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【10月5日はボンドの日!】歴代俳優の『007』デフォルメ・イラスト・コレクション!愛ゆえにイジりたくなる?

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【10月5日はボンドの日!】歴代俳優の『007』デフォルメ・イラスト・コレクション!愛ゆえにイジりたくなる?

エイドリアン・ティール作!『007』の超デフォルメ・イラスト

1962年から始まる『007』シリーズ、特に初代ショーン・コネリーから四代目ティモシー・ダルトンの時代までは映画のポスター、チラシは手描きが基本で、特に海外にはコレクター垂涎のポスターも多数存在する。そしてジェームズ・ボンドは今も昔も男女の憧れの存在なので、当然カッコイイ……はずだが、世の中には敢えて極端にデフォルメしたボンドを描くイラストレーターが存在する。そこにはほんの少しの悪意が見え隠れするが、すべては『007』シリーズが大好きすぎるゆえ、好きな女の子にちょっかいを出したくなる男の子の気持ちに近いものだろう。ボンド愛はすべてを越えるのである。

筆者は最近「QUANTUM OF SILLINESS」というナンセンス・エッセイを楽しく拝読した。ブログとツイッターで絶賛したところ、早速著者ロビー・シムズ氏本人から感謝のコメントが届いた。彼は日本語など読めないはずだが、翻訳機能でどうやらベタ褒めしていることが理解できたらしく、日本人が紹介してくれたことに大変喜んでいた様子だった。

エッセイのタイトルは映画『007/慰めの報酬』(2008年)の英語タイトル『QUANTUM OF SOLACE』をパロったもの。その内容はさておき、歴代のボンド役者及び印象的なキャラクターが映画館らしき場所に勢揃いして、ガヤガヤ楽しそうな表紙イラストには爆笑させられた。イギリスのカリカチュアリスト(諷刺画家)として有名なエイドリアン・ティール氏によるこのイラストだけでも、ボンドファンのコレクションに加えてもいいくらいだ。

まず画像右半分がこの本のオモテ表紙である。最前列向かって左には現役ボンドのダニエル・クレイグが鎮座しているが、生物学的に人類というよりは殆ど霊長類として描いていることに笑える。彼の熱烈なファンには大変申し訳ないが、何故か似ているから不思議だ。

中央の初代ショーン・コネリーはボンド引退後に見えるが、ちょっと細すぎるし、なんだか意地悪そうだ。EONプロと喧嘩別れしたことを今でも根に持っているようである。右の三代目ロジャー・ムーアを描くときには割れたアゴを強調するのがお約束らしい。ムーアのラッフルフロントのドレスシャツは『007/死ぬのは奴らだ』(1973年)の宣伝用写真を思い出させる。やはりこの三人のボンドがシリーズの貢献度から考えても一番目立つ場所にいることに異論の余地はない。

一方、左半分は本のウラ表紙である。つまり表紙だけ見て結局この本を手にとらない読者の目に触れることがない可愛そうなキャラクターたちだ。ここに四代目ティモシー・ダルトンと五代目ピアース・ブロスナンがいるが、一作限りで降板した二代目ジョージ・レーゼンビーは更に二列目に追いやられている。せめてオモテ表紙に配置されるようデザインして欲しかったものだ。尚、ダルトンを描くときには濃いひげ剃りあととアゴのエクボが必須アイテムだ。

思わずシリーズを見返したくなる!? ボンド俳優それぞれの個性に合わせた特徴にニヤリ

筆者はボンド6人衆について別のイラストレーターによる作品も所有している。「The Best of James Bond 007 Coloring Book」という塗り絵本に収録されているもので、自分で色を塗ると世界でひとつだけのイラストが出来上がる。

前述したティール氏作品と似ているが、ダニエル・クレイグについては全身ズタボロなのが笑える。かつてムーアのボンドは殴られても決して鼻血なんて出さずに優雅そのものだったが、クレイグは毎回大切な人を失い、九死に一生を得て心身ともに傷だらけである。それだけ最近の『007』シリーズが泥臭くなってきた証拠だが、なにもボロボロになるまで闘うことが全てではないよ、そんな風に現役ボンドを皮肉っているようにも見える。

ティール氏のイラストに戻り、ついでにその他のキャラクターたちを紹介しておこう。いずれもシリーズで強烈な印象を残した人気者たちだが、描きやすい顔立ちという面があるかもしれない。ダルトンとクレイグに挟まれて絶好のポジションを確保しているのは『007/黄金銃を持つ男』(1974年)のニック・ナック。最近、彼の生涯がドラマ化された。二列目レーゼンビーを挟むように『007/ゴールドフィンガー』(1964年)のオッドジョブとジル・マスターソン。本来はコネリーの隣に座りたかっただろう。

クレイグの後ろにいるのは『007/死ぬのは奴らだ』(1973年)のサメディ男爵。その隣はジュディ・デンチ=M。白い猫を抱えるブロフェルドはそれぞれ個性的な役者によって演じられてきたが、代表格はやはり初めて顔を見せた『007は二度死ぬ』(1967年)のドナルド・プレザンス。右目の傷は『007 スペクター』(2015年)のクリストフ・ヴァルツ版の元ネタだが、スキンヘッドのオースティン・パワーズを思い出す映画ファンも多いだろう。

三列目は左より『007/サンダーボール作戦』(1965年)のラルゴ、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)のル・シッフル。『007/ロシアより愛をこめて』(1963年)のローザ・クレブ、その隣は『007/ダイヤモンドは永遠に』(1971年)の殺し屋コンビ、ミスター・ウイントとキッドだ。この列はLGBTQへの配慮だろうか。

最後列には『007/美しき獲物たち』(1985年)のメイデイが見える。ジャマイカ出身のグレース・ジョーンズは最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020年11月20日公開)でカメオ出演を打診されたものの、セリフがないことにご立腹して拒否したという噂だ。『スカイフォール』の本名ティアゴ・ロドリゲスことシルバと、初代デズモンド・リュウェリン=Q、そして今でも根強い人気を誇るジョーズが何故かホットドッグを持っている。

このイラストをきっかけに、皆さんも彼らが活躍する『007』シリーズを見直してくれたらロビー・シムズ氏とエイドリアン・ティール氏もきっと喜ぶことだろう。

文:村井慎一(ボンド命)

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