韓国にも“トー横”がある!ガチ心霊スポットとの関係は?陰惨スリラー『ヌルボムガーデン』監督インタビュー
韓国の“三大心霊スポット”とは
韓国には“三大心霊スポット”として知られる恐怖の名所がある。映画『コンジアム』(2018年)の舞台となった京畿道広州市の<コンジアム精神病院跡地>。朝鮮戦争で死亡した学徒兵の埋葬場所とされる慶尚北道ヨンドク郡の<慶北ヨンドク刺身店>。そして、とあるレストランに纏わる不幸と、多くの怪談が語り継がれる忠清北道堤川市の<ヌルボムガーデン>だ。
1月24日(金)より公開の韓国映画『ヌルボムガーデン』は、その忠清北道の<ヌルボムガーデン>を舞台に……していない!
『ヌルボムガーデン』©︎2024 BYUS ENT & JNC MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED
本作においてヌルボムガーデンは“呪われた家”としての引用にとどまっており、ガチのオカルト好きは肩透かしだろう。しかし、この映画は本家に負けないほど、陰惨かつオカルトな物語になっている。
ソヒは夫のチャンスと幸せな新婚生活を送っていた。しかし突然、チャンスが自殺を遂げてしまう。悲しみに暮れる中、夫がこっそりと購入していた郊外の邸宅「ヌルボムガーデン」を相続したソヒ。亡き夫の影を求めて引っ越すのだが、まもなく奇妙な出来事が続発。原因はチャンスの自殺の理由にあると考え、彼の痕跡を追っていくうち、思いも寄らぬ“10代”の怨嗟の声を聞くことになる……。
『ヌルボムガーデン』©︎2024 BYUS ENT & JNC MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED
人の情念と思惑が絡みあった物語に、思わず「えげつないなぁ」と声を漏らしてしまうようなストーリーになっているのだが、ミステリー要素が強いため詳細を書くことができない。そこで、監督のク・テジンにお話を伺ったので、韓国において本作が如何にオカルト映画たり得るか? を読み取ってほしい。
監督
ク・テジン
구태진
 ̄ ̄ ̄ ̄꒦꒷ナ・ホンジンが監督した『チェイサー』 (09)や、ソル・ギョング主演の『殺人者の記憶法』(18)、タイ・韓国合作『女神の継承』(22)などにプロデューサーとして参加。
『#ヌルボムガーデン』が監督デビュー作となる。 pic.twitter.com/4o9aNoqO97— 映画『ヌルボムガーデン』2025.1.24公開 (@neulbom_movie) December 21, 2024
「韓国では家出をした子どもたちがたむろするコミュニティがあって……」
―韓国語で“ヌルボム”は“常春”を意味すると伺いました。とても清々しい言葉です……が、『ヌルボムガーデン』の登場人物は皆、虐げられる被害者でもあり、かつ後ろ暗い過去をもつ加害者である情念に満ちた物語ですね。
『ヌルボムガーデン』のスタート地点は、常に春のような美しい場所が何故、こんな瘴気漂う場所になってしまったんだろう? というものだったんです。登場人物に加害者と被害者の2つの側面を持たせたのも、「彼らはどうして、そうなってしまったんだ?」といった視点から。「どうして?」を突き詰めていくと、加害者本人ではなく家族や家庭に原因がある。必ずしも加害者が悪と決めつけることはできないと考えてのことなんです。
『ヌルボムガーデン』©︎2024 BYUS ENT & JNC MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED
―物語の起点となった“イジメ”は、もはやイジメの範疇を超えた陰惨なものです。なにか基にした事件はあったのでしょうか?
特定の事件をリファレンスにしてはいません。でも、韓国では家出をした子どもたちがたむろするコミュニティがあって、そこでは本作で描いたようなことが起こっているのは事実です。特定の子に暴力を振るって金品を巻き上げたり、売春を強要したり。
―なんだか日本のトー横、グリ下みたいです……。
まさに。
『ヌルボムガーデン』©︎2024 BYUS ENT & JNC MEDIA GROUP ALL RIGHTS RESERVED
『ヌルボムガーデン』
幸せな新婚生活を送っていたソヒの夫チャンスが、ある日突然、自らの命を絶った。ショックのあまり流産し、悲しみのどん底に突き落とされたソヒは、生前のチャンスが購入していた郊外の邸宅を相続することに。ソヒは姉ヘランの反対を押しきって、ヌルボムガーデンと名付けられたその家に移り住むが、引っ越し後まもなく奇怪な出来事が続発。ある夜、家の中ですでにこの世にいないはずのチャンスの姿を目撃したソヒは、心優しかった彼が自殺に追いやられた理由を探り始める。やがて地元の女子高校生ヒョンジュが事情を知っていると確信したソヒは、数ヵ月前に失踪した彼女の行方を追うが、ヌルボムガーデンに取り憑いた邪悪な“何か”に脅かされていくのだった……。
監督・脚本:ク・テジン
出演:チョ・ユニ キム・ジュリョン ホ・ドンウォン
制作年: | 2024 |
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2025年1月24日(金)より全国順次公開