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木村拓哉 海外ドラマ初出演 Huluオリジナル『THE SWARM/ザ・スウォーム』名プロデューサーが絶賛する木村拓哉の“控室”エピソード

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ライター:#BANGER!!! 編集部
木村拓哉 海外ドラマ初出演 Huluオリジナル『THE SWARM/ザ・スウォーム』名プロデューサーが絶賛する木村拓哉の“控室”エピソード
『THE SWARM/ザ・スウォーム』

超大型国際ドラマ! 日本からは木村拓哉が出演

言わずと知れた大ヒット海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のプロデューサー、フランク・ドルジャーが次なる題材に選んだのは、ベストセラー小説「深海のYrr(原題:Der Schwarm)」を原作に描く深海SFサスペンス。3月4日(土)よりHuluで独占配信される超大型国際ドラマ『THE SWARM/ザ・スウォーム』は日本から木村拓哉が参戦するなど、かねてから話題を呼んでいた注目作だ。

フランク・ドルジャー 『THE SWARM/ザ・スウォーム』

世界各国から実力派キャストが集結した本作で木村が演じるのは、日本人の慈善家で海洋問題に取り組む<ミフネ財団>の創始者アイト・ミフネ。初進出となる海外ドラマの現場で木村は、いかに存在感を発揮したのか? 興味深い撮影エピソードとともにドルジャー氏が語ってくれた。

「本作は自然災害パニックではなく“モンスターもの”です」

―なぜ、この原作を映像化しようと思ったのですか?

5年ほど前にビジネスパートナーから映像化の話を持ち込まれました。もともと2004年にドイツで発表された小説なのですが、その当時から非常に重要な意味を持ち、よく知られている作品だということは知っていました。今になって改めて読むと、20年前に書かれたと思えないぐらい、まるで今日起きていることを予期していたかのような内容に本当に驚いたんです。

現在は温暖化など、自然環境に関する様々な事実をベースにしたドキュメンタリーや作品が多数作られていますが、私は、キャラクターが牽引するエモーショナルなドラマによって環境問題を掘り下げられないか、そうすればドキュメンタリーなどを見飽きてしまっていて、「環境問題についてはもう十分に知っているよ」と思っている人にも響く作品になるのではないかと思いました。

―『THE SWARM/ザ・スウォーム』の一番の見どころは何でしょうか?

私は、この作品をディザスターもの(自然災害を描くパニックもの)にするつもりはなく、モンスターもの(怪物を扱った作品)としてアプローチすると決めていました。そのモンスターが一体何なのかはドラマを見てのお楽しみですが、きっとその展開に驚かれるのではないでしょうか。エンターテインメント作品として楽しみながらも、最終的にはそういった気づきを得て、感動してもらえるような作品になっていればと思います。

「木村さんが持つ、大人の成熟した権威を表現できる感性、知性、スクリーン上の存在感にハッとさせられました」

―撮影現場で印象に残っていることは?

ドラマの制作中、ずっと心に残っていたことがあります。今回、パンデミックの最中での撮影だったので、クランクイン前の顔合わせはZoomで行なわれました。終わった後にある役者さんから電話がかかってきて、「今回のスタッフとキャストの顔をZoomで見た時に、まるで現在の世界を見ているような気がして心を動かされた」と言われたんです。まさに今の世界の多様性をそのまま反映したかのようなスタッフ・キャストだったと言われてとても印象的でした。

温暖化の影響というのは、世界各国誰しもが等しく晒されている脅威であり、さらに、キャストやスタッフも今現在の世界の多様性を表している。これは、まさしく真の意味で国際的な物語なのだということに気づかされ、とても嬉しく思いました。

―木村拓哉さんとお仕事をされた感想を教えてください。

今回のストーリー終盤で、科学者たちが国際委員会に訴えて北極海に船を出そうとするのですが、費用が出せないと断られてしまいます。その時に頼る相手が必要だと考えていました。そこで思い出したのが、先進国の中でも特に海と深い関わりを持つのが日本だということです。

日本には約7000の島があり、陸地の約12倍の海域を持つと、何かの本で読みました(※編注:2023年2月時点で1万4000超の島があることと発表された)。金銭的な支援をして科学者たちを後押しする役割を果たすキャラクターは、海と深く関わりのある国の方がいいなと思いましたし、リアリティーのあるキャラクターにしたかったんです。ミフネは海運業で富を築きましたが、同時に海へダメージを与えてしまったことも自覚していて、科学者たちを支援することが、自分自身が海に与えてしまったダメージを払拭する、そして世界を救うためのチャンスだと考えています。

木村拓哉さんについては、ハッとさせられた部分が3つあります。1つ目は、年齢を重ねていて大人の成熟した権威を表現できる感性、2つ目は知性が感じられること、そして最後にスクリーン上の存在感でした。

木村さん演じるアイト・ミフネは、原作の後半で非常に重要な役割を果たす米軍総司令官の女性ジュディス・リーを、木村さんのイメージに合わせて作り変えたキャラクターです。一緒にお仕事をさせていただいて、とても素晴らしかったです。撮影現場ではとてもスピーディーに進行していき、複雑なシーンもあったのですが、見事に演じ切ってくださいました。他のキャストともとても良いバランスでしたし、演技も見ごたえのあるものとなっています。

ミフネは物語を一つにまとめてくれる、とても重要な役割を担っています。彼のためにミフネというキャラクターを作ることができて本当に良かったです。

「木村さんの“より良い作品を作りたい”という思いは本当のプロフェッショナル」

―撮影中の木村拓哉さんとのエピソードがあれば教えてください。

撮影を通じて特に感心したのは、ミフネのオフィスの撮影シーンでの出来事です。2日間かけて色々なシーンを撮影したのですが、ビデオ通話をしているシーンや、グリーンバックで背景を変えるなど、様々なことをしなければなりませんでした。

撮影現場から離れた場所に木村さんの控室を用意していたのですが、撮影が終わった後、彼が控室に行ってから5分後くらいで、すぐメイクさんと衣装さんを引き連れて撮影現場に戻ってきて、「控室を用意してくれるのはとても感謝しているけど、行ったり来たりする時間がもったいないから、撮影場所にスペースを用意してくれれば、そこでメイク直しや着替えをするよ」と言ってくれたんです。

セットの角の方に椅子を置いてカーテンをかけてスペースを作り、そこでメイク直しや着替えをしてくれたので、通常は移動も含めて30分かかる所を5分で衣装替えができるようになりました。そのおかげで色々なアングルで撮影ができましたし、監督と共に演技を深めていくことができました。

普段、大スターとお仕事をしている自分の経験からすると、作品や演技がどうこうというよりも、自分がどう扱われるかの方が大事、という方は結構いらっしゃいますが、木村さんは全くそうではありませんでした。自分がやりやすい環境にこだわるのではなくて、時間を無駄にせず、より良い作品を作りたいという思いからそういったことを仰ってくださり、これが本当のプロフェッショナルだなと感心しました。

『THE SWARM/ザ・スウォーム』©StefanoDelìa

―原作小説は2004年と約20年近く前に発表された作品ですが、現代らしさを加えるために工夫したこと、気づいたことはありますか?

まず、科学に関してはアップデートが必要でしたが、素晴らしいコンサルタントが入ってくれていたのでとても楽でした。また、原作が出版された当時はヨーロッパや北米では特に科学者は男性が多かったのですが、現在では女性が増えています。また、多様なバックグラウンドを持つ方が科学のフィールドに入ってきているので、その多様性を表現するために、キャラクターの設定を変更していますし、年齢を若くしているキャラクターもいます。個人的に、登場人物の年齢の幅が広く、ヒーローっぽくない人がヒーローになる物語が好きだということも背景にあります。

また、コンサルタントと話した時に、2023年から新しいエネルギー資源を見つけるために深海を掘ることができるライセンスの付与が始まると知りました。もちろん、私たちの生活には欠かせないバッテリーやチップを作るために必要な資源なのですが、正しいやり方を選ばなければ環境への大きなダメージに繋がってしまいます。原作では登場人物の一人であるヨハンソン博士は、油田の掘削をしている企業から欺かれていたという設定なのですが、そういった現在の状況を踏まえて設定を変更しています。

「真の意味で“国際的”と言える作品」

―これまで『ゲーム・オブ・スローンズ』など大規模なプロジェクトを手掛けてこられましたが、『THE SWARM/ザ・スウォーム』はさらに国際的なプロジェクトとなりました。これまでの作品との違いや難しさ、面白さなどありましたら教えてください。

どの企画にも挑戦はつきものです。『THE SWARM/ザ・スウォーム』に関しては新しい“音”の使い方にチャレンジしました。本作はモンスターものとして描いてますが、視聴者は最後の最後までその姿を見ることがないので、生命体が発する音や海の音のリアル感にこだわり、見えないけれども感じることのできるキャラクターとして表現しました。

また、本作に取り掛かったのはパンデミックが起きる前だったのですが、世界各国にいるキャラクターがお互いに連絡を取るという設定を考えた時に、ビデオ通話をどのように映像で表現するか、というのは課題の一つでした。ビデオ通話のシーンはただ単にモニターに顔が映っているというのではなく、アップにしたり、色々な形の表現を試行錯誤しながら作っていきました。新型コロナウイルスの影響で我々は、すっかりビデオ通話に慣れて今や自然なコミュニケーションの一つになりましたね。

それから、いかに視聴者にとってリアルな世界の物語だと感じてもらえるようにするかというのもチャレンジの一つでした。ファンタジーや超自然的な要素を含む物語ですが、うまくバランスをとってリアリティーを失わないように表現するのが難しいポイントでした。実は、これは『ゲーム・オブ・スローンズ』の時も当初悩んだポイントでもあります。様々な部分で新しいチャレンジができた作品となりました。

―ドイツ、フランスをはじめ各国の放送局が参画しています。その中で日本から初めてHulu Japanが参画したことの意義や期待することなどを教えてください。

私が「国際的」と言われる作品に関わり始めたのは、主にHBOの作品が中心だったのですが、当時は北米やヨーロッパなど限定された国だけが関わっているにもかかわらず、「国際的」と呼んでいることが多かったのです。私の制作会社<インタグリオ・フィルムズ>を創立した時に「国際的な企画というのは、場所やキャストよりも、その題材がより多くの国の人々にとってインパクトがあり、感情面に響くかどうかが重要だ」と言ったことを覚えています。

まさに今回の『THE SWARM/ザ・スウォーム」は、真の意味で国際的な作品と言えるのではないかと思います。原作ではヨーロッパを中心に描かれており、アメリカや日本、中国が悪役的に描かれているのですが、先ほど申し上げたように、そういった作品にはしたくありませんでしたし、今回ご一緒したパートナーの方々はそういった私の意見に賛同し、信頼して下さいました。また、Hulu Japanとは別の企画も進めており、それはさらに多くの国々が関わるプロジェクトとなっています。今作の制作を通じて、国際的な作品がどういうものなのかを改めて再定義することができました。

『THE SWARM/ザ・スウォーム』は2023年3月4日(土)よりHuluで独占配信開始

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Huluオリジナル『THE SWARM/ザ・スウォーム』

世界中の海で不可解な現象が次々と起きていた。クジラやシャチが突如人間を襲い、ロブスターによる謎の感染症が蔓延――。それらの出来事は全く関連性が無いと思われていた。しかし、世界各国から集結した研究者たちは驚くべき結論に辿り着く。宇宙よりも謎が多いと言われる深海で一体何が起きているのか? 人類は再び平和な海を取り戻すことができるのか……!?

製作総指揮:フランク・ドルジャー
監督:バーバラ・イーダー ルーク・ワトソン
原作:フランク・シェッツィング「THE SWARM」
脚本:スティーヴ・ラリー マリッサ・レストラード

制作年: 2023