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血と薬莢で床が埋め尽くされるオーバーキル・アクション
ウォーカーは、いわゆる正義の熱血警官とは正反対の存在で、かなりヤバい過去の過ちと厄介な駆け引き関係を断ち切ろうとしている。善悪の狭間で揺れ動くウォーカーだけでなく、同じ闇を共有する刑事たち、巨大な犯罪組織のゴタゴタに巻き込まれた不良キッズ、それぞれの線がつながり一つの点になっていく。後輩のチャンを見下したような態度を取るのは、過剰にクズい野郎を演じることで彼女を予期せぬ危険から遠ざけとしているように見えなくもない。
HAVOC. Jessie Mei Lee as Ellie in HAVOC. Cr. Courtesy of Netflix © 2025
そんなウォーカーの関わる先々では関係の濃淡を問わずバンバン人が死んでいき、その描写のエグさはスプラッタホラー並み。エヴァンス監督らしい格闘アクションは封印か? と思いきや、アジア系マフィアが本格的に乗り出してくると、一気にすさまじい集団白兵戦へ。常に銃声が鳴り響き、血が噴き出し脳が飛び散り、そのゴア描写とスタントの凄まじさに口内はカラッカラになる。
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本作は苛烈なアクションが続くあまり、誰が何の目的で動いているのか一瞬クラッと見失いそうになるほど。とはいえハーディ以外にもガチの格闘家キャストがいて、UFC的な見どころもアリ。物語が進むにつれてギャレス監督の嗜好が全開になり、悪人たちの追いかけっこの果てにギリギリの駆け引きがピークを迎えるクライマックス……と思いきや、さらにもうひとドンパチ挿れて、予想を超える悲劇的な展開で登場人物たちと同様に観客をグッタリさせてくれるのだった。
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