殺人鬼の自白、本当の目的は? 実話が基の狂気スリラー! チュ・ジフンのサイコパス演技に戦慄『暗数殺人』

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ライター:BANGER!!! 編集部
殺人鬼の自白、本当の目的は? 実話が基の狂気スリラー! チュ・ジフンのサイコパス演技に戦慄『暗数殺人』
『暗数殺人』COPYRIGHT © 2018 SHOWBOX, FILM295 AND BLOSSOM PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

実話ベースだけに怖さがダンチ! 韓国発狂気のスリラー

『チェイサー』(2008年)や『1987、ある闘いの真実』(2017年)で知られる名優キム・ユンソクと、『神と共に』シリーズ(2017~2018年)や『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(2018年)などで存在感を見せつけている新鋭チュ・ジフンが共演する、実際に起こった凶悪事件に着想を得たクライム・スリラーが『暗数殺人』だ。

『暗数殺人』COPYRIGHT © 2018 SHOWBOX, FILM295 AND BLOSSOM PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

冒頭、麻薬捜査班のキム・ヒョンミン刑事(キム・ユンソク)が情報屋と思しき男と騒がしいシジャン(市場)へ行き、そこへ来たカン・テオ(チュ・ジフン)から「死体を運んだ」という話を聞きつつカルグクス(うどん的な麺類)をすするシーンから期待が高まる。なにしろ“粗野なフード描写のある韓国映画は間違いない”という統計も出ている(嘘です)くらいで、その点において『暗数殺人』はいきなり100点。ちなみに、韓国で安くて美味いメシを食うならシジャンへGO、というのは本当だ。

真実に嘘を織り交ぜ警察を翻弄する頭脳派サイコパス a.k.a. まごうことなきクズ!

さて、ヒョンミンはテオのことを訝しんでいるようで、まだ始まってから3分くらいなのに緊張感がハンパじゃない。実際、飄々と死体のことを話すテオは怪しさ満点で、かつヒョンミンに情報料までせびってくる。しかし、いきなりテオが刑事たちに取り押さえられ、ヒョンミンの目の前で恋人殺しの容疑で逮捕されてしまった! やっぱりヤバい奴だと思ったんだ、これにて一件落着ゥ!! ……なワケは当然なく、後日ゴルフ中のヒョンミンに拘置所のテオから電話がかかってくる。

『暗数殺人』COPYRIGHT © 2018 SHOWBOX, FILM295 AND BLOSSOM PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

しかも、その電話口で「オレが殺したのは7人」と衝撃の証言をかましたものだから、さあ大変。実はテオ、終始デタラメな証言ばかりして捜査を撹乱していて、さらに「彼女殺しの証拠を捏造してる!」と駄々をこねてばかりで、勾留期限も近づいていたのだ。そんなタイミングでヒョンミンが指名されたものだから、担当刑事もすんなり2人の面会を許諾。そこでテオは、証拠品を隠した地図を描いて見せたり、死体をバラバラにするコツを語ったり、最後に面倒になったせいで捕まった! などなど、テンション高めに自身の犯行を供述(&ちゃっかり見返りを要求)するのだった。

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最初は疑いまくりのヒョンミンだったが、テオの供述どおり被害者の遺留品と犯行の証拠品が見つかったため、事態は一変。先走った警察側の証拠捏造が仇となり、殺害は立証されたもののテオには減刑処分が下されてしまう。そして、自身が犯したという残り6件の殺人を個条書きしただけで、謎解きを挑むかのような態度でヒョンミンを突き放すのだった……。

息を呑む演技合戦! ベテラン名優キム・ユンソクvs新鋭俳優チュ・ジフン

本作の白眉は、それまでのファニー~ストイックなイメージを覆すチュ・ジフンのサイコな演技だ。釜山訛りを完璧にマスターしてみせた、と称賛されたは努力は残念ながら我々には伝わらないものの、最高に胸糞の悪いクズ野郎を憑依させているのは確か。ちょっとしたオチャラケのような言動すら後々の保身に活用する、つまりすべて計算済みという超頭脳派のサイコパスを演じつつ、インテリジェンスを感じさない……そんな難易度の高いキャラクターに説得力を持たせることに成功している。

『暗数殺人』COPYRIGHT © 2018 SHOWBOX, FILM295 AND BLOSSOM PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

ヒョンミンを演じるキム・ユンソクも、韓国映画によくある“癇癪持ちの熱血刑事”的な役作りではなく、諦観を纏ったベテラン中年刑事を好演していて◎。テオの犯行の恐怖におののく観客に、その醒めた態度が冷静な視点を取り戻してくれる。ウソの供述をして警察を振り回すことで、いわゆる本命の事件からも逃れようとする……そんな思わぬ頭脳戦を仕掛けられたことで、ヒョンミンも刑事としての本能を奮い立たされていくのだった。

『暗数殺人』COPYRIGHT © 2018 SHOWBOX, FILM295 AND BLOSSOM PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

そんなヒリヒリとした2人の攻防をいい具合に中和してくれるのが、蓮堤(ヨンジェ)警察署のチョ刑事を演じるチン・ソンギュ。さすがに『エクストリーム・ジョブ』(2019年)で見せたスットボケ演技ほどではないものの、非協力的な蓮堤署の中で唯一ヒョンミンを助ける熱血人情派の刑事を好演している。

『暗数殺人』COPYRIGHT © 2018 SHOWBOX, FILM295 AND BLOSSOM PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

実際に発生した犯罪の中で統計によって把握されていない犯罪数=“暗数”を利用し司法の弱点を突く小賢しい犯人を、泥臭い捜査によって追い詰めていくスリリングな展開、そしてベテラン名優と新鋭俳優の演技合戦をお見逃しなく。エンドクレジット前に記される両者の“その後”には、さらにモヤモヤさせられるかも……?

『暗数殺人』は2020年4月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

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『暗数殺人』

「7人だ。俺が殺したのは全部で7人」キム・ヒョンミン刑事は、恋人を殺害し逮捕されたカン・テオから突然の告白を受ける。しかし、テオの証言のほかに一切証拠はない。そもそも彼は、なぜ自らそのような告白を始めたのか? 警察内部でもテオの自白をまともに相手をする者がいない中、ヒョンミンは直感的にテオの言葉が真実であると確信。上層部の反対を押し切り、捜査を進めてゆく。

そしてついに、テオの証言どおり白骨化した死体が発見されるのだが、テオは突然「俺は死体を運んだだけだ」と今までの証言をくつがえす。「どういうことだ」――テオの言葉に翻弄されてゆくヒョンミン。果たして残る死体は存在するのか? テオの目的は一体?

制作年: 2019
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