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『ジョン・ウィック』で大活躍のマルコ・サロールって何者?ロック様のスタントから格闘俳優へ!秘拳アクション『フィスト・オブ・ザ・コンドル』公開【前編】

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ライター:#ギンティ小林
『ジョン・ウィック』で大活躍のマルコ・サロールって何者?ロック様のスタントから格闘俳優へ!秘拳アクション『フィスト・オブ・ザ・コンドル』公開【前編】
『フィスト・オブ・ザ・コンドル』© 2022 ZAROR ENTERTAINMENT. All Rights Reserved.
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「あなたが想像しているのは…マルコ・サロールですね?」

現在、早くも配信中の『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023年)は、もう御覧になったでしょうか? 観ているならば、名だたる格闘アクションスターたちが出演してモータルコンバット状態となった本作の登場人物のなかで、鑑賞前は意識していなかった、もしくは認識していなかったのに、鑑賞後はやけに気になって仕方がないキャラがいたのでは?

それは、きっとジョン・ウィックの首に多額の賞金を懸けた主席連合のグラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)の腹心で、三つ揃いのスーツでキメたチディですよね!

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』®, TM & © 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

全編にわたり出ずっぱりで、キアヌ・リーブスだけでなく真田広之、伊澤彩織とも激闘を繰り広げたチディですよね?

クライマックスではパリのサクレ・クール寺院にある222段の階段の上でジョン・ウィックをキックして、映画史上最長の階段落ちを披露させることになったチディに決まってますよね!?

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』®, TM & © 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

キアヌ・リーブス、ドニー・イェンや真田広之、リナ・サワヤマの活躍を期待して鑑賞した方、スコット・アドキンスに注目して映画を鑑賞したコアなアクション映画ファンも、きっと鑑賞後はチディを演じたマルコ・サロールのことが気になって仕方ないですよね‼??

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』®, TM & © 2023 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

というわけで、マルコのことが気になって、彼のアクションがもっと見たくてウズウズしている読者に朗報です。なんと! マルコ・サロールが製作・主演を兼ねた格闘アクション映画『フィスト・オブ・ザ・コンドル』の日本公開が決定!

『フィスト・オブ・ザ・コンドル』© 2022 ZAROR ENTERTAINMENT. All Rights Reserved.

ここからは映画の見所を解説したいのですが、「アクションが凄いのはわかったけどマルコ・サロールって誰?」とお思いの方が多くいると思われます。そんなわけでマルコ・サロールの経歴を説明させていただきます!

ロック様の主演作でスタントマンとしてデビュー

マルコは1978年6月10日、チリで誕生しました。6歳の時、チリではじめて空手の黒帯となった母親の影響で格闘人生がスタート。さらに、この頃、『燃えよドラゴン』(1973年)を鑑賞し、ブルース・リーに憧れたことで彼の格闘技熱はさらに燃えあがる。青春時代を様々な格闘技の修業に費やした結果、テコンドー、キックボクシング、中国武術、柔道、合気道、松濤館流空手を修得。さらに器械体操も修行して、身長194cm、体重95キロの巨漢ボディからは想像できないアクロバットな回転技を会得するのだった。

僕の夢はブルース・リーのような、格闘家でありアクションスターになることだった。でも、チリ映画界では格闘アクション映画を製作したことがなかったんだ……。だから、この国ではアクションスターになることはできない、と悟ったんだ。

 

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高校時代は花形ラグビー選手として功績をあげたマルコは、卒業後もラグビー選手として生きる道もあったが、1997年、18歳のときに恋人と共にメキシコに移住。そこでモデルとして生計を立てるようになる。

メキシコでモデルをやっていた時、低予算のアクション映画に出演する機会に恵まれたんだ。それで僕は、これこそが自分がやりたいことだ! と気づいたんだ。それからメキシコで演技の勉強もはじめたよ。

こうしてアクション映画スターへの道に進む決意を固めたマルコは2002年、ハリウッドでアクション映画の撮り方を学ぶため、ロスに移住する。

身ひとつでロスに行ったものの、ハリウッドで働くコネクションはビタ一文もない。そこで彼は、皿洗いやキックボクシングのジムでコーチとして生計を立てていた。しかし、そのジムで彼の運命を変える男と出会う。アンディ・チェン――ジャッキー・チェンのスタントチーム成家班出身で、後に『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021年)や『聖闘士星矢 The Beginning』(2023年)等の作品で武術指導を担当するアクション監督である。その彼が、マルコが働くジムにやって来たのだ。

当時、WWF(現WWE)の人気プロレスラーだったザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)の主演第2作目となる『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』(2003年)のアクション監督を担当することになり、その準備に追われていたアンディ。ザ・ロック主演作のアクション・シーンを演出することになったが、撮影前に解決しなければならない問題を抱えていた。身長196cmあるザ・ロックの代わりに、自分が望む難易度が高いスタントをこなすことができるロック様級のガタイのスタントマンが必要なのに、見つからない……。そんな時に訪れたジムに、マルコがいたのである。彼の類まれな身体能力と格闘センスに注目したアンディは、ロック様のスタントマンとして彼をスカウトする。

 

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いきなりハリウッド映画の主役のスタントになったマルコは、この撮影でアクション映画の撮影方法を学んだだけでなく、本作にスタントマンとして参加することで、のちに『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年)のアクション監督や『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017年)のアクション監修を担当するJ・J・ペリーとも親交を深める。

そして『ランダウン~』の撮影から20年後、J.・J・ペリーが『ジョン・ウィック』シリーズの監督チャド・スタエルスキにマルコを紹介したことにより、彼は『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に出演することになったのだ。

アクション未開の国・チリで誕生した『Kiltro』のインパクト

『ランダウン』の撮影でアクション映画の撮影方法を学んだ彼は、青春時代にあきらめた夢にもう一度トライしようと決意する。それは母国チリで、子供の頃から憧れているブルース・リーのように自分主演の格闘アクション映画を作ることだった。

しかし、先にも書いたようにチリ映画界には格闘アクション映画が製作された前例がない。つまり、チリ映画界には格闘アクション映画を作るノウハウも、作れるスタッフもいない……。それならば、自分がハリウッドで学んだ技術と知識をチリの映画人に教えればよい。マルコの覚悟は決まっていた。

 

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チリに帰国したマルコは、アスファルトを肥沃な畑に変える級に無謀とも思えるプランを、少年時代からの親友で映像業界で働いていたエルネスト・ディアス=エスピノーサに打ち明けた。

エルネストと僕は誕生日が同じで、高校時代からの親友なんだ。僕らはロバート・ロドリゲスの監督作やカンフー映画が大好きで、高校のときは彼が監督、僕が主演の格闘アクション映画を作っていたんだ(笑)。

映画監督志望だったエルネストは、マルコの向こう見ずなプランに賛同する。かくして二人は、高校以来にタッグを組んで格闘アクション映画を撮ることに。マルコは主演だけでなく、アクション監督も担当することになった。

格闘アクション映画が作られたことがないチリで、僕たちがまずやったのは、スタントチームを作ることだった。そのためにオーディションを開催して、チリ在住の大勢の格闘技経験者を集めたんだ。そこから選抜したスタントチームに6か月かけて、実戦とは違う格闘アクションの振り付けやカメラの映り方を学んでもらったよ。

映画のタイトルは『Kiltro』(原題:2006年)に決まった。チリでは“雑種犬”を意味する言葉だ。マルコが演じる主人公は、ストリートで暮らす雑種犬のような半グレ青年。そんな彼が、ミステリアスな格闘技の達人と出会う。そして達人から秘伝の武術を学び、かつて母親を殺した極悪武道家と戦う――。

そんな往年のカンフー映画のような物語に、マカロニウエスタンや三池祟史監督作『殺し屋1』(2001年)など、マルコとエルネスト監督が愛する映画からの影響をスパイスした作品だった。劇中、『殺し屋1』のイチが装着するブレード内蔵シューズのように、踵に鋭いブレードを装備したブーツを履いたマルコが、何十人もの敵をアクロバティックな回転キックで次々と斬り裂いていくシーンは圧巻だ。

『Kiltro』は僕とエルネストが好きないろんな映画にインスパイアされた作品なんだ。僕らが最もインスパイアされたのはロバート・ロドリゲス監督だよ。エルネストは僕に、ロドリゲス監督がデビュー作『エル・マリアッチ』(1993年)を7000ドルの低予算で撮ったように、僕らもやらなければならない! と言っていたよ(笑)。何百万ドルもの製作費を使わずに面白いアクション映画を完成させたロドリゲスは、僕らに大きなインスピレーションを与えてくれたんだ。

『Kiltro』は母国だけでなく、世界中の格闘アクション映画ファンから注目され、マルコは「ラテン・ドラゴン」というニックニームで呼ばれるようになった。彼らはチリ映画界初の格闘アクション映画を作り、チリ映画界初の格闘アクションスターを誕生させる、という偉業を達成したのだ。

次ページ:チリ映画界を変えたヒーロー映画とは?
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『フィスト・オブ・ザ・コンドル』

16世紀、コンキスタドールの侵攻によりインカ帝国が崩壊。必殺戦闘術「コンドル拳」について書かれた神聖な書物は隠され、コンドル拳の継承者によって何世紀にも渡り大切に守られてきた。
幻の道場で、コンドル拳の師から学んだ戦士は師匠から継承者に選ばれるが、双子の弟に全てを奪われてしまう。手引書を狙う猛者たちからの、弟の手下からの追われる身となった男は、壮絶な闘いに身を投じていくこととなる...。

闘いの火蓋が、今、ここに切られた!

監督・脚本:エルネスト・ディアス=エスピノーサ
出演:マルコ・サロール、ジーナ・アグアド

制作年: 2023