第77回カンヌ国際映画祭が5月14日からフランスで開幕。今年は黒澤明監督『八月の狂詩曲』(1991年)の一場面がポスターに使用されており、またスタジオジブリに名誉賞が授与されることも報じられるなど、早くから話題を呼んでいた。
そんな本年度のカンヌには日本の若手監督作も複数出品されており、濱口竜介監督が4冠を達成した第74回から早くも新たな才能の台頭に世界が注目している。もちろん中国を含むアジア各国からも映画界から多くの作品が出品されていて、韓国や中国、ベトナムなどの気鋭監督たちに熱視線が注がれている。
La beauté poétique, la magie hypnotique et l’apparente simplicité du cinéma. Le 77e Festival de Cannes s'affiche ! 🌕💙
— Festival de Cannes (@Festival_Cannes) April 19, 2024
La scène est extraite de Rhapsodie en août réalisé par Akira Kurosawa en 1991. L’avant-dernier film du grand maître japonais rappelle l’importance de se… pic.twitter.com/7SrHxOXwl9
アジア映画への風向きを変えたチェン・カイコー監督
今年のポスターになっているように黒澤映画がカンヌの常連だったことはよく知られているが、中国映画において先鞭を切ったのが、チェン・カイコー監督だ。レスリー・チャン主演『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993年)は第46回カンヌ映画祭で最高賞パルム・ドールとFIPRESCI賞(国際映画批評家連盟賞)の2冠を達成。中国映画としては初の快挙だった。
まさに“アジア映画への風向き”を変えたチェン・カイコー監督が『覇王別姫』に次いで放ったのが、ふたたびキャストにレスリー・チャンとコン・リーを迎えた『花の影』。1920年代の上海を舞台に、名家をめぐる男女の退廃的な恋愛模様をエキゾチシズムあふれる映像で描く、官能的なラブストーリーだ。