“意味ありげ”という領域に、宙吊りにされてしまうのだ。そのうち観客は、画面に映る細部がどれも“意味ありげ”に見えてくるようになる。そのムードで観客を牽引していくのが、この映画の面白さでもある。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』Blu-ray&DVD発売中
価格:Blu-ray ¥2,000+税/DVD ¥1,143+税
発売・販売元:ギャガ

意味ありげに見えるのは、「そこに隠された真実があるはずだ」と思って見るからだ。ここで思い出すのは、オカルトの語源がラテン語の“隠されたもの”を意味する単語に由来しているということ。隠されたものを探り当てようとするサムの行動は、本来的な意味でオカルト的なものなのだ。

オカルトを名乗りつつ真正面からビジュアル化したコメディアニメ『世紀末オカルト学院』

そんなオカルトをタイトルに盛り込んだ『世紀末オカルト学院』(2010年)は、ノストラダムスの大予言が起きるといわれていた1999年7月が舞台。長野の皆神山(“日本のピラミッド”としてそのスジでは有名)にある私立ヴァルトシュタイン学院は、学長や生徒が日々オカルトを研究しており、敷地内で奇妙な事件も起きていることから付近の住民からは「オカルト学院」と呼ばれていた。

『世紀末オカルト学院』©A-1 Pictures/Aniplex・テレビ東京

そのオカルト学院の学長が死に、娘のマヤが学長となるところから物語が始まる。そしてそのマヤのもとに、2012年の未来から、超能力者の内田文明がタイムスリップして現れる。文明は、宇宙人に侵略された未来を変えるため、「ノストラダムスの鍵」を探すため、1999年へとやってきたのである。

『世紀末オカルト学院』©A-1 Pictures/Aniplex・テレビ東京

本作は作中に降霊術、ミステリーサークル、UFO、UMAなど、定番のオカルト要素が一通り登場して、番組を盛り上げる。ただし「オカルト」を冠してはいるものの、これらのオカルト要素は特に隠されてもいない。どのオカルト要素も、コメディタッチの中であっけらかんと、正面からビジュアル化されている。その代り(といっていいかわからないが)、唯一その実態がわからない=隠されているのが「ノストラダムスの鍵」で、これが果たして何なのかが作品を牽引するポイントになっている。

『世紀末オカルト学院』©A-1 Pictures/Aniplex・テレビ東京

「オカルト=隠されたもの」を扱いながら両極端な2作品の唯一の共通点とは?

「隠されたもの」を扱いながら、オカルトとは名乗らない『アンダー・ザ・シルバーレイク』と、オカルトを名乗りながら全然「隠されたもの」ではない『世紀末オカルト学院』。しかも、かたや個性的なサスペンス、かたや学園コメディで、題材の扱い方も語り口も大きく異なる2作だが、唯一といっていい共通点がある。それは、オカルト的な対象を追求することが、どこか子供じみたものとして描かれているという点だ。“まともな大人”はそんなことには関わらない。だから、両作品とも自然と「成長をめぐる物語」という色合いも帯びることになる。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』© 2017 Under the LL Sea, LLC

では、この対照的な2作品は「成長」をどう取り扱ったのか。実は、ここでもこの2作品は非常に対照的なのである。ベタといっていいほどストレートな『世紀末オカルト学院』と、観客の解釈に委ねるように締めくくられる『アンダー・ザ・シルバーレイク』。全然似ていない2作品なのだけれど、だからこそ併せて鑑賞すると、その違いから、それぞれの作品の個性がはっきりと浮かび上がってくる。

『世紀末オカルト学院』©A-1 Pictures/Aniplex・テレビ東京

文:藤津亮太

『アンダー・ザ・シルバーレイク』(日本語吹替版)はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2020年10月放送

『世紀末オカルト学院』はdアニメストアほか配信中

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