「キング・オブ・撮影監督」といえば誰?韓国映画界が生んだ“マイスター”の仕事が光る『ハルビン』制作秘話
『ハルビン』に込められたマイスターの“こだわり”とは?
高機能カメラの使用
ウ・ミンホ監督の「アン・ジュングンと同志たちの話をリアルに扱いたかった」という意向に応えるため、『パラサイト 半地下の家族』でも使用した高性能カメラARRI ALEXA 65を採用し、広大な風景や人物の細やかな動き、表情まで再現した。
撮影メイキング 『ハルビン』©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
光と影のコントラスト
広大な砂漠や薄氷の水面を捉えた映像は、光と影のコントラストを大胆に使い、圧巻の映像を作り出した。
撮影メイキング 『ハルビン』©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
戦闘シーンの描写
シナ山での戦闘シーンでは、スタイリッシュなアクションよりも「骨がぶつかり合うような白兵戦」を描くことを重視し、動きを極力抑えた1台のカメラでじっくりと撮影。他のシーンとの違いを明確に打ち出した。
撮影メイキング 『ハルビン』©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
列車内の撮影
ポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』(2014)での経験が、列車内のシーンの撮影に役立ったと語っている。
『ハルビン』©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
クライマックスの演出
アン・ジュングンが最終目的を達成するクライマックスのシーンでは、ウ・ミンホ監督と議論を重ね、これまでの作品で試みられてきたやり方ではなく、俯瞰で撮ることを選択した。
『ハルビン』©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
カラヴァッジオからの着想
アン・ジュングンと同志たちがアジトで語り合う場面では、バロック期のイタリア人画家カラヴァッジオの絵画を参考に撮影。これは当時の「世の中そのものが暗かった」という時代性を空間として再現するためであり、「遠くにある光が小さな隙間から届くようなやりかた」で撮影したという。「あまりに明るいのは映画の中心となるメッセージと合わない」という考えのもと、こだわりの表現をとことん突き詰めたマイスターならではの仕事だ。
『ハルビン』©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
ロケーション撮影
「映画のテーマを象徴的に示している」と語る、凍りついた湖の上でのアン・ジュングンの印象的なシーンは、当初予定されていた雪山から、モンゴルのフブスグル湖での撮影に変更。ホン・ギョンピョも大満足だったという象徴的なシーンを、ぜひ大きなスクリーンでご堪能あれ。
『ハルビン』©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
マイスターが極限まで追求した映像美に酔いしれること間違いなしの『ハルビン』は7月4日(金)より全国公開。
『ハルビン』
1909年10月、アン・ジュングン(安重根)と同志たちは伊藤博文を追ってある使命を果たすため中国・ハルビンへ向かった。そしてハルビン駅に銃声が鳴り響いた…。
1908年、咸鏡北道(ハムギョンブクト)シナ山で、安重根(アン・ジュングン)(ヒョンビン)率いる大韓義軍は劣勢にもかかわらず勇敢に戦い、日本軍に勝利を収める。万国公法に従って戦争捕虜たちを解放すると主張するアン・ジュングンに対し、イ・チャンソプ(イ・ドンウク)は激しく反論。結局、自らの兵を率いてその場を去ってしまう。その後、逃した捕虜たちから情報を得た日本軍の急襲を受け、部下たちを失ってしまったアン・ジュングンは、なんとかロシア・クラスキノの隠れ家に帰り着く。しかし、彼を迎えた同志たちの視線は厳しかった。1909年10月、日本の政治家である伊藤博文(リリー・フランキー)が大連からハルビンに向かうとの情報を得たアン・ジュングン。祖国の独立を踏みにじる「年老いた狼」を抹殺することこそが、亡くなった同志たちのために自分ができることだと確信した彼は、ウ・ドクスン(パク・ジョンミン)、キム・サンヒョン(チョ・ウジン)とともに大連行きの列車に乗るが、日本軍に察知されてしまう―
監督:ウ・ミンホ(『KCIA 南山の部長たち』『インサイダーズ/内部者たち』)
脚本:キム・キョンチャン、ウ・ミンホ
撮影:ホン・ギョンピョ『パラサイト 半地下の家族』
出演:ヒョンビン「愛の不時着」『コンフィデンシャル:国際共助捜査』
パク・ジョンミン『密輸 1970』 チョ・ウジン『インサイダーズ/内部者たち』
チョン・ヨビン「ヴィンチェンツォ」 パク・フン『ソウルの春』
ユ・ジェミョン「梨泰院クラス」 イ・ドンウク「トッケビ ~君がくれた愛しい日々~」
リリー・フランキー『万引き家族』 チョン・ウソン(特別出演)『ソウルの春』
| 制作年: | 2024 |
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2025年7月4日(金)より全国公開