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今なら“トランプ閣僚入り”確実?「銃を手に悪と戦う!」元祖アメリカ・ファーストなスター俳優とは

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ライター:#谷川建司
今なら“トランプ閣僚入り”確実?「銃を手に悪と戦う!」元祖アメリカ・ファーストなスター俳優とは
『リオ・ブラボー』© David Hawks
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トランプ2.0時代と最も親和性の高いハリウッドスター

ドナルド・トランプが米大統領に返り咲いて、その動向を世界中が注視しているが、就任に先立つ1月16日、彼はシルヴェスター・スタローン、メル・ギブソン、ジョン・ヴォイトの3人を「ハリウッド特別大使」に任命して話題を呼んだ。

伝統的にリベラル派、つまり民主党支持者の圧倒的多いハリウッドにあって、3人とも珍しい共和党支持者であり、かつトランプ支持を表明していたスターである。しかしハリウッドの歴史上、最もタカ派として知られていた共和党支持者はジョン・ウェインだ。

ハリウッドの実力者として、左翼がかったリベラルな人々への睨みを利かせていたウェインは、赤狩りの時代にはアメリカ社会から共産主義者やそのシンパを追い出すことに正義を見出し、その後もヴェトナム戦争を支持することを堂々と主張していた点で、元祖“アメリカ・ファースト”を体現していたとでもいうべき存在だった。ゆえに、もしも40年ほど時間軸がずれていたら、トランプ政権のハリウッド特別大使どころか閣僚として起用されたかもしれない。

アンチ『真昼の決闘』としての『リオ・ブラボー』

赤狩りの時期のハリウッドでのウェインは、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』(2015年)の中で描かれている。即ち、下院非米活動調査委員会(HUAC)を全面的に支持する組織の議長であるウェイン(デヴィッド・ジェームズ・エリオット)は、ハリウッドで強い影響力を持っていたゴシップ・コラムニストのヘッダ・ポッパー(ヘレン・ミレン)と共に、言論と思想の自由を訴えてHUACに反対していた脚本家ダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)に対していわれなき非難の言葉を浴びせ、間接的にトランボをハリウッドからの追放に追い込んだ。

その後、ウェインがハワード・ホークス監督と共に作った西部劇『リオ・ブラボー』(1959年)は、先輩西部劇スターのゲイリー・クーパーが主演してアカデミー主演男優賞を受賞した『真昼の決闘』(1952年)を“アカの映画”とみなしたウェインが、そのアンチテーゼとして作った作品である。

『リオ・ブラボー』DVD
価格:2,200円(税込)
発売:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
©2008 Warner Bros.Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『真昼の決闘』は、悪党一味が襲ってくる町の保安官クーパーに対して、先輩保安官だった老人を含む町の人々は静観を決め込み、酔っ払いと少年だけが味方になると言ってくれたものの戦力にはならないため断り、たった一人で戦う、という物語。しかし、その心は「赤狩りという理不尽な脅威に対して、とばっちりを受けないためにダンマリを決め込む人ばかりのコミュニティは崩壊しますよ!」というメッセージで、脚本を書いたカール・フォアマンは赤狩りの被害者だった。

これに対して『リオ・ブラボー』は、ほぼ同じシチュエーションで、保安官チャンス(ウェイン)は老人と酔っ払いと少年を助手に携えて悪党一味と戦うのだが、その心は「アメリカという国では悪に対して銃を手に取って堂々と戦うものだ!」というメッセージだった。

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