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イタリアン反社にナメられた殺人マシンが最後のハードコア風紀活動!『イコライザー THE FINAL』で心の故郷にアモーレとグラッチェを倍返し

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ライター:#ギンティ小林
イタリアン反社にナメられた殺人マシンが最後のハードコア風紀活動!『イコライザー THE FINAL』で心の故郷にアモーレとグラッチェを倍返し
『イコライザー THE FINAL』
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グラッチェ精神とアモーレあふれる町で心癒されるマッコール

――マッコールさんが意識を戻すと、ふかふかのベッドの上にいた。南イタリアの田舎町を逃走中に意識を失っていた彼を発見した警官が、地元で小さな病院を開業する懐が深い老人エンツォ(レモ・ジローネ)のところに連れて来たのだ。

『イコライザー THE FINAL』

深手を負った理由を聞かないエンツォのもとで静養するマッコールさん。当初はすぐにでも田舎町から去るつもりのマッコールさんだったが療養生活中、リハビリがてら散歩しているうちに、『魔女の宅急便』(1989年)やディズニー&ピクサー映画『あの夏のルカ』(2021年)の舞台を思わせる平和でのどかな町のムード、そして陽気かつグラッチェグラッチェ精神あふれる地元民たちとの交流によって、妻と死別してから長い間忘れていた心の平穏を感じるようになる。

『イコライザー THE FINAL』

『イコライザー』シリーズといえば毎回、舞台となる町やそこで暮らす人々の描写が一見さらっとしているんですが、非常にきめ細かく魅力的に描かれているんですよね。今回もフークア監督の町を描くスキルはスパークしています。

『イコライザー THE FINAL』

しかし……平和かつアモーレ満載と思われていた田舎町は、実は超武闘派イタリアン反社の縄張りだった。彼らは田舎町を一大リゾートに大改造するべく、住人たちを追い出そうと圧力をかけていた。

『イコライザー THE FINAL』

これが最後のハードコア風紀活動

フークア監督といえば、ワシントンとの初タッグ作『トレーニング・デイ』でワシントンが演じた悪徳刑事や、『イコライザー』シリーズに登場してきた悪役を見ればわかるように、同情の余地が1ミクロンもない、血も涙もない悪役を描くスキルに長けた御方。本作のイタリアン反社たちも、スクリーンに向かって「あなた方の血は何色なんですか!?」とシャウトしたくなるほどの悪行をコンマ1秒もためらうことなくやり尽くす。

しかも、彼らは地元警察の上層部とも癒着しているから質が悪いことこの上ない。でも、まあ、『イコライザー』シリーズ的には、悪役が調子にのればのるほど死亡フラグが留まることを知らない状態になっちゃうんですが……。

『イコライザー THE FINAL』

そういうことなので、田舎町の生活に慣れ、地元民とも仲良くなったマッコールさんの目にイタリアン反社たちの悪事がちょいちょい入るようになる。そして、例の感情がウズウズしだす。この町をイコライズ(均衡に)するため処刑すべきか、と……。

さあ、かくして皆さんが期待に胸をぱんぱんにして待ち焦がれていたロバート・マッコールさん最後のハードコア風紀活動が幕を開けます!

『イコライザー THE FINAL』

敵から“豪快にナメられる”ことでシリーズのフレッシュさをキープ

「ナメてた相手が~」ムービーといえば、近年は『イコライザー』以外にも『96時間』(2008年)、『ジョン・ウィック』(2014年)などがシリーズ化された。しかし、『イコライザー』以外の作品は、2作目以降は「ナメてた相手が~」風味が薄くなる傾向がある(それはそれで面白いが)。

だが、『イコライザー』シリーズは毎回、マッコールさんを新たな土地で生活させることで「ナメてた相手が~」ムービーの面白さ&鮮度をキープ・オン。しかも本作の舞台は南イタリアの田舎町という、マッコールさんにとっては縁もゆかりもない土地。さらに悪役は、これまでの元スペツナズやCIA工作員というその筋の仕事をしてきた者ではなく、町の反社。当然、これまで以上に悪役たちはマッコールさんのことを「ただのハゲてるジジイ」と豪快にナメてくれます。

また、前作『イコライザー2』では「悪に成り下がった元同僚たちに殺された親友の復讐」を主軸にしつつ、マッコールさんのイコライザーぶりをたくさん堪能したい観客のために、「別れた妻から娘を誘拐したDV夫を制裁」、「女性を泥酔させて強姦するエリート・サラリーマンたちを制裁」、「近所の不良少年を更生させる」、「第二次大戦中の混乱で、生き別れた姉弟を再会させる」等の細かいエピソードを散りばめていた。

そんな前作とは違い本作は、ひとつの舞台(南イタリアの田舎町)に腰を据えて<マッコールさんVS超武闘派イタリアン反社>をじっくり描く。それでいて、ファンサービスと思われた冒頭の“シチリア島の極悪反社を皆殺し”も本筋に繋がっていく、という粋な作りになっている。

そして、当初は無関係だと思われていた事件のピースをはめていく役目を担うのが、今回初登場のCIA捜査官エマ・コリンズ(ダコタ・ファニング)。10歳の時に『マイ・ボディガード』(2004年)でワシントンと共演したダコタ・ファニングが19年ぶりにワシントンと再会し、有能なCIA捜査官を演じてくれるので楽しみにしていてください!

『イコライザー THE FINAL』

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『イコライザー THE FINAL』

ある時、訪れたシチリアでの事件で負傷したことをきっかけに、肉体的にも精神的にも限界を迎えたロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)は、アマルフィ海岸沿いの静かな田舎町に辿り着く。よそ者にも関わらず身内のように看病し、親しみをもって「ロベルト」と呼んで接してくれる街の人々。昼の顔、夜の顔を使い分け、長い時間をたった一人、誰にも頼らず生きてきたマッコールにとって、それはまさに癒しと救いだった。マッコールはこの街を安住の地と心に誓い、イコライザーのスイッチともいうべき腕の時計を外すことを決意。そこで穏やかに残りの人生を送るはずだった。

しかし、小さなこの街にも悪の魔の手は忍び寄っていた。街の人たちが次々と凄惨な事件に遭うのを見て、マッコールは再び[仕事]を再開する。自分を救ってくれた大切な人々を、街を、今度は自分が救うため。善良なすべての人々を救うのがイコライザ―の流儀であり、マッコール自身の大いなる復讐でもあるのだ。しかしそれが引き金となり、事態はイタリア全土を巻き込む爆破テロ事件へと拡大してゆく・・・。

一度外した時計を再び身に着けるマッコール。彼がカウントするのはわずか9秒。怒りが頂点に達したマッコールに、もはや19秒は必要ない。最後にして最大の[仕事]が始まる ――。

出演:デンゼル・ワシントン ダコタ・ファニング

監督:アントワーン・フークア
脚本:リチャード・ウェンク

制作年: 2023